ユートピアニズムからリアリズムへ、そして世界大戦へ

イラン戦争は4年前のウクライナ戦争に似ている。それは明白な国際法違反であり、主権侵害だが、今回それを指弾する声はほとんど聞こえない。その理由はウクライナ戦争が領土的野心によるものだったが、今回はそうではないという違いだけではない。もはや国際法による秩序が機能しなくなったからだ。

国際法という法律は存在しない。それはカール・シュミットが指摘したように、英米中心のキリスト教共同体の規範であり、その価値観を共有しない国に(強制力なしに)そのルールを守らせることは困難である。

E.H.カーは1939年に出版された『危機の二十年』で、第1次大戦後の国際秩序をユートピアニズムからリアリズムへの変遷として描いた。当時は国際連盟や不戦条約などのユートピア的な国際秩序ができたが、それは1930年代に日本の満州事変やイタリアのエチオピア併合、そしてドイツの起こした第2次大戦で破壊された。

本書も冷戦終結後の30年の歴史を民主主義と新自由主義というユートピアの挫折として描く。冷戦後に国連中心の国際秩序を破壊したのは中東のテロ国家とロシアだった。ここでは英米的な価値観が共有されていないので、力によって秩序を維持する弱肉強食のリアリズムしかありえない。

イラン戦争が深刻なのは、それを国際秩序の中心だったアメリカが破壊したことだ。1941年にもアメリカは日本を挑発して第2次大戦に参戦したが、今回はトランプ大統領が秩序破壊の先頭を切った。ウクライナ戦争も終わらない今、第3次大戦の可能性はゼロではない。

続きはアゴラサロンでどうぞ(初月無料)

コメント投稿をご希望の方は、投稿者様登録フォームより登録ください。

コメント