高市首相は国会での論戦からすら逃げて「子どもたちを戦場へ送る」ことと「円を紙屑にすること」との白紙委任状を求めて解散に打って出たといったら誇張だろうか。「高市早苗が総理でいいか問う」と総理は言ったが、国会での論戦を避けて白紙委任を求める姿勢にしか見えない。

高市首相 首相官邸HPより
「間接的ですが、国民の皆様に内閣総理大臣を選んでいただく」というが、日本は首相公選制でなく議院内閣制であり、両院制であるから、いささか不穏当な言い方だ。予算についても、議論もせずに衆議院で否決されたわけでも成立の見通しがないわけでもないのに解散というのは理屈に合わない。
かつて日中戦時中の林銑十郎内閣が、解散をちらつかせて予算を通させながら、そのあとに解散して「食い逃げ解散」といわれたが、それに近いものだ。
自民党と日本維新の会の連立政権合意書やそれを発展させることについて白紙委任状をとりたいと言わんばかりであるが、米国の大統領選挙でも勝ったからといって大統領が独裁者にはなれるわけでないのに何を思い上がっているのだろうか。
軍拡や治安立法強化をうたい、台湾有事について軍事介入する可能性に言及するなどしているが、昭和の戦争でもここまで急ピッチで軍国主義化を進めたわけでない。
また、アベノミクスの積極財政については、①そもそも間違っている、②マクロ経済政策は長期的な経済成長には役立たず短期的なカンフル剤効果しかないので短期間のみ、③インフレになるまでは続けて良い、④インフレになっても続けたらよいという立場があると思う。
私は②で、マラソンでいえば走力や体力の向上が経済成長の基礎で、マクロ経済政策はペース配分とか作戦とかの効果しかないという立場で一貫してきた。それに対して代表的なアベノミクスのイデオローグだった浜田宏一氏は③であるが、高市首相は④らしい。これは教科書で間違っていると言われてきた通りのことをするのであるから、成功する可能性はまずない。
国防との関係でいっても、戦争のときはチャーチルやサッチャーのように金に糸目を付けないこともありだが、それは日ごろからサッチャーやプーチンのように超緊縮財政で財政を健全化しておいてこそ成功するのである。赤字財政は自衛戦争もできなくするものだ。
自民党のほとんどの議員はそんな愚かでないが、高市首相が求めている白紙委任状的なものに賛同できないなら、少なくとも自民・維新に過半数を与えないことが日本人の良心と生命と財産のために不可欠だと私は言い切りたい。
私は自民党をぶっ潰せと言っているのでない。ただ、自民と維新に過半数を与えなければ、高市首相は退陣すると言っている。これが日本を戦争と経済崩壊から救うための目標だ。
自民党に対して新しい中道改革連合が過半数をとることはないだろうし、相対第一党になる可能性もそれほど大きくはない。
彼らにとっては、本当の勝負は、改選されるのが安倍暗殺事件のあとの弔い選挙で得た部分であることから圧倒的に有利な条件になる次期参議院選挙で確実に勝つことと(2021年は定数124で自民63と維新12。2024年は自民39で維新7)、もしかすると同時選挙になる次期総選挙までに単独政権を狙える党になることだと思う。
ただ、斉藤鉄夫代表には政権を担う覚悟を固めてほしい。新しい党が過半数をとるのは難しいだろうから、野田代表が総理になるのが常道ともいえない。野田・斉藤の両者を並べたら、普通には斉藤代表にも国民の期待は集まるはずだ。
野田代表も再登板したらという思いで研鑽してきたとは思うが、新鮮さ、知性、国際人としてのリテラシーや安倍氏と同様の長身という強み、職業人としての実績など、どれをとっても優位にある。
玉木代表が総理を狙うなら、斉藤代表も狙ってもいいはずだ。もし自民と維新で過半数が取れなかったら、新しい自民党総裁(私は茂木支持)、野田&斉藤、玉木から岸田、石破の再登板までさまざまな可能性があるが、新しい党の中では、中道改革連合がフルスペックの代表選挙をできる体制が整うまでは(党員数でいえば公明党のほうが45万人、立憲民主党が12万人でこのまま党員投票はできないだろう)、斉藤代表に預かってもらうのが私にはいいように思う。
高市首相について厳しいことを書いたが、議員や閣僚としての高市首相を否定しているわけでない。ただ、一人で考え、「まあいいっか」と独断専行するスタイルはリーダー向きでないと思うのだ。
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