どうする日中関係

聖徳太子が実在したかどうかこれはわかりません。厩戸王は実在しているのですが、聖徳太子=厩戸王とは思い難いところはあります。ただし、聖徳太子が行なったとされる様々な改革は明治維新と並ぶほどの改革であり、誰がやったにせよ、日本の創生の一幕と言ってもよいかと個人的には考えています。

聖徳太子なり誰にせよ、当時行なった1つの施策が遣隋使であります。大陸の文化、特に当時は仏教伝来だったのですが、仏教を宗教ではなく、文明として捉え、聖徳太子なりの国際感覚で朝鮮半島と中国(当時は隋)に学ぶために遣隋使を派遣したわけです。1度目はけんもほろろでした。2度目は皇帝の煬帝に会うことができます。その時の親書の冒頭が有名な「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙なきや」であります。

これを現代語訳すると「太陽が昇る国の天子(日本の天皇)から、太陽が沈む国の天子(隋の皇帝)へメッセージを送ります。お元気でしょうか」であります。今、我々が改めてこれを読めば「あはは」と笑ってしまいます。いくら何でもこんな文章は礼節を欠いており、むちゃがあります。

ところでこの文章のどこが悪いのでしょうか?たぶん多くの方は「そりゃ、日本には陽が昇り、中国は陽が沈むのだろう。気を悪くするわ」と考えますが、煬帝が激怒した本質はそれではなく、「天子」という言葉だとされます。「天子とは中国の皇帝を指すものであり、世界にただ一人しかいないのに日本に天子がいるわけがない」という点でありました。

ですが、この時、煬帝は遣隋使である小野妹子に日本との外交関係を結ぶことを認めます。理由は当時、隋は高句麗攻めで忙しく、面倒なことにかかわっている暇がなかったわけです。

さて、話を一気に現代に戻します。高市氏は壊れた日中関係をどう回復させる気なのか、であります。

日中の外交を語る場合、日米と米中の外交を合わせたトライアングルの関係を理解しないと紐解くことはできません。歴史的にみれば日米関係が多少でもぎくしゃくするならば日中関係は良好になる傾向があります。たとえば石破氏の時はアメリカと上手なコミュニケーションが取れない一方、中国にはひどく肩入れしていました。よって当時は日中関係は良かったわけです。

今般、高市氏が訪米し、トランプ氏と上手なコミュニケーションをとりました。私もほめあげました。(あくまでも当初目的とまるで違う環境下での会談となり、別の意味で世界が注目する中、うまく乗り切ったという意味であります。重い負担や義務を直接的には課されず、経済の話に矛先を仕向けました。私にはディナーの席で中央の真ん中に鎮座していた孫正義氏をうまく利用したと思っています。)

日中関係だけを捉えれば高市氏が結果として、中国との外交をさらに一段、難しくしたとみています。(本人はそう思っていないかもしれませんが。)つまり強固な日米関係の再確認は中国にとってはつまらないわけです。

ここからのシナリオです。本当に5月に米中首脳会談が行われるとします。トランプ氏が仮に中国に甘い話を持ち掛けた場合、中国は米国とのディールを第一義とし、日本はどうでもよくなります。仮にトランプ氏が中国に厳しい条件を提示し、米中関係の雪解けが遠のく場合、通常時ならば中国は日本を取り込もうとするはずです。ところが日米関係の蜜月ぶりがここまで演出されると真逆の状況になり、たぶん、日本が中国との関係改善をすることは高市氏が首相の間はない、という気がしています。

習近平国家主席と高市首相 2025年10月 同首相Xより

冒頭、遣隋使の例を挙げたのは実は、私、ふと思ったことがあったのです。当時の日本と隋(中国)と高句麗の関係を現代に置き換えてみたのです。隋は中国として、日本をアメリカに置き換え、高句麗を日本と置き換えてみるとどうなるか、であります。中国としてはアメリカから酷い手紙が来ても喧嘩も出来ず、国内状況も悪い中、とりあえず米中関係は触らないでおこう。ならば日本(この場合高句麗)だけが不利な立場に追い込まれる、というシナリオです。

もちろん、歴史を知る人はこう答えるはずです。そうは言っても隋は3度にわたり100万人を超える大遠征で高句麗を攻めたが、失敗し、隋が滅びたじゃないか、と。

そうなのでしょう。歴史の通りになるとすればこのシナリオはあり得るし、今の中国経済や内政の混乱を考えると今の体制が維持できるか瀬戸際にある気もします。私は中国経済の崩壊というより社会制度が不十分かつ現代社会に適合しにくくなったまま、急速に経済成長し、経済規模的に世界のトップクラスに君臨してしまったことでその重みに耐えられなくなり自壊する可能性がないとは言えないと思っています。そして習近平氏が自ら作り上げた「裸の王様体制」が内向きで統治を維持するのが難しい脆弱な社会を作り上げとみています。

とはいえ、日中関係が目先すぐに良くなることはないでしょう。それは高市氏の試練にもなります。隋の時代と今では世の中の仕組みの複雑さが違います。無数の利害関係があり、当然、高市氏に各方面からクレームは相当来ているはずです。それをスルーし続けるとどうなるか、といえばかつて日韓関係が凍りつくほど冷えたあの状態になるということです。

「俺は中国が嫌いだし、俺が中国に行くこともない」という方々の声はとてもよく聞こえるのですが、本当の利害関係者がどう感じているのか、どうしたいのか、ここは慎重に考えるべきなのでしょう。

少なくとも中国が「習近平独裁皇帝」の下にある限り、未来は予見できませんが、高市氏への怨恨を確実に印象付けたことは事実であり、それを修復するきっかけは「対話のドアは開いている」ぐらいのメッセージでは難しいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月31日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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