2月11日の建国記念の日。異動してきて初めてのドライブは福岡から佐賀県へ。有明海沿岸の鹿島市にやってきました。
顔出しパネルもあるとおり有明海のムツゴロウが有名な町ですが、こちらの祐徳稲荷神社も九州を代表する稲荷神社として有名です。京都伏見稲荷、愛知の豊川稲荷とともに日本三大稲荷と呼ばれています。
ただ、茨城の笠間稲荷神社も日本三大稲荷と名乗っているそうで、No.3の地位を二社が争っています。ちなみに日本四大稲荷という言い方もあって、それだと両社とも入るようです。じゃあもう四大でいいじゃん。
一の鳥居を潜ったあと、賑やかな門前町を抜けると赤い鳥居が出迎えてくれます。
そのあともいくつか鳥居を潜るのですが、その先に何やら背の高い建物が現れます。

本殿に参拝するためには117段の階段を登ることが必要。
こちらが祐徳稲荷神社のご本殿。本殿下に組まれた足場は清水の舞台のようです。エレベーターで行くこともできますが、階段だと117段登る必要があります。
祐徳稲荷神社は1687年、肥前鹿島藩主鍋島直朝公の夫人花山院萬子媛(まんこひめ)が、朝廷の勅願所であった伏見稲荷の御分霊を勧請された稲荷神社です。萬子媛の諡名から「祐徳院」であったことからこの神社が祐徳稲荷と呼ばれるようになりました。衣食住を司り生活全般の守護神として広く信仰を集め多くの方が参拝に訪れます。
本殿に向かう途中で潜る楼門は絢爛豪華。この豪華さから日光東照宮になぞらえて、当神社は「鎮西日光」という異名をもっています。
楼門に構える随神は地元の特産である有田焼で作られています。
先ほどご紹介した階段を登って本殿にやってきます。本殿正面はさほどスペースがありません。混雑時は階段の到達点である本殿左手側で列を作り参拝を待つこととなります。

正面より撮影。
本殿の参拝所の上に描かれる鳳凰の絵も金塗りでかなり豪華。これも鎮西日光と呼ばれる所以なのでしょう。
実は祐徳稲荷神社、この本殿が最も高い場所にあるわけではありません。千本稲荷の先、この神社がある石壁山の上にある奥の院まで続いています。

祐徳稲荷神社の全容。今回は奥の院までは行きません。
まだ西九州新幹線ができておらず、江北駅が肥前山口駅のままです。
奥の院に至る道の途中にもいくつか摂社があります。こちらは命婦(みょうぶ)社。稲荷大神のお使いである白狐の霊を祀ります。
京都の花山院邸が火災にあった時にこの神社から来たという白衣の一団が火を消し止めたものの、彼女らは身分が低いため同じく火災に遭った御所の鎮火はできなかったとこから、天皇より命婦(五位以上の位を有する女子の称号)の地位を与えられたと言われています。
奥の院へはこの千本鳥居を伝ってさらに奥に登っていく必要がありますが、今回は別の場所に向かう必要があったためここで引き返します。この先には萬子媛を祀る石壁社も存在します。

千本鳥居の影がタイムワープしているみたい。
本殿の上から楼門前を望みます。清水の舞台のような場所に立つ本殿から見下ろす祐徳神社はなかなかいい眺め。外国人観光客が多い九州各地ですが、ここはたびたび君が代が流れる純日本的な場所だからか外国人の姿はまばらでした。
高台にそびえ立つ祐徳稲荷神社。300年以上にわたりこの地を護り、人々の信仰を集めて心のよりどころとなってきました。
鹿島市の近くには嬉野温泉や武雄温泉、牡蠣のおいしい竹崎温泉など魅力的な観光地も多くあります。温泉を巡りグルメを楽しみつつ、祐徳稲荷神社を参拝するのもいいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年3月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。