GWは休むのではなく「頑張るウィーク」こそ理想

黒坂岳央です。

ゴールデンウィークに「予定がない」と答えた人が4割を超えたという調査結果が出た。予算も前年比で1500円ほど減少し、メディアはこぞって「消費萎縮」「物価高の影響」と報じている。

しかしこの解釈は本当に正しいのだろうか。

筆者はむしろ逆の読み方をしている。「GWに乗らない」という合理的判断をする人間が増えてきたのではないか、と。

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GWは「全員が損をする構造」になっている

ゴールデンウィークの本質的な問題は、需要の極端な集中にある。

全国民がほぼ同じ期間に休む。当然、宿泊費・交通費・飲食費は跳ね上がる。観光地は混雑し、高速道路は渋滞し、レストランには行列ができる。消費者は割高な価格を払い、混雑の中で疲弊し、「休暇」のはずが「苦行」になって帰宅する。

筆者自身、テーマパークや観光地は最初から諦めて、子供を近所の公園に連れて遊ばせていた。だが同じことを考えた親子連れが大量に集まり、普段は閑散とした公園もGW中は順番待ちができるすし詰め状態になる。あちこちにテントが張られ、ピクニックも始まったのでボール遊びも難しい。子供が遊べるスペースはなく、結局早々に撤退した。

「みんなが同じことを考えて同じ場所に集まり、全員が過密体験をする」これがGWの正体である。

経済学的に言えば、需要の集中は価格を吊り上げ、供給は限界に達し、消費者余剰が著しく低下する。GWとはそういう期間だ。

海外でも国内でも「中途半端」というジレンマ

「それなら海外に行けばいい」という意見もある。日本のGWは日本国内の話であり、海外に出てしまえば混雑とは無縁、これは理屈としては正しい。

しかし現実には、GWの連休は海外旅行を十分に楽しめるほど長くない。ヨーロッパや南米に行くには日数が足りず、近場のアジア圏は同じく日本人観光客で溢れかえる。

結果として、国内は混む・海外は中途半端・コストは高い、という三重苦になる。GWという連休は、設計上「何をしても損をする期間」になりやすいのだ。

休日をアービトラージする

ではどうするのがベストなのか。答えはシンプルで、「乗らない」ことだ。

筆者が会社員だった頃、上司からこう言われた。「GWはがんばるウィークにするぞ」。今思えばブラックな響きもあるが、結果的にこの判断は正解だった。GW中は上司と二人で誰もいないオフィスで静かに、そして生産性高く働くので仕事は非常に捗った。電話もならないし、会議もない。仕事がスムーズに進むので上司も機嫌がよかった。

そして休暇はずらして取る。閑散期の宿泊費は安く、観光地は空いており、移動もスムーズだった。同じ金額で、明らかに質の高い体験ができた。これはコールセンター派遣をしていた時期から同じようなことをしていた。お正月やGWに出勤すると時給が上がるのだ。学生時代はひたすら勉強だ。

自分は若い頃から「長期休みは働くか勉強」これがデフォルトだったので、独立して子供ができるといきなりGWをどう扱えばいいかわからくなったのだ。しかし、途中で気づいた。昔からやっていたとおりに過ごせばいい。GWは頑張るウィークにするのだ。

これは休日のアービトラージだ。GWという制度が存在するからこそ、乗らない側に割安メリットが発生する。

重要なのは、「みんながやっていることを疑う」という思考習慣だ。大多数が同じ方向に動くとき、そこには必ず混雑と割高が発生する。逆張りが有効になる条件が揃っているだろう。

子供にも「戦略としての逆張り」

筆者の家庭では、子供たちとGWの過ごし方について話し合いをした。「みんなが動く時期に動くと損をする。だから賢く時期をずらそう」と。合意が取れ、GW中は子供は勉強を、親は仕事を頑張ることになった。そして遊びと旅行はずらして取る。

実際、閑散期に旅行すれば同じ予算でより良い宿に泊まれ、混雑なく観光地を楽しめる。GWを1週間ズラして旅行にいっても、混雑を除けば観光地の状況はほとんど変わらない。だが子供にとっても体験の質は上がる。「我慢した結果、より良いものが手に入った」という成功体験は、長期的な思考習慣の形成にもつながるだろう。

冒頭のGWに予定がないと答えた4割超の人々は、本当に「お金がなくて動けない人」だけなのか。筆者はそう思わない。

自分と同じように「休日のアービトラージ」を選ぶ人が増えているのではないだろうか。混雑と割高を避け、静かに過ごすか勉強や仕事に充てるという選択を意識的にしている層が、確実に存在する。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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