加藤勝信財務大臣は、財務省解体デモに対して「生活の中での負担感が高まってきていることが背景にある」と発言した。食料品はじめ、身の回りの物価の上昇、他方、実質賃金が上がらない状況に対して理解を示しているのかもしれない。
そう、財務省は今すぐデモ参加者に対応するべきなのだ。大臣、副大臣、広報担当が現場に行き(もちろん警備は必須)、デモの参加者と向き合い、説明し、説得する行動をおこしてみるべきだろう。ピンチはチャンスなのである!
財務省だって言い分があるはず
「消費税の廃止」「増税しか考えていない」「財務省のせいで生活が苦しい」「財務省は闇の組織ディープステートの手先」などなどデモの参加者には様々な主張が玉石混交している。財務省デモの方々のなかでも「解体」で一致しているわけでも、統一的な考え方があるわけでもない。
確かに、国民負担率は48%と高い。しかし、租税負担率でみると、28.9%と欧州と比較しても低いのも現実だ。

出典:財務省HP
また、この30年、一般会計歳出はあがっているのに、一般会計税収はあがっていない。つまり、経済がよくなっていないのに、支出のみ増えてきたということだ。税収がないのに、どんどん支出が増えていってきた。
「歳入面では、過去の景気の悪化や減税による税収の落ち込みが主要因」にもかかわらず、国民、企業団体、そしてその声を受けた政治家の圧力にあい、歳出を増やさざるを得なかったというのが本当のとこだろう。
本来なら、国会を経ずにいつの間にか社会保険料を上げまくってきた厚労省のほうにデモに行けよ!と思うのが本音ではないかと思う。
政治家チャンス!
そこで財務省の代表の出番である。
幹部である政治家として
加藤勝信 財務大臣
横山信一 財務副大臣
斎藤洋明 財務副大臣
東国幹 財務大臣政務官
土田慎 財務大臣政務官
がいる(財務省HP)。
彼らは腕の見せ所である。デモの参加者に対して、山本太郎さんのようにプロジェクターやスクリーンに資料を表示して、パワーポイントなどで説明したらいいのだ。
デモ参加者の意見のなかには、知識不足、知識不足による勘違い、誤解、狭い視野による勘違いなども見受けられる。なので、丁寧に相手がわかるように寄り添い、わかりやすい言葉で説明すればいい。
過去、山本太郎さんは街頭演説でオープンに質疑応答を行い、最初は感情的かつ誹謗中傷的な批判を浴びても、丁寧に「ご意見ありがとうございます。でも・・」という形で誠実に対処してきた。そして、今や若者の支持率で自民党を超えている。
1人ずつ誠実に議論する姿勢を見せるだけでも、今後の政治家人生においてプラスになるはずではないだろうか。
官僚チャンス!
それは財務省の官僚にも言える。広報室長や職員の方、ぜひ前に出てきて頑張ってほしい。記者クラブに守られているメディアを通して国民に説明するのだけではもう不十分だろう。例えばこうでいい。
【デモの人たちの主張】「消費税を廃止しろ!」
→【回答】消費税の廃止などを決定するのは、政治家の権限ですので、選挙区の政治家先生にお尋ねください。ある意味、財務省もその方向で動いた面もありますが、歳入確保のためです。社会保障費など歳出が増えているので財源確保をしなくてはならないのをご理解ください。
【デモの人たちの主張】「増税しか考えていない」
→【回答】そういうわけではありません。経済がうまくいかなくて歳出が増えすぎるから歳入を確保せざるを得ないのです。
【デモの人たちの主張】「緊縮財政が国を貧しくした」
→【回答】財政よりも、企業や経済の国際競争力の話です。失われた30年の経済不況ゆえで一部大企業だけが潤って、労働者にわけられなかった面はあるかもしれませんが。
【デモの人たちの主張】「約4倍の436兆円の特別会計には闇がある」
→【回答】特別会計も歳入・歳出でバランスされています。国債整理基金特別会計や年金がほぼほぼで、闇というところはありませんが、闇とおっしゃる根拠は何ですか?それぞれに所管省庁があるのでその方々に聞いてください。公共事業の獲得競争をしているような省庁もありますから、国会議員を通すなどして調査をしてもらうべきだと思います。

出典:特別会計 ガイドブック
国民がわからないことは丁寧に説明する。国民がわからないことはしっかり情報をつたえる。主張の根拠を確認する。責任範囲外の領域であることを伝える。わからないなら勉強するようお願いする。
権限は政治家にあり、あくまで財務省職員は政権や政治家の指示命令に従ってやっていることなどを理解してもらわないといけない。わざわざ問題意識をもって、デモに参加してくれる国民に敬意をもって、対話を心がけてみてはいかがだろう。
かっこいい財務省職員を見せてほしい
「デモ参加者への対話会議」を仕掛けるアイデアだが、会議室を開放して、公開の場で行えばよい。プロジェクターに資料を提示して、質問を受け付ける。時間制限をしたってよい。
財務省の幹部候補から庁内公募制でデモ参加者との対話を担当させてみては?とも思う。政治家になろうと狙っている官僚にとってはチャンスでもあるし、説明ということの難しさを感じるだろうし、そこでの対応や経験は職員にとっても物凄い財産になる。自分よりも知能指数が低い人たち、学歴が下の情弱となめきって庁舎から冷ややかに笑っているだけでは「本当のエリート」とは言えない。官僚の応募者も減った今こそ、「かっこいい官僚」のモデルを作り上げていかないといけない。
この方法は資料を公表して「広報した」というよりも、よっぽどインパクトも効果も高いはず。国民の声に向き合う姿を見せられるし、イメージも回復に役立つだろう。財務省に期待したい。