ネット時代に合わせて公職選挙を変えよう

山田 肇

MicroStockHub/iStock

2月に実施された衆議院選挙には多くの批判が出た。

「吹雪だと街宣車の上に立てない。窓を開けて手を振ることもできない」(毎日新聞)
「候補者が(有権者と)接する機会をつくれない」(福井新聞)
「こんな大雪の時に選挙やるなんてバカじゃないの」(東京新聞)
「奈良の総理は北国を知らない」(朝日新聞)。

確かに雪国で選挙を実施するには多くの困難があっただろう。総務省による公式発表はまだだが、投票率に影響を与えたかもしれない。

朝日新聞は「衆院選の鳥取1区、2区をあわせた小選挙区の投票率は47.69%で、前回2024年の58.10%を10.41ポイント下回った。……鳥取市で8日午前7時までの6時間に30センチの積雪が観測されるなど、県内が記録的な大雪となったことが低投票率の要因とみられる」と伝えている。

公職選挙法はアナログを前提に作られている。これをネット時代に合わせて抜本的に改正すれば、雪国問題を含めて、多くの問題が解決できる。

公職選挙法の起点は、1928年に実施された日本における最初の普通選挙だそうだ。普通選挙運動導入に伴う選挙関連の法令改正により、戸別訪問の禁止、立候補届け出制と供託金の導入、選挙運動資金制限が実施されることになり、俗に「べからず選挙」とも評されるわが国のきわめて複雑な選挙運動規制の端緒は、ここにある(湯淺墾道氏による書評:『第一回普選と選挙ポスター 昭和初期の選挙運動に関する研究』)。

第二次世界大戦後の1950年に公職選挙法が制定された。法制定の過程では「均一化、画一化された共通の選挙運動」が重視され、その結果、従前の「べからず選挙」がそのまま残された(安野修右、「公職選挙法制定と選挙運動規制」)。

選挙ポスター掲示板は選挙管理委員会が設置する。それ以外の場所に候補者はポスターを掲出する「べからず」。

選挙期間外に民家の塀などに掲出したポスター(政治活動ポスター)は、選挙期間ははがさなければならない。政治活動ポスターを全部はがして、選挙ポスターを全部はるという人力作業が選挙の告示日に合わせて行われている。そして最大の問題は、選挙ポスターも政治活動ポスターも誰も見ないこと。ポスター掲示板の前で立ち止まる人などいない。

候補者が自分の名前を浸透させるためのツールがポスターとされてきたそうだ。しかし今や自分の名前を浸透させるにはネットが勝る。政治家は公式サイト、メールマガジン、SNSと多様な手段を駆使して、自分の信条を発信している。それらが支持者に届けば、支持者がリポストして多くの人々に拡散していく。

中道は選挙直前に候補者を緊急募集し、担当した逢坂氏(立憲民主党選挙対策委員長)は「公募したかいがあった」と手応えを語ったという。しかし公募した候補者が急にSNS発信を始めても、選挙ポスターを掲出しても浸透には限りがある、日常的にネットを駆使している政治家に勝てるはずもない。

まともな政治家なら政治活動ポスターには価値がないと知っているから、ネット時代に合わせて、公職選挙法の政治活動ポスター「べからず」規制は削除すればよい。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では「ネット時代の国政選挙」について3月27日にセミナーを開催する。どうぞご参加ください。

 

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