相手から恨みを買う「絶対してはいけないこと3選」

黒坂岳央です。

いつの時代でも、相手から強い恨みを買って起きる痛ましい事件が起きる。法治国家である日本では暴力は許されないが、それでも恨みを買ったことが原因で事件が起こることがある。では、そもそも恨みを買わないためには何に気をつけるべきなのか?

人によってカチンと来る言動は異なるものの、下手をすると相手から強い恨みを買ってしまう行為は大体決まっている。筆者自身が気をつけていることを取り上げたい。

Andranik Hakobyan/iStock

裏切り

1つ目は相手の信用を裏切る行為だ。ビジネスにおいては不義理と呼ばれ、文脈によっては詐欺という犯罪に抵触するケースも有る。

裏切りには、日常的な小さなものから、相手の人生を狂わせるほどの大きなものまで幅がある。相手との待ち合わせをすっぽかす、くらいなら信用を失うくらいで済む。この場合はせいぜい相手から嫌われるだけで恨みまでは買わない。

だが、相手の大事なもの、たとえばお金を取るような真似をすると話は変わってくる。例えば、詐欺などのケースが挙げられる。対処法としては、法治国家として適切な法的プロセスを経て回収することだ。しかし、全員がそのように上品な手続きを踏んでくるとは限らない。下手をすると憤怒した相手が法の垣根を乗り越えてくる可能性も十分考えられるだろう。

特に詐欺の場合、被害者の恨みが強くなるのには2つの理由がある。1つ目は、お金という重要な資源を失うこと。もう1つは、相手に最初から騙す意図があったと知り、自分のプライドを踏みにじられたと感じることだ。

経済的損失に加え、相手から見て、自分が人間扱いされていなかったことを知った時の恨みも加わることで相手の憎悪は頂点に達する。

プライドを潰す

2つ目はプライドを潰す。本稿でのわかりやすいたとえとして、男性にとっての仕事があげられるだろう。

望むと望まざるとにかかわらず、男性にとって仕事は社会的に見て自分の価値を決めてしまうほど重要なファクターである。このことを否定できる人は少ない。それ故に仕事がうまくいく、いかないということで自分の人生そのものの価値を考えてしまう人もかなりいる。特に独立して仕事にコミットするような人はその度合が強く、彼らは命どころか、人生丸ごとをかけて勝負している。

だからこそ、仕事をバカにされることは、深い痛みを伴い、強い恨みにつながる。SNSなどでは軽い気持ちで相手のビジネスを否定するような発言をして、相手から訴訟される人もいる。本人は死ぬ気で頑張っていることを軽い気持ちで否定するべきではないのだ。

自分はそのことをよく知っているので、相手の仕事を絶対に下に見るような発言はしないようにしている(そもそも職業に貴賎なし、だ)。仕事をバカにされた側が持つ憎悪の力は半端なものではないのだ。

他にも、生き方や人間性の否定、浮気、解雇など相手のプライドが傷つく行為は恨みを買う。相手の「行動」は否定しても、「人生」を否定してはいけない。

社会的信用の失墜

最後に社会的信用の失墜。その理由は人間の「尊厳」と「生存基盤」を同時に破壊する行為だからだ。

人間は、「プライドと立場」が破壊されると、生きる意味や活力を奪われたと感じる生き物だ。特に日本のように信用経済社会では、時に「世間体」や「評判」は命より重いとされることもある。

そのため、SNSでのデマ拡散や職場でのパワハラによって信用を失わせる行為は、取り返しのつかない恨みを生む可能性がある。実際に、退職した部下が元上司への怨恨から刺殺し、自宅に放火した事件も起きている。

なぜここまで人は追い詰められるのか?それは、社会的信用が生存権に直結するからだ。信用を失うと仕事を失い、仕事を失うと収入を失い、収入を失うと生活が破綻する。

「嫌い」だからと軽い気持ちで名指しでデマを言ったり、過度な中傷をすると相手から強い恨みを買ってしまうのだ。

人は誰しも、強い恨みを抱いたとき、冷静な判断を失い、取り返しのつかない行動に出てしまうことがある。特に、「裏切り」「プライドを潰す」「社会的信用の失墜」といった行為は、相手の心を深く傷つけ、強烈な憎悪を生む要因となる。

我々は日常の中で、知らず知らずのうちに他人を傷つけていることがある。軽い気持ちでした言動が、相手にとっては人生を左右するほどの衝撃となることもあることを忘れるべきではないだろう。自分にとっては軽い気持ちでも、相手からすると人生を揺さぶられる衝撃になることは往々にしてあるのだから。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。