脱北者団体「北に国連平和軍派遣を」

長谷川 良

英国のロンドンに本部を置く「国際脱北者連帯:人権と民主主義の為の国際北朝鮮協会」(INKAHRD)は10日、北朝鮮が9日、5回目の核実験を行ったことに対し、「金正恩(朝鮮労働党委員長)の排除こそ朝鮮半島の非核化の道」という趣旨の宣言文を発表した。INKAHRDは脱北者の国際組織(金主日事務局長)だ。

▲INKAHRDのロゴ(INKAHRDのHPから)

▲INKAHRDのロゴ(INKAHRDのHPから)

以下、その宣言文の概要を紹介する。

命がけで故郷の北朝鮮から逃げてきた世界の北朝鮮国民は金正恩が9日実施した5回目の核実験を厳しく糾弾する。金正恩は国民の困窮にもかかわらず狂ったように権力を追及する独裁者だ。彼は国際社会の懸念にもかかわらず、今年1月に4回目の核実験を実施したが、その8カ月後に再び核実験を行った。わが国の建国記念日の9日に核実験を実施したことは、彼が核兵器を自身の権力維持のために利用していることを明確に示す宣言のようなものだ。
金正恩は父親・金正日(労働党総書記)の足跡に従って、国民の平和と人権を完全に無視して権力を追及している。そのもとで多くの無実の国民が独裁者の気分によって殺害されている。

核実験地域の吉州郡の万塔山は核実験による放射能に汚染されている。山から流れる水を飲む吉州郡の住民はさまざまな不治の病気に侵され、奇形児が生まれ、住民の死亡率も高い。
そのうえ、8月、両江道地域の住民や咸鏡北道の住民たちは大洪水のため悲惨な状況下にあり、国際社会からの支援を必要としている。にもかかわらず、金正恩は貴重な外貨を核開発とミサイル開発に浪費している。このことは彼が国を指導できる資格がないことを示している。

北朝鮮の民主主義と自由を実現する為に努力している北朝鮮国民、世界の脱北者グループは北の5回目の核実験を厳しく批判する。

われわれは国連に対北制裁を即中止することを要請する。制裁は全く効果がないからだ。国連は平和軍を即派遣し、金正恩とその政権を即排除することを求める。朝鮮半島の非核化と平和と人権の改善は、金正恩とその政権を排除しなければ実現できない。
米国と国連が南北間の武装競争から何らかの利益を得ようとする目論みがないのなら、金正恩とその政権を排除すべきだ。世界の平和維持は国連の役割であり、北朝鮮国民の生活権を守ることも国連の使命ではないか。

独裁者は決して核兵器を断念しない。国連平和軍を即派遣し、金正恩を排除すべきだ。

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韓国「聯合ニュース」日本語電子版によれば、韓国軍は11日、「北朝鮮に核兵器の使用兆候がみられた場合に金委員長ら戦争指揮部を排除する任務を担う特殊作戦部隊を別途編成した」という。平壌指導部への軍事攻撃プランが進行中というわけだ。

既に報告済みだが、米韓両軍は今年に入り、北朝鮮の核・ミサイル施設への先制攻撃も念頭に置いた軍事演習「5015」を訓練中だ。「5015」は、北朝鮮による韓国侵攻を想定した「5027」や、北朝鮮の急変事態に対応する「5029」などを総合した作戦計画で、昨年6月に米韓が立案したもので、北の最高指導者・金正恩第1書記の暗殺も排除していないという。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年9月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。