OTC類似薬の自己負担増よりバラマキ盲目的延命医療の解決を

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来る診療報酬改定で、市販薬と同じ成分の処方薬の自己負担を25%増しにするという。900億円の医療費削減効果があるというが、国民医療費48兆円に対しては雀の涙であり、本質的・根本的対策、つまりバラマキ老人医療と盲目的延命こそ、痛みある社会保障改革により改革すべきだ。

国民医療費はどんどん膨張している。超高齢化により医療費を多く使う後期高齢者が増えているためで、ある意味では当然だ。しかし一方で、処方額1位は保湿クリーム、2位は湿布である。それを使っても多くの人は治らない。バラマキ老人医療でタダ同然なので、大して効かないが欲しがるのだ。

十数年前、有料老人ホームに在籍していたとき、全身に湿布を貼りミイラのようになって胃が痛いという老婆がいた。もちろん副作用である。すぐに剥がしたのは当然だ。

病院通いで忙しいと病気自慢しながら、十数種類の薬を山ほど飲む老人も少なくない。多剤併用の害が言われて十数年、副作用が起きてもどの薬のせいかも分からない。そのせいで寝たきりになってしまった人を、90年代に訪問看護したことがある。薬を最低限に整理し、在宅リハビリで半年かけてポータブルトイレを使えるまで回復させた。訪問看護が週3回までの時代である。

そのような無駄・無益・有害な医療のナンセンスこそ、まず正すべきだ。かかりつけ医登録制度を厚労省は進めようとしているが、医師会は診療科と医師の専門性を理由に抵抗している。この2〜3年でクリニカル・イナーシャ、つまり「惰性的診療」も問題にされ始めている。

マイナ保険証にするなら、病歴・処方歴を一元管理し、それぞれの医師がきちんと参照すればよい。電子カルテも統一規格化が進められているため、重複処方や併用禁忌、あまり意味がなさそうな長期処方は、システムが警告すればよい。

そして本丸は、高齢者の自己負担割合と盲目的延命医療である。例えば、車椅子状態だとおよそ要介護3だが、この状態で倒れたら元の状態に回復することは難しい。つまり寝たきりになる可能性が高い。本人の意思決定能力など状況にもよるが、一定の要介護度や年齢、重症度が高く回復可能性が低い場合は、積極的治療を差し控え、緩和ケアを基本とするよう、保険給付制限を考えるべきだ。

高齢者の自己負担割合はこれまで特例が続いていたが、特例を廃止し自己負担3割になれば、自ずと盲目的延命に金をつぎ込もうとすることも減るはずだ。タダ同然だから、「なんでもできるだけやってくれ」と考えなしに言うのだ。

後期高齢者医療も、一番医療費がかかるのに一番負担が少ないのは、受益者負担としておかしい。せめて2割負担にするべきだ。無駄な検査や薬がなくなれば、結果的に自己負担は増えないか、むしろ減る。

百寿者(100歳以上)が増えたと毎年報道され、今年あたり10万人を超えるが、その9割かそれ以上は寝たきり同然で、生かしてもらっている状態である。何がめでたいのか。ちなみに、90代あたりを超えると、一人あたり医療費が減るという。「もういい」と本人も家族も思うのか、本人の意思決定能力がないためか、あるいは家族の負担が大きいからか。

介護給付は約12兆円で、超高齢化のピークは2040年頃のため、まだまだ増大する。しかし労働者人口減で支え手は減る。国債で賄うとしても、それを償還する原資である税を払う現役世代が減り、支えられなくなる。日本の社会保障は「世代間扶助」であり、言い換えるとツケ送りリボ払い的なネズミ講システムである。これは少子化のもとでは破綻する。

そうなる前に、最も医療費、さらに年金・介護給付を増やすばかりの盲目的延命について、保険給付を制限するべきだ。

老人医療費はまさにトロッコ問題化している。回復しない老人のために際限なく老人医療費に血税を注入し続け、子孫世代に莫大な国債による借金を遺すのか。それとも回復しない老人の医療を制限し、これ以上の子孫世代の負担を増やさないようにするのか。

日本の国債残高は1000兆円超えで世界最悪だ。すでに若者たちの結婚願望は低下している。超高齢化と経済縮退という暗雲を実感しているのだ。方針の切り替えは一刻も早く行うべきだ。

 

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