3月下旬、四国を旅行しました。

香川県の西端、観音寺で車を借りたのですが、一部を除いてはノープラン。どこに行こうか考えていませんでした。少し考えて向かったのは、徳島県。

赤が鉄道、青が道路。
徳島県の代表的な景勝地である大歩危(おおぼけ)峡は、観音寺から向かう場合、一旦多度津に向かったあと土讃線に乗り換えて高知方面に向かう大回りのルートを取らないといけないですが、車なら比較的まっすぐ行けます。1時間強でアクセス可能です。
1億年の時が作り出した渓谷美・大歩危峡

車をかっとばして大歩危峡に到着。大歩危と書いて「おおぼけ」。難読地名であり、「大ボケ」にも通じる珍地名です。大股で歩くと危ないから、という理由でこの名がついたとされますが、断崖絶壁のことを古語で「ほき」といい、規模の大きいほき、という意味もあります。大歩危の北側には小歩危(こぼけ)もあります。

大歩危峡を形作るのは約1億年前に海底に溜まった砂の地層。これが地下数十キロのところまで運ばれたところで圧力がかかり、硬い岩石となりました。その岩石が後に地上に持ち上がったのですが、この過程で硬い岩石に亀裂が入ります。川の流れが硬い岩石にぶつかるとその衝撃で亀裂が徐々に大きくなり、亀裂に沿って岩が崩れ落ちて断崖絶壁が完成するのです。

大歩危峡の断崖絶壁に鯉のぼりが渡されていました。これだけの峡谷に鯉のぼりを掲げるのは大変な作業だったのではないかと思います。大歩危峡の春の風物詩です。


さて、道の駅大歩危には妖怪屋敷があって、こんな妖怪がたくさんいます。
この地域は今でこそ鉄道も道路もありますが、かつては深い森や険しい渓谷で、山の神や川の神が住むと信じられていました。そんな信仰が徐々に妖怪伝説と結びついていきました。古来よりここに住む人たちは、自然の驚異や不思議な現象を妖怪の仕業と考えてきたのです。

大歩危の多くの妖怪の中で、全国的に有名な妖怪がこちら。児啼爺(こなきじじい)です。もともとはこの地方のローカル妖怪だったんですが、ゲゲゲの鬼太郎のキャラクターとなったことで一躍全国的に有名になりました。

意外に開けていた祖谷渓「祖谷のかずら橋」へ
大歩危峡の観光を終えたあと、観音寺に戻るかどうか悩んでいました。徳島きっての観光地「祖谷のかずら橋」は大歩危峡から車で15分ほど。いけない距離ではないんですが、かずら橋のある祖谷渓は日本きっての秘境と呼ばれており、険しい山にあって道が狭く、いくのが大変じゃないかと思ったのです。
ただ、ここで行かなかったらまたしばらく行くチャンスは来ない。そう思い、危険をわかったうえで、意を決して祖谷のかずら橋まで向かうことにしました。が、


広い土産物屋店内。
現地はこんな立派な土産物屋があって、広大な駐車場が整備されていました。道路も整備されていてずっと車線のある道でした。かつては断崖絶壁を越えないとたどり着かない秘境だったといいますが、今は秘境というにはちょっと物足りない。でもアクセスは各段にしやすくなり、快適なドライブでした。

かつて棚田だった場所は石垣が残りその面影を残しています。その上部では桜が咲き始め、山里にも春が来たことを告げていました。そんな棚田の跡を横目に見ながら、祖谷渓きっての観光名所「祖谷のかずら橋」に歩いていきます。

祖谷のかずら橋とご対面!
川に架かる橋から祖谷のかずら橋を望みます。今はちゃんとした橋がかかっていて、かずら橋は観光用。向かって左から右方向へ一方通行で歩いていきます。シラクチカズラとよばれる植物でつくられており、3年に一度架け替えられます。


550円の入場料を払って、かずら橋を渡ります。この緊張感は静岡県の大井川に架かる吊り橋を渡るとき以来。足場となる木の板は隙間が結構空いていて、足を踏み外さないか不安になりますし、他の人が渡る振動でゆらゆらと揺れてスリルを感じます。

前を渡っていた家族連れ。カズラで編まれた手摺を必死に掴んでゆっくり歩く子供たちをよそにお母さんはひょいひょいと先に進んでさっさと対岸へ。カメラを子供たちに向けて「は~い 笑ってぇ~」と声をかけていました。
「笑えるか―――――! できるかーーーーー! ばかーーーーーー!!!!」と吠える反抗期の子どもたち。反抗するのにへっぴり腰のヘタレ具合が見ていて面白かったです。お母さん、あっぱれ。

無事橋を渡り終え、川に降りてみます。川から望むと改めてかずら橋、意外と高いところを渡っていたんだということを実感します。水面上14mだそうです。

琵琶の滝
かずら橋のすぐ近くにある「琵琶の滝」は壇ノ浦の戦いに敗れ、この地に落ちのびた平家の人々が京を懐かしんで琵琶を弾きながら眺めたことからこの名がついたと言われています。祖谷は安徳天皇を匿いつつここまで落ちのびたものの、天皇が亡くなり、平家の再興を断念した地であると伝えられています。

香川県からひと足伸ばしてやってきた2つの渓谷のドライブ。曇り気味だったのは残念でしたが自然が作り出した渓谷美を楽しむことができました。
大歩危峡ではボートに乗ってその美しさをさらに楽しむこともできます。新緑の美しい季節になります。みなさんも四国に来た際には是非徳島山間の大歩危、祖谷をドライブしてもらいたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。







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