noteの"やさしい収益化"は、本当にやさしいのか

chinaview/IStock

この本は初心者向けだ。noteの有料記事・マガジン・メンバーシップについて、「信頼を育むツールです」「フォロワーを追うのではなく、あなたの言葉だから読みたいと思ってくれる人とつながる橋です」と、まあ、きれいな言葉が並んでいる。

概念としては、正しい。正しいのだが…微妙だ。

noteの始め方―言葉で世界とつながる」(末吉宏臣 著)きずな出版

私もnoteをやっている。ブログもやっている。だから言わせてもらうが、フォロワーは簡単に増えない。有料記事を書いたって、そう簡単には売れない。これが現実だ。

本書は「無料記事が”出会い”なら、有料記事は”関係の始まり”」と説く。読者が知りたいのは、あなたがどう悩み、どう考えたかという思考のプロセスだ、と。等身大の深掘りこそが信頼を生む、と。わかる。わかるのだが、「じゃあ具体的にどうすんの?」という話がない。

たとえば、有料記事のタイトルはどうつければクリックされるのか。価格設定は100円がいいのか500円がいいのか。マガジンにまとめる記事の本数は何本が最適なのか。メンバーシップの月額はいくらに設定すべきか。そういう話が、一切出てこない。

「信頼を重ねれば収益はあとからついてくる」。

いや、ついてこないから困ってるんだって。知らんけど。

話を戻すと、本書が言っていること自体は間違っていない。noteという場所の思想を理解するには、よくまとまっている。はじめてSNSで記事を書こうとしている人、ブログとnoteとどちらを選べばいいかわからない人には、入り口として悪くないだろう。

ただ、その程度の内容なら、noteの公式ガイドを読めば済む話ではないか。わざわざ本を買う理由が見当たらない。

本来であれば高得点をつけてもいい本かもしれない。概念は正しいし、語り口もやさしい。しかし、私自身がSNSを駆使してきた一人なので、どうしても甘い点はつけられない。

方法論なき理想論は、結局のところ、読者を気持ちよくさせるだけで終わってしまう。それは”やさしさ”ではなく、ただの”ぬるさ”だ。

辛口ですが、良著であることは間違いない。そこは誤解のないように。

※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

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