目標株価って何?

皆さんが株式投資をするとき、投資候補の「目標株価」を見ることは多いでしょう。あるいは強気、弱気、横ばいなど株価予想が矢印で示されるケースもあります。

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80年代、日本中が株式投資で沸いていた頃、株式関係の雑誌はバカ売れ、私は会社の帰りに株式新聞を駅の売店で購入し、舐めるようにして読んでいました。雑誌や新聞にはいわゆる注目銘柄というのが必ず提示され、それに踊らされて株を買ったことも何度もありました。では注目銘柄にある株価の将来の上昇を示す↗の勝率はさて、どれぐらいだったでしょうか、私の場合は半分ぐらいだった気がします。

当時は目標株価という数値ではなく、もっとあいまいな↗や↘だったので今の株価からあと5%上がるのか、10%下がるのかの判断はできないわけです。株式雑誌によっては全銘柄予想なんていうのもあり、書店で必死に立ち読みして注目銘柄や自分の手持ち銘柄をチェックしたものです。

時が経ち、今は北米市場とお付き合いしているわけですが、私が口座を設けている証券会社のオンラインサイトはかなり充実しており、銘柄サーチをすると証券アナリストの予想一覧ページがあり、それがグラフ化されているのでアナリスト平均、最も強気、及び最も弱気のレンジがわかるようになっています。私が銘柄選定する際にそのアナリスト予想を見ないかといえばうそになります。ただ、現代でも当たらない、これもまた事実なので見るけれども参考にするだけに留めています。

株価がなぜ上下するのか、これをこのブログで簡単に説明できるわけがありません。また私の考えが100%正しいとしたら私は今頃有名人になっているはずです。そうならなかったのだから私の考えはまだ至らずなのですが、長年株式市場とお付き合いしてきたので一言だけ思うところを記します。

まず、証券アナリストが見るのはデータです。つまり過去の数字。それは直近の決算の数字などに表れてくるのですが、私の理解は今日の株価のベースは直近の決算の数字に裏打ちされた企業価値に将来への期待値を加味/減額したものと考えています。過去の決算の数字は動かないので今の株価が下がっているなら決算が悪くなるとみるのが一般的でしょう。

それ以外に企業により月次を発表しているところはそれを前年度比などで次の決算の指針にしているところもあります。

それを予想するが証券アナリストです。ある意味証券アナリストは預言者的な存在になるのですが、そんな予言が当たるなら証券アナリストなんていう仕事をさっさとやめて個人投資家になったほうがいいわけで結局、将来の部分の予想は誰がやっても当たりにくい、こう見るべきなのです。

株価の変動はサプライズによるところが大きいのですが、このサプライズはアナリストの予想に対して会社側から何か発表されたときのギャップということになります。日本では新興市場の株価予想をする証券アナリストが少なくカバー率が低いので例えば「みんなが予想する株価」といった訳ワカメな予想が大手を振っていたりするのです。

昔は似たようなビジネスをしていた企業が多かったのですが、近年は日本も北米も各社ユニークな取り組みをしているところが多く、業界の平均といった分析がしにくくなりました。当然、アナリストの負担も大きいわけで私はそんな業務はさっさとAIに任せてしまえばよいと思います。決算に裏打ちされた株価の部分は人間が分析する必要はゼロ。要は将来をどう見るかですが、各社が抱えるプロジェクトの進捗状況なんてアナリストが経営トップに聞いたところですべてを掌握できないのです。

ではどうするか、私は会社の個性を見るようにしています。四半期決算でいちいち細かいことを言わず、会社の経営のベクトルが社会が求めている方向に一致しているか、また会社が株主とどう向き合っているかも大切なところでしょう。

日本も北米も各社IRを活発に行うところとあまりやらないところがあります。基本的にはディスクロージャーという発想から業務進捗の開示が進んでいるところは株主とのコミュニケーションがよい企業だと考えています。

決算で2割も株価が上下することもしばしばみられます。事前予想とのギャップとされますが、心理的要素が相当占めるものです。例えば好決算なのに期待値が高すぎて株価が下落するような場合は株価は持ち直してくる可能性が高い、そういう特性を逆に利用することが大事です。そのためには自分の注目銘柄のチャートを頭で描くぐらい株価を眺めつづけることが大事だと思います。株価は連続線なのです。瞬間のプロットではない、つまりカネにたかる人々の欲望の渦が常に巻き起こっているのだと考えると株価は面白い生き物のように感じられるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年3月7日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。