わたしは交通系Youtuberの番組をよく見ます。
中でも一番好きなのは、西園寺さん。実はわたしの息子もYoutuberの端くれで西園寺さんと一緒に仕事をすることがあるので親近感を持っています。
西園寺さんは企画力が抜群で日本全国で鬼ごっこなどさまざまな企画を展開しているのですが、今回、ある企画を真似してみたくなりました。
「くまモン見たら即帰宅の旅」。くまモンを見ないで熊本旅行ができるのか、という検証企画です。
4人のYoutuberが挑戦し、いずれも目的を果たせずゲーム終了(熊本駅で集合して結果発表しているので「即帰宅」はしていないようです)となっています。
くまモンといえば熊本を代表するゆるキャラ。全国にもその名を轟かせ、今や知らない人はいません。熊本の代名詞ともいうべきゆるキャラに会わずに熊本旅行できるのか。実践することにしました。やるべきミッションは3つ。
①熊本観光をする
②お土産を買う
③地元の名産品を食べる
です。

熊本の広告はないけど京阪の広告はある西鉄福岡(天神)駅ホーム。
旅の出発に選んだのは西鉄福岡(天神)駅。熊本まで線路が直結するJRだとくまモンに遭遇する可能性が高まります。西鉄は大牟田までしか行かず、すべての鉄道路線が福岡県内で完結するのでくまモンは出没しないだろうと踏んだのです。ここからゲームスタート。まわりを見回しますがくまモンはいません。
大牟田行の特急に乗り込みましたが、くまモンはいません。西鉄を選んで正解でした。このまま電車に揺られて大牟田駅に到着します。
大牟田駅からはいよいよJRで熊本県内に入ります。わたしの乗った列車とJRの乗り継ぎ時間は2分しかなく、思い切り乗り過ごしたため大牟田駅でしばらく次の電車を待ちます。
大牟田は三井三池炭鉱で栄えた炭鉱の町です。ホームにはこんな石炭の塊が置かれていて炭鉱の町のプライドを見せつけられたような気がします。
九州新幹線開業以降、基本的に在来線にJRの特急は走っていないのですが、今日は特急の表示があります。ピクミン…??
ピクミンってなんだと思っていたらその特急ピクミン1号がやってきました。かつて「つばめ」「リレーつばめ」で大牟田にも停車していた特急です。
ピクミンとは任天堂のゲームに登場する謎の二足歩行生命体のこと。JR九州とタイアップして沿線でさまざまなイベントがあり、その一環として臨時列車を走らせているのですが、わたしが驚いたのはこの装飾よりもこの行き先表示。

なんと、有明!
なんとかつて福岡県内と熊本、西鹿児島を結んだ特急「有明」の表示になっています。ピクミンファンの子どもたちだけでなくオールド鉄道ファンもうならせる粋な表示です。「熊本行」のサボがこれしかなかったからなのかもしれませんが、これをみられただけでも大牟田で列車を1本のがした甲斐があったというものです。
脱線してしまいましたが旅を先に続けます。ピクミン号のすぐ後に来た列車で荒尾駅に向かいます。
大牟田駅と荒尾駅の間でいよいよ熊本県に入ります。くまモンを見ずにどれだけの間熊本県内を旅行できるのか。ストップウォッチを開始します。
荒尾駅でもしばらく次の電車を待ちます。荒尾市も大牟田市同様炭鉱の町。万田坑などの観光地があるのですが、この案内板にくまモンはいません。なんだ、意外といないじゃないか。

このマークが地味にくまモンに見えてドキッとする。
次の電車に乗ってもくまモンはいない模様。さて、このまま熊本駅に行ってしまうと間違いなくくまモンに遭遇します。それを避けるため敢えて一駅手前の上熊本駅で降りて歩いて観光することにします。
目指す観光地は「夏目漱石の旧居」。熊本城なんてメインの観光地に行ったら絶対くまモンに遭遇しますからね。それに熊本市内の公共交通機関はこの秋から「くまモンのICカード」というICカードの利用のみに変わっているのでくまモンがいないわけがありません。公共交通機関も避けます。
というわけで上熊本駅に到着!JR九州の列車を数多くデザインした水戸岡鋭治さんデザインの駅です。じゃあ、改札に向かいますか…って、ん?
いた。
くまモンが駅の柵の間から覗いているじゃあありませんか。県境から1時間2分。あえなくゲームオーバーです。
いたのはやはり公共交通機関、熊本電鉄の駅でした。電車にくまモンが描かれているのは知っていましたが、駅にもいるとは…迂闊でした。
ミッション継続中なら馬刺しと球磨焼酎で乾杯をするところだったんですが、ゲーム終了となったのでちょっと違う店に行きます。上熊本駅から10分ほど歩いたところにある「吾の倉庫」さん。夜は居酒屋ですが昼はカレーを提供します。
「馬肉のキーマカレー」をチョイス。なんだ熊本名物の馬肉食べてるやん。とお思いでしょうが、これがかなり辛い!中辛を食べたんですが最後の方は頭から湯気が出てるのではないかと思うほど汗をかき、舌をひりつかせながら食べ終えました。激辛もあるんですが、それだとどうなっていたか… 中辛でも自分的にはゲーム終了の罰ゲームのような感じになりました。
もちろんカレーはとてもおいしかったです。惣菜もあって取り放題なので箸休めにはちょうどいいですよ!

汗を拭こうと思っておしぼりを取ったらここにも「ヤツ」がいました。
その後はもうくまモンに会ってしまったので、であればもう気にすることはありません。いっそくまモンに会いに行ってやると思い、町の中心部にある「くまモンスクエア」へ。
くまモンと写真を撮ったり、くまモン関連のお土産が買えたり。時間を選べば「くまモン営業部長」が登場するイベントも行われるそうです。
帰りは日本最大級のバスターミナル、桜町バスターミナルから博多に帰ったのですが、
その屋上の広場には巨大くまモン像。

くまモンの着ぐるみ。吊るされてると何かシュール。
バスのチケットセンターの前にもくまモンのお土産売り場「くまモンビレッジ」があって浴びるようにくまモンに出会います。
検証結果
くまモンを見ずに熊本旅行をすることはできませんでした。ご当地ナンバープレートにもくまモンが描かれているので、それをつけた車と出会ったら即アウトなので事実上不可能なんですよね。

ご当地ナンバープレート
これだけ地域に愛され、知名度も高いゆるキャラって全国探してもまれだと思います。これからもその愛らしいルックスで熊本の観光を盛り上げていってもらいたいなと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。