小泉進次郎のステマ騒動:茶番を超えて民主主義を蝕む危機

小泉進次郎氏公式SNSより

またか、と思った。

ニコニコ動画でのステマ指示メール。24パターンのヨイショコメント集。「ようやく真打ち登場!」だって? 正直、吐き気がした。

昨日の朝、コーヒーを飲みながらこのニュースを読んでいたら、隣の席のサラリーマンが「政治家って大変だなあ」とつぶやいていた。大変? 冗談じゃない。大変なのは私たちの方だ。毎日物価高に悩まされて、それでも税金は取られて、その金で政治家どもがステマ工作かよ。

でも、これ、冷静に考えるとヤバくないか?

自民党総裁公選規程第12条——「選挙の清潔、明朗及び公正を害する行為を行ってはならない」。

完全にアウトだろう、これ。選挙管理委員長の逢沢一郎が「事実関係を承知していない」って逃げてるが、文春がメールの現物を入手してるのに何を寝ぼけたこと言ってるんだ。

ここで一つ言っておきたいのだが、仮に小泉進次郎が今回総裁になったとしても、ずっと「ステマ総裁」って言われ続けるぞ。野党からの攻撃材料を自ら提供してどうする? 海外メディアだって、この手の話は大好きだ。「日本の新首相、ネット工作で当選」なんて見出しが踊ったら、国際的な信頼なんて地に落ちる。

もういっそのこと、自分で降りた方がマシじゃないか?

どうせ小泉進次郎は将来的に総理になる可能性が高いんだから、今回は傷の浅いうちに撤退して、クリーンなイメージを再構築する時間を作った方が賢明だろう。

牧島かれんの最後の回答も腹立たしい。「特定の候補者を意識したものではありません」って、「ビジネスエセ保守」が高市早苗さんを指してることは陣営関係者も証言してるじゃないか。チェックが不十分だった? バレたから謝る——このパターン、もう見飽きた。

あ、そうそう。忘れるところだった。

もし小泉進次郎が当選して、その後に総裁公選規程違反で上訴されたらどうなる?

自民党は解党的出直しどころの騒ぎじゃない。党の存続そのものが危うくなる。小泉進次郎個人の野心のために、党全体が危機に陥るなんて、政治的責任の観点から見てもあり得ない話だ。

増税はしないが給付もしない財政規律派——要するに庶民には何もしませんってことだろう。物価高で苦しんでる国民を横目に、自分は会員制スパで英字新聞読んでる。そんなイメージしか湧かない。

この問題、単なる選挙戦術の逸脱を超えて、日本の民主主義の根幹を揺るがす話だと思う。政治家が国民との対話を放棄して、虚偽の世論を人工的に作ろうとする——これがデジタル時代の政治の現実なのか?

SNSやネット動画サイトでの世論操作が常態化したら、民主主義なんて形だけのものになる。有権者の判断材料が人工的に操作された情報で歪められるなんて、選挙制度の正統性そのものが失われるじゃないか。

政治家ってのは国民の信託を受けて権力を行使する存在だろう? その信託関係の前提となる情報の透明性と公正性を自分から破壊するなんて、民主主義への背信行為だ。

もう一つ言わせてもらうと、国民もいい加減に目を覚ました方がいい。こんな茶番を許していたら、やがて真実と虚偽の境界線なんて曖昧になって、民主主義は内部から腐っていく。

今こそ声を上げるべき時だ。政治の透明性と公正性を守るために。

でも、どうせ数日もすればみんな忘れるんだろうな。知らんけど。

尾藤 克之(コラムニスト、著述家)

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