石破前首相インタビューに思う、「去り際」の美学

戦後80年談話が思ったよりもバランスの取れた内容で、「有終の美を飾った」と感じていた矢先。石破前首相がメディアのインタビューで再び持論を展開されました。

内容の是非はともかく、「ああ、またか」と思った方も少なくないのではないでしょうか。

自民党のさらなる保守路線への「違和感」、コメ増産方針への「不愉快な話」、そして核兵器禁止条約会議に「オブザーバーでも参加すべきだった」との指摘。

いずれも一理あるものの、現職を離れ、総理経験者としての「言葉の重み」をどう使うのか。そこに慎重さが求められるはずです。

政治の世界には「去り際の美学」という言葉があります。批判でも提言でも、タイミングと立ち位置を誤れば、せっかくの実績が霞んでしまう。これはどんな政治家にも当てはまる普遍的なテーマです。

そう考えると、岸田文雄前総理のいまの姿勢はむしろ立派だと感じます。退任後は余計な発言を控え、静かに後進に任せている。その背中は、「政治家としての成熟」を感じさせるものがあります。

もちろん、石破氏の知見や経験は貴重ですし、政治に対する真摯さも疑う余地はありません。だからこそ、節目の談話で有終の美を飾った後は、しばらく表舞台から距離を置き、次の世代が自由に議論できる空気をつくってほしかった。

「去り際」こそが、その政治家の本当の評価を決める――そう感じさせられるニュースでした。

石破茂前首相インスタグラムより


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年11月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。