中国、モスクワに多連装ロケット砲供給

ウクライナ国境警備隊によると、ウクライナのドローンパイロットがロシア軍が使用する中国製多連装ロケットランチャーを爆破した。国境警備隊と国防軍の部隊が南部戦線に配備していた63式ロケットランチャーをドローンで攻撃したという。公開情報によると、この兵器システムは中国製だ(ドイツ民間放送ニュース専門局NTV1月30日)。

中国製「63式107㎜ロケット砲」 Wikipediaより

多連装ロケットランチャー(MRL/MLRS)とは、短時間に多数のロケット弾を連続して発射し、広範囲を制圧することを目的とした火力支援兵器。2025年から2026年にかけて、ロシア軍が中国製の63式107mmロケット砲(Type-63)を実戦投入している様子が確認されている。これらのシステムは、北朝鮮でも「75式」としてコピー生産されており、ロシアが北朝鮮から供与を受けたものの中に中国製、あるいはそのコピー品が含まれている可能性は考えられる。

中国製の多連装ロケットランチャー(MRL)は、「122mmから300mm以上の口径を持ち、高い面制圧能力と機動性を特徴とする。代表機種はロシアの「BM-30」を基にした長距離の03式300mm自走ロケット砲や、輸出向けに設計された高性能なSR-5122/220mm多連装ロケットシステムなどがある」(ウィキぺディアから)。

キーウからの情報によると、ランチャー本体だけでなく、中国製ロケット弾の供給も指摘されている。ロシア軍の在庫から中国製の107mmロケット弾(RSZO-107-OF)が見つかっており、これらは第三国(北朝鮮やイランなど)を経由してロシアに渡ったと推測されている。

直接的なランチャーの供与とは別に、ロシア製MRLの近代化に中国製部品が深く関わっている。ロシアの最新鋭MRL「トルネードS」の誘導ロケット弾から、中国製メーカーのジャイロスコープなどの電子部品が見つかっている。ロシアのミサイル工場には中国製の大型旋盤や精密工作機械が導入されており、最新の極超音速ミサイル「オレシニク」などの製造を支えているといわれてきた。

中国はウクライナ戦争では中立を堅持し、キーウにもモスクワにも武器を供給していないと主張してきたが、ここにきて中国製武器類が戦場で次々と発見されている。中国外務省は一貫して「紛争当事者への致命的な兵器(殺傷兵器)の供与は行っていない」と強く否定。発見された兵器については「関知していない」とし、軍民両用(デュアルユース)品の輸出管理は厳格に行っていると説明している。

なお、トランプ米大統領は29日、ロシアのプーチン大統領との電話会談で、マイナス30度の厳冬に直面しているウクライナのために1週間、キエフをはじめとするウクライナの都市のエネルギー関連施設への攻撃を停止するように要請し、プーチン氏はそれに同意したと発表したが、トランプ氏の1週間停戦合意について30日の段階で多くの憶測が飛び交っている。

クレムリンのペスコフ報道官は30日、インターファクス通信に「トランプ大統領はプーチン大統領に対し、協議に有利な条件を整えるため、2月1日まで1週間、キーウへの攻撃を控えるよう個人的に要請した」と語った。プーチン大統領が停戦に同意したかについては、「もちろん、トランプ大統領からの個人的な要請だった」と答えるのに留めた。ウクライナのゼレンスキー大統領は、これは正式な停戦ではなく「機会」だと述べた。

モスクワはここ数週間、ウクライナの電力網への爆撃を強化している。1月には、これらの攻撃により数万世帯の電力供給が繰り返し遮断された。主要都市では、すでに数百万人が電気、暖房、給湯を失っている。首都キーウのような大都市は特に影響を受けている。ウクライナ気象局は、夜間の気温は氷点下30℃まで下がる見込みだという。極端な気温は、特に高齢者、子ども、病人にとって「生命を脅かす危険」となっている。

プーチン大統領と習近平国家主席 クレムリン公式サイトから


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。