現在、日本では夫婦の離婚時、一方親にのみ子どもの親権が与えられる単独親権制度となっているが、2026年には、両方の親に親権が与えられる共同親権制度への法改正が予定されている。
離婚時の親権争いをめぐっては、一方親が他方親の許可なく子どもを連れ去り、その関係を断絶させる「実子誘拐」が問題となっている。日本人の親による実子誘拐行為は、アメリカやフランスなど海外の被害当事者もおり、外交問題にも発展している。
そこで今回、自民党総裁選の全候補者に、共同親権への法改正と実子誘拐についての見解を聞いてみた。次期総理は、日本の家族・親子の形に大きく深くかかわるこの問題について、どのような考えをお持ちだろうか。
まずは、9月16日に総裁選出馬のための記者会見を開いた小林鷹之氏だ。筆者は記者会見に参加し、直接質問する機会を得た。

9月16日に記者会見を開いた小林鷹之氏
筆者撮影
以下、小林鷹之氏の一問一答。
筆者:夫婦の離婚後の共同親権についてお伺いします。来年、共同親権への法改正が予定されていますが、それについて期待すること、懸念することについて、できれば子どもの連れ去り問題、実子誘拐問題に関連させてお答えください。
小林氏:共同親権の問題というのは、非常に重要な問題だという風には受け止めております。これについては、自民党の中にも様々な考えがあろうかと思います。この点については、総裁候補として責任ある発言をさせていただきたいので、総裁選までにしっかりと自分の考え方をまとめてお伝えさせていただきたいと思います。
「総裁選までに考え方をまとめて伝えたい」とのことなので、引き続き、取材を試みたい。
続いて、9月20日に総裁選出馬の記者会見を開いた小泉進次郎氏。こちらも筆者は、記者会見に参加し、直接質問する機会を得た。

9月20日に記者会見を開いた小泉進次郎氏
筆者撮影
以下、小泉進次郎氏の一問一答。
筆者:(小林鷹之氏と同じ質問)
小泉氏:離婚後の共同親権制度を導入した民法改正の趣旨は、離婚後も両親が子どもの養育責任の分担をして、子どもの利益を最大化することだと承知をしています。具体的には、離婚時の親権争いの激化を防いで、両親が協力して子育てができる環境を整えることで、面会交流や養育費の支払いを円滑にして、養育費の未払いを減らすことが期待されていると承知しています。他方でDVやモラハラの継続、子どもの負担増といったご指摘もあります。導入に向けて丁寧に取り組んでいきたいと思います。
「実子誘拐」のワードには触れてもらえなかったが、共同親権への法改正について、比較的踏み込んだ説明をしてもらえたと思う。
総裁選のほかの候補者、高市早苗氏、林芳正氏、茂木敏充氏については、記者会見に参加の申し込みをしたものの、参加の許可は得られず、直接質問する機会は得られなかった。このため、メールにて、同じ趣旨の質問を送っているが、20日現在でその回答は得られていない。
総裁選は9月22日に告示、10月4日に投開票が行われる。総裁選期間中、候補者たちが共同親権や実子誘拐について見解を示してくれるよう、さらに取材を続けていきたい。






