話が面白い人、面白くない人の特徴

黒坂岳央です。

日常会話でも、ビジネスの場でも、「この人の話はなぜこんなに退屈なのか?」もしくは「なぜこんなにも面白いのか?」と感じた経験は誰しもあるだろう。特別な話術や大げさなジェスチャーがないのに、なぜか面白い人、面白くない人にわかれる。

特に最近はYouTuberでも、話し方の技術の差によって「見てもらえる、もらえない」がはっきりと分かれている。両者の違いは、話題の内容そのものよりも「伝え方の差」にある。独断と偏見で考察したい。

metamorworks/iStock

話題の出し方

話が面白くない人は、突如として話題を切り出す。「昨日のことなんだけど」と急に話し始められる。聞き手には背景がわからないまま、話についていけないので置いてけぼりになりがちだ。

たとえば、ある人が会話の途中にいきなり「昨日カツ丼食べたんだよね」と言い出せば、相手は「で?それがどうした?」で終わる。

一方、面白い人は話の前に軽く文脈を置く。「この前、会社の健康診断の話してたじゃん? その流れで思い出したんだけどさ」と言えば、聞き手の関心と理解が自然に追いついてくる。「そういえば」でつながった話には流れがある。

話題についての有名な話として「オタクのガンダム語り」というものがある。友達と楽しく喋っていたら、突然に「そういえばオレ、やっぱりZガンダムが一番いいと思うんだよね」と何の脈絡もなくひたすらガンダム愛を語り始めて周囲が白けるというものがある。

唐突か、つながりがあるか。それだけで話の入り口の印象が大きく変わる。

情報の取捨選択

話がつまらない人は、自分が言いたいことのすべてを話す。

話の本筋と関係ない細部まで延々と語り、その結果、本当に伝えるべき内容が霞んでしまう。たとえば、旅行の話をするときに「朝7時に起きて、8時の電車で東京駅に着いて、そこから山手線に乗って…」と行程の説明をすべて話されても、聞き手は途中で飽きて「話が早く終わってほしい」と願うようになる。

それに対して面白い人は、自分の話を「しっかり編集」してから話す。「2泊3日の旅行で一番印象的だったのが、2日目に行った秘湯! まさかの雪の中露天風呂ですごく幻想的だった」とポイントを絞って話す。聞き手が「その話、もっと聞きたい」と思う箇所にフォーカスする。これは構成力があるということだ。

一方通行と対話

つまらない人は自分の話をすることに夢中で、相手がどんな表情をしているか、関心があるかどうかをまったく見ていない。話しながらリアクションを確認せず、延々と「独演会」が続く。

たとえば、飲み会の席で延々と自分の業務の愚痴や成功談を話し続ける人がいる。そういった場合はまったく相手のリアクションを見ないから、周囲はうなずくふりをしながらスマホをいじり出すことになる。

一方、面白い人は常に相手の反応を見ながら調整している。「あ、この話あんまり興味なさそうだな」と思えばサッと話題を切り替え、「そういえば〇〇さんは旅行好きだったよね?最近どこか行った?」と相手にボールを渡す。

会話のキャッチボールが始まることで、聞き手は飽きずに“参加している感覚”を持てるのだ。

意見がない

話がつまらない人は、抽象的な話ばかりで「ふーん」で終わる。「やっぱり健康が大事だよね」「前向きに生きよう」など、誰でも言えそうな正論だけが並ぶと、聞き手の脳は「この人の話は聞く価値がない」と判断して空転を始める。

一方で面白い人は、具体的なエピソードや描写を織り交ぜて話す。「仕事からくる過労で人生で初めて入院したよ。結局、入院中は案件が進められず、トータルで10万円の損。やっぱり健康こそコスパ最強だね」となれば、「確かに」「自分も気をつけなきゃ」と思わせる力がある。

また、「ミスはダメ」しか言わない人と、「毎日残業して頑張ってたのに、最後の提出でミスして、結局“雑な人”という印象だけが残った。あれで昇進に影響して悔しい思いをした。やっぱりミスはダメだ」という具体エピソードを語る人では、説得力に圧倒的な差が出る。

体験と意見が重なった瞬間、話は“教訓”に変わるのだ。

相手への配慮の有無で決まる

話が面白いか?面白くないか?結局のところ、これは聞き手の配慮に尽きると思っている。

よく「興味がある人が話せば何でも聞けるし、そうでないなら何を話しても聞いてもらえない」という意見があるがこれは正しい認識ではない。YouTube動画を配信する立場になるとよく分かるが、視聴者が見る動機は「この人に興味がある、ない」というより「面白いか?役に立つか?」が最大の判断基準である。

だからどんな配信者でも動画によって再生数にどうしてもばらつきが出るし、極論「役に立つ話」をするチャンネルなら配信主の正体が不明でもしっかり見られる。

つまるところ、聞き手に配慮できているかどうかがつまらない話、面白い話を分ける差である。「できるだけ相手が楽しい、もしくは役に立つと思う話をしよう」と考えて話す人はやっぱり面白いと思うし、飽きずに聞いていられる引力がある。話は中身以上に気遣いなのだ。

 

■最新刊絶賛発売中!

[黒坂 岳央]のスキマ時間・1万円で始められる リスクをとらない起業術 (大和出版)

アバター画像
働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。