海老名でロマンスカーミュージアム行ってきた。

これからするのは小田急の話だけど、利用したのは相鉄。

神奈川県中部の町、海老名に来ました。相模鉄道と小田急、そしてJR相模線が集まる交通の要衝です。最近は相鉄新横浜線ができたことで新横浜、渋谷にも直通でアクセスすることができるようになり、ますます利便性が高まりました。

出張で来たんですが、仕事まではまだ時間があります。海老名駅前に一度行ってみたかった鉄道博物館「ロマンスカーミュージアム」があるので立ち寄りました。

ロマンスカーミュージアムは2021年4月にオープンし、4周年を迎えました。かつては小田急鉄道資料館が向ケ丘遊園にありましたが、閉館後約20年、小田急には自社の車両を展示する施設はありませんでした。多くの鉄道ファンに愛され、一般にも知名度の高い「ロマンスカー」を揃える博物館として満を持してのオープンです。

ちなみにロマンスカーという名称は京阪などでも使用されていたことがありますが、現在では小田急のみが特急列車の総称として使用しています。

時代を彩った歴代のロマンスカーは1階に展示されています。手前のLSE7000形は2018年まで活躍しました。東京勤務時代、良くお世話になりました。経費で特急料金は認められないのにそれでも乗りたい列車。仕事の疲れを癒してくれました。

ホームウェイは1999年に登場した通勤客をターゲットにした停車駅やや多めのロマンスカー。ホームウェイは今も走っていますが、同じ時期に日中の短距離利用客の獲得を目指して登場した「サポート」号は名称が不評で2004年に廃止、「あしがら」「さがみ」などに戻されました。個人的にもこちらの名前の方が馴染みがあって好きです。

こちらはNSE3100形。1966年から2000年まで走っていたロマンスカーです。「おとめ」は馴染みのない愛称ですが、1950年代のロマンスカーは発車時刻の異なる列車ひとつひとつに異なる愛称がつけられていました。「金時」「あしがら」などがありますが、「乙女」もその一つでした。箱根の外輪山にある乙女峠からその名を取っています。

1963年にこのNSEがデビューすると特急の名称は整理され5つに絞られますが、その中に「おとめ」が残りました。さらに1966年の改正で「あしがら」「さがみ」「えのしま」の3つに整理された際に消滅しているので、NSEでこのヘッドマークで走ったのはわずか3年しかありません。

こちらはSE3000形。特急専用車両として、小田原ー新宿を60分で結ぶことを目標に国鉄と共同で開発した車両で、日本の鉄道史において大きな役割を果たしました。SEはSuper Expressの略。その後先に紹介したNSE、LSE、VSEなどが開発されていきますが、EXEを除いてSEの名が継承されていきます。

1991年まで活躍したあさぎりSE。引退時のヘッドマークをそのまま掲げています。「あさぎり」は小田急新宿駅からJR御殿場線の御殿場駅までを結ぶ列車で、1955年の国鉄時代から相互直通運転をしていた異色の列車でした。引退後はJR371系と小田急の20000形に継承され、JRの車両が小田急線内を走るこれもまた異色の存在となりました。

371系は模型で展示。

20000形はミュージアムの外からも眺められます。

20000形の車内。

小田急にはないはずのグリーン車がこの列車にはあります。JR直通だったからなわけですが、今ではそのJRでも地方列車ではグリーン車はありません。公衆電話マークとともに、時の流れを感じさせます。

半世紀以上にわたって親しまれていた「あさぎり」の名称は、2018年のダイヤ改正で「ふじさん」に改称されました。インバウンドの増加で富士山に向かう特急であることをアピールすることが目的でした。

JRでも富士急直通列車「富士回遊」を走らせ、富士急線内のみを走る特急も「フジサン特急」とこの辺りを走る特急は挙ってインバウンド需要狙いで富士山の名を冠するようになっています。わたしは「あさぎり」の方が親しみがあるのですけどね。

2階に登ると、ジオラマがありました。新宿から箱根までの壮大なジオラマ。私はジオラマが好きなので思わず見入ってしまいます。

2階建て構造の小田急新宿駅も再現。

「昭和すぎる」新宿思い出横丁。

箱根の玄関口、箱根湯本駅もリアルに再現されています。

圧巻なのは箱根登山鉄道。自動で進む方向も、線路の切り替えも行われてスムーズにスイッチバックしていきます。これはジオラマではなかなか見られない。一見の価値ありです。

大涌谷ではおなじみの湯気がもくもく。

屋上に登りました。ここからは小田急の海老名駅が一望でき、ロマンスカーを始めとして駅に入ってくる列車が一望できます。海老名はいきものがかりの水野良樹さんの出身地。駅メロはデビュー曲「SAKURA」で、海老名の町にそのメロディーが響きます。

小田急のイメージキャラクター、もころん。

子供向けの設備も多いですが、古い車両が多く展示されるほかジオラマも壮大で大人の楽しめる空間だったと思います。海老名に来られた際はロマンスカーミュージアム。ちょっと寄り道してみてはいかがでしょうか。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年11月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。