小学校給食の無償化を巡り、自民党、日本維新の会、公明党の3党が「国が全額負担する」合意案をまとめた。だが、これは「無償化」という言葉とは裏腹に、実態は国民全体への税・社会保険料負担の付け替えである。給食費という分かりやすい象徴の陰で、より深刻な家計圧迫の構造が見過ごされている。
“無償化”ではなく「税負担化」です。
給食費の補助は月4,700円。一方、事実上の税である社会保険料は、年収300万円でも、会社負担込みで月7万円超。実に約15倍です。
問題は給食費ではありません。給食費をはるかに超えて、これほど「手取り」が削られています。この構造を直視すべきです。 https://t.co/LFI1cf0eL9— 幸福実現党政務調査会 (@hr_party_prc) December 16, 2025
給食無償化合意案の概要
- 自民・維新・公明の3党は、2026年度から公立小学校の給食費を無償化することで近く合意する方針である。
- 自治体向けに新たな交付金を創設し、食材費相当額を国が支援する仕組みとする。
- 財源は国の地方財政計画の歳出に全額計上し、一般財源総額を増額して保障するとしている。
- 所得制限は設けず、公立小学校に通う児童の保護者を一律で支援対象とする。
財源論のあいまいさ
- 高市早苗首相は、財源について「歳出改革や租税特別措置の見直し」で捻出すると説明したが、具体策は示されていない。
- 国が全額負担するとしつつ、地方の負担分についても「責任を持って確保する」と述べるにとどまっている。
- 実際には、将来的な増税や社会保険料引き上げで賄われる可能性が高い。
「無償化」の実態は税負担化
- 給食費の補助額は、平均で月約4,700円とされている。
- 一方、事実上の税である社会保険料は、年収300万円の層でも会社負担込みで月7万円を超え、給食費の約15倍に達する。
- 家計を圧迫している本丸は給食費ではなく、社会保険料を中心とする重い公的負担である。
公費化が招くコスト膨張の懸念
- 合意案では基準額を物価動向に応じて毎年見直すとしており、給食費の上昇を制度的に容認する構造となっている。
- 基準額を超える分は保護者負担とするが、実際には「予算を増やせ」という圧力が強まる可能性が高い。
- 出産一時金の増額が出産費用の値上げを招いた例ように、公費化は価格上昇と中間コスト拡大を誘発しやすい。
これ、中学校の給食です。栄養、足りてますか?
給食無償化で、文句も言えないし、
親が弁当をもたせたりおやつを追加するのも禁止。
もっとお金だすから良いものを希望しても一律です。
一律の給食・一律無償化、が招いた結果です。 pic.twitter.com/TFDurmL710— サトウヒロシ🐰特怨忌サロ師。老人支配をぶっ壊す、軽老革命。 (@satobtc) May 5, 2025
教育ポピュリズムの連鎖
- 高校無償化に続き、給食無償化も「分かりやすい支援」を前面に出した教育ポピュリズムである。
- 財源は基金の取り崩しや将来世代へのツケ回しに依存し、国債増発は結局、増税で子ども世代が返済する。
- 年金や社会保障制度の抜本改革には踏み込まず、負担だけを積み上げる姿勢が続いている。
給食費の無償化とは、子育て世帯を助ける「善意の政策」に見える。しかし実態は、負担の見えにくい形で国民全体にコストを押し付ける税負担化である。家計を本当に苦しめているのは給食費ではなく、社会保険料を中心とした過重な公的負担だ。この構造を直視しないまま進む無償化は、問題の先送りであり、将来への負担増を加速させるだけである。






