モーター大手のニデックは19日、創業者で代表取締役グローバルグループ代表(取締役会議長)を務めていた永守重信氏が、同日付で役職を辞任したと発表した。
ニデック、御大が辞任 pic.twitter.com/II1LpEZONj
— ありゃりゃ (@aryarya) December 19, 2025
グループ会社で不適切な会計処理疑惑が調査中という中での突然の辞任は、企業統治や説明責任の観点から波紋を広げている。
- ニデックは、永守氏が「本人の意向」により代表取締役グローバルグループ代表および取締役会議長を辞任し、今後は非常勤の名誉会長に就任すると発表した。取締役会議長は岸田光哉社長が引き継ぐ。
- 同社では2024年9月、複数のグループ会社で不適切な会計処理が行われた疑いがあるとして、弁護士や公認会計士で構成する第三者委員会を設置した。
- 2025年3月期の有価証券報告書は、調査の影響で3カ月遅れで提出されたが、監査法人は監査意見を表明しない対応を取った。
- これを受け、東京証券取引所は2024年10月、ニデックを「特別注意銘柄」に指定し、ガバナンス体制に重大な懸念があると判断した。
- 第三者委員会の調査は長期化しており、不適切会計の全容解明や経営責任の所在は年をまたぐ見通しとなっている。
- こうした最中での永守氏の辞任について、市場関係者や一部報道からは「調査への協力姿勢が問われる」「主たる経営責任者が名誉会長に退くのは不自然だ」との批判が出ている。
- 永守氏は1973年に日本電産(現ニデック)を創業し、積極的な企業買収と海外展開で売上高2兆円を超える企業へと育て上げたが、その強烈なトップダウン経営が、会計不正を招きやすい企業風土を形成した可能性も指摘されている。
- 辞任に際して公の会見は予定されておらず、経営トップ自らが説明の場に立たない姿勢について、「歯に衣着せぬ直言で知られた経営者としては、あまりに静かな幕引きだ」と落胆の声も上がっている。
第三者委員会の調査が続く中での永守重信氏の辞任は、経営責任や説明責任から距離を取る動きと受け止められても仕方がない。創業者として築いた功績が大きいからこそ、不適切会計疑惑への向き合い方が厳しく問われており、名誉会長就任で責任問題が曖昧になることは許されない。調査への全面的な協力と、企業としての説明責任を果たせるかが、今後のニデックの信頼回復の鍵となる。






