アメリカが今回の戦争を通じて払う代償は欧州やカナダがそっぽを向くことかもしれません。貿易を含む様々なアメリカとの取引が希薄になる、あるいは欧州やカナダが独自のルートでアメリカに頼らないようにする政策は着実に進むでしょう。今般、日英伊が共同開発する次期戦闘機開発にカナダが興味を示す、あるいは英国がEUとの関係を強化する姿勢を見せていることなどはその一例です。アメリカは誰が大統領になろうと自国中心であり、カナダのカーニー首相が「中堅国(ミドルパワー)」が一体となるという新たな戦略思想は着実に浸透していくとみています。もしもこの戦争の影響があるとすればアメリカ一強が崩れることを意味するかもしれません。
では今週のつぶやきをお送りします。
株価は戻るのか?
皆さん、興味ある話題だと思います。日本株については戦争ショックから立ち直る過程にあります。以前、「戦争の終わりが見えたら戻りは早い」と申し上げました。今その過程にありますが、金曜日の東京市場は正直「酷かった」と思います。指数は1028円も上げましたが騰落を見ると下落1050銘柄、上昇469銘柄と全然ダメだったのであります。では1000円以上上げた理由はと言えば好決算のファーストリテイリングと東京エレクトロンの2銘柄で836円、つまり上げ幅の8割を制したわけです。日経平均が如何にいびつかお分かりいただけると思います。あとは半導体祭りで他銘柄は陽も当たらず、でした。
では長期的に見て日本株はどこまで魅力があるのでしょうか?エレメントはいくつかあるのですが、今のようにインフレになると企業業績は悪くありません。経済学でいう個人と企業と政府の各部門において企業と政府はインフレによるメリットを最大限受けます。個人はタイムラグがあり、キャッチアップ型なので一番割を食うわけです。ところがこのインフレが更に高進すると企業業績が不振となり、政府部門も息切れになり、個人、企業、政府どの部門もしんどくなります。今は踊る時期で実体経済よりまずは台風一過を期待する催促相場に近いのだとみています。
ただ、個人的には人口が減少し、高齢化社会となれば消費マインドは落ち、爆買いを知らないバブル後の世代が主導する中でより堅実な社会となれば内需中心の日本経済はさほど花咲かないとみています。輸出関連は努力次第で堅調だと思いますが、今や電機も自動車もなかなか苦戦し、半導体一本足となりつつある中、次の産業の柱を探さないとダメなわけで政府、特に経済産業省が主体となって新たな産業ストーリー(ナラティブ)を作り出すべきでしょう。宇宙関連はすっかり出遅れました。バイオも言うほど花咲きませんでした。原発はアレルギーが強すぎです。では海を掘って資源開発ですか?ちょっと違う気がするんですよね。30年後の日本が元気になるネタ、探さないと、です。
中国の台湾取り込み作戦は成功するか?
台湾の国民党党首、鄭麗文主席が習近平氏と会談しました。国民党トップが中国トップと会うのは9年半ぶりです。この会談が意味するところは非常に大きいとみています。まず、トランプ氏との会談の一か月前に行われたこと、そして習氏は鄭氏をいたく歓待したこと、そしてこの会談が世界中に発信され、「あれ、台湾と中国は仲が良いのか?」と思わせたことがあります。つまり多くの人は台湾と中国は敵対しているというニュアンスをお持ちかもしれませんが、「そうじゃない」という強烈なメッセージになったわけです。

鄭麗文国民党主席と会談した習近平国家主席 2026年4月10日 中国共産党新聞より
私はこれは中国政府の実に巧みな印象操作だと思っています。しかも鄭氏は身長が習氏と並ぶほどで写真の見た目も「おっ、対等じゃないか」と思わせるほどであります。台湾の政治をちょっとおさらいすると、中国共産党と国民党との激しい内乱のち、国民党が台湾でセトルしたのち、一党独裁政権だったものの1986年に台湾初の野党として民進党ができ、民主化の本格的な芽生えとなるものの選挙では国民党と交互に政権交代をする状態です。現在は民進党出身の頼氏が総統ですが、台湾議会は民進党は少数であります。ここで仮に共産党と国民党が「92年コンセンサス」を超えた関係となるならば共産党と国民党の関係の復活となり、形式的には民進党が傍流になってしまうのです。
このブログでは時折台湾問題を取り上げますが、習近平氏は台湾を香港で行ったような強権でもって取り込むというより台湾をマインド的にナチュラルに取り込む方策ではないかと何度か意見しました。もちろん、時として軍事力に任せて威圧する姿勢も見せますが、本気で武力侵攻することはないとみてます。中国軍の幹部が汚職でガタガタである今、戦えるとは思えず、賭けに出ることは困難だと思います。トランプ氏には台湾との対話は綿密に行われているとプレゼンすることで敵対関係にあるという印象を和らげ、頼清徳政権の孤立化を目指すものと思われます。この問題は台湾内部の問題であり、今は日本もあまりちょっかいを出さず、静観せざるを得ないと思います。
中山美穂さんの相続問題
中山美穂さんのパリ在住のご長男が美穂さんの遺産約20億円の相続放棄をすると発表し、話題になりました。相続税率が55%の場合、単純計算、相続税が10億円を超えるわけです。遺産の中身がわかりませんが、もしも不動産などの場合は期限内に処分できなければ遅延となり、厳しい取り立てに合うわけです。この問題が国会の委員会でも取り上げられるほどであります。コメンテーターはほぼ、異口同音に「世界最高水準の相続税は酷い」と。私もこのブログではずっと相続税はなくすべきではないか、と主張してきました。
では相続税がないカナダは楽なのか、といえばむしろ厳しいぐらいです。カナダと日本は相続という考え方が全く違い、カナダは本人が死んだ時点で本人の資産の清算という発想であり、課税は死んだ人が対象、日本は相続を受ける人がもらった財産の相続税という形です。実は私は今、会計士などと私が死んだときの清算に伴う税金の扱いとその支払い方法を検討しています。なぜ今か、といえば死んだときの清算額=キャピタルゲイン課税が巨額になる一方、私個人にはそんなお金はないのでその支払いを担保するための作戦です。やり方はいくつかありますが、10年がかりの計画となり、私は生命保険のスキームを使う手を検討しています。
事業主が会社を家族に譲渡する場合でもカナダは譲渡した段階でキャピタルゲイン課税がかかりますが(家族への相続の場合は支払いの延納可能)、日本は事業主が死んでも相続人に引き継がれればその時点での税金は発生せず、第三者に売却したときにしか発生しません。その点だけ見れば事業主が死んだときは日本の税制のほうが優しいともいえるわけです。一概にアメリカやカナダは相続税が緩いといいますが、そんなのは複雑な税制の一部分だけを取り出した話であり、どちらが得かというのは全体を見ないと全然比較にならないのです。ただ、カナダでは極めてテクニカルな方法で例えば死んだ時の課税額を今、確定させる方法もあり、あの手この手で対策を練るのが普通です。それにしても私も今から死んだ時の納税計画を練っているわけですが、これではおちおち死んでられん、というのが私のつぶやきです。
後記
国際線の飛行機に乗って最近感じること。機内食は必要か、であります。今回は全日空だったのですが、バンクーバー便は夜の10時羽田発ですから晩飯は食べてきているので機内では食べません。だけど配るんですよね。食べている人も本当に食べたいのか、ブロイラーの鶏状態(=動かないで食べるばかりの状態)になっているのかよくわからないのです。というのは無料の食事がないZIPエアーに乗ると機内で有料の食事をする人はまばら、持ち込んだ食べ物を食べている人も少ないのです。多くの人は空港で食べてきているのでしょう。ならば手間がかかる機内食は有料にして余剰のサービスを別の形にしたほうが良いのではないか、と思うのです。昔は機内食ってワクワク感があったのでしょうが今じゃ給食のようなもので嬉しくもなんともないのであります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月11日の記事より転載させていただきました。







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