スーパーの米価格初の4000円超えで前年同期比の2倍になったのは誰のせい?

スーパーで販売されるコメの価格が初めて5キロあたり4000円を超え、昨年同期比でほぼ2倍となりました。全国のスーパーにおけるコメの平均価格は、3月3日から9日の1週間で、5キロあたり税込み4077円に達しました。

これは前年同時期の2045円と比べると2000円以上の値上がりとなり、ほぼ2倍の価格です。さらに、前週と比べても125円上昇しており、これで10週連続の値上がりとなります。政府が備蓄米の放出を決定したものの、価格の上昇傾向は止まらず、統計が開始された2022年3月以降、初めて4000円を超えました。

農林水産省 Wikipediaより

「全国のスーパーで5キロ4000円超え」といっても、これはPOSデータに基づく全国の平均価格であり、銘柄や地域によって実際の価格にはばらつきがあります。

価格高騰でコメの販売量は前年同期比で11.6%減少しました。政府はコメ価格の高騰を抑えるため、備蓄米を市場に供給する方針を示し、すでに初回の入札は完了しました。3月下旬以降にはスーパーなどの店頭に並ぶ見込みですが、これが価格の抑制にどれほどの影響を与えるかが注目されています。

JA全農(全国農業協同組合連合会)は、卸売業者に対し、備蓄米を販売する際に「備蓄米」と表記しないよう要請しました。これは、消費者や流通の混乱を避けるための措置とされています。JA全農は3月18日以降、落札した備蓄米の引き取りを開始する予定です。しかし、これまでの対応により、JAへの不信感がかつてなくさらに高まっています。

https://twitter.com/tonymainaka/status/1901594042464616510

2月3日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の神谷裕議員が「コメ価格高騰は農水省の対応の遅れが原因ではないか」と指摘し、江藤農水相も「反省すべき点がある」と認めました。しかし、価格が下がらなければ消費者にとって意味はありません。

https://twitter.com/sxzBST/status/1901637504329203990

農家関係者によると、コメ価格が上がっても収入は増えず、「誰も儲かっていない」との声が広がっています。さらに、収穫量が増えたにもかかわらず、昨年12月の集荷量は前年より20万トン少なく、「消えたコメ問題」が指摘されています。農水省は流通制限の可能性を示唆しています。

コメ価格高騰の主因は猛暑やインバウンド需要ではなく、JA農協と農水省の政策の影響と考えられています。価格上昇が続く中でも、農水省は有効な対策を講じていない状況です。

 

日本では長年にわたり減反政策が推進され、コメの生産量が制限されてきました。減反政策の本来の目的は価格の維持であり、農家が生産を増やせば補助金が削減される仕組みになっています。そのため、JA農協や農水省はコメの供給量を制限し、市場価格を高く維持しようとする傾向がありますが、それが完全に裏目となっています。

日本のコメ価格が高騰し続ける背景には、単なる天候や市場動向だけでなく、JA農協と農水省の構造的な問題が深く関わっています。減反政策の見直しやコメの輸出促進、農業の生産性向上など、抜本的な改革が求められています。

農水省の対応の遅れがコメ価格の高騰と混乱を招いた可能性は否定できず、備蓄米の放出も遅すぎた感があります。現在、5キロ4000円以上のコメが元の価格に戻るかどうかは不透明であり、今後も高止まりする可能性が高く、消費者の負担が増え続けることが懸念されています。