映画の世界が息づく古民家へ。児島・野崎家旧宅で感じる“整くん”の気配

岡山県倉敷市、児島に来ました。国産ジーンズ発祥の地として知られ、ジーンズストリートには多くのジーンズの店が軒を連ねます。

643 ジーンズ全面推しの町、倉敷市児島を廃線跡とともに歩く|ミヤコカエデ(Miyako Kaede)
岡山駅から瀬戸大橋線に乗って児島に来ました。倉敷市の南部にあって、この駅から南はJR四国の管轄。まもなく瀬戸大橋に架かるという場所です。瀬戸大橋線は何度も乗っていますが児島で降りるのは初めて。岡山出張で来たのですが、仕事は午後からなので午前...

実は、児島に来るのは昨年12月以来3か月ぶり。ずいぶん短い間隔での再訪になったのですが、今回の旅の目的はジーンズストリートの先にあるこちらの古民家。

野崎家旧宅。1800年代、瀬戸内海に面した児島地区は製塩が盛んな地域でした。野崎家は製塩業と新田開発で財を成した名家で、この地に1000坪の建物を擁する邸宅を築いています。

昨年12月に来たときは月曜日で生憎定休日でした。そのときはまた来ればいいや、と思っていたのですが、今年の4月から一部エリアが拝観不可となるという情報を聞きつけ、急遽3月に訪問することにしたのです。

見事な門構えの邸宅。今は製塩博物館にもなっていて一般に公開されています。

そして、この邸宅にはもう一つの顔が。この門構えやこれから案内する建物や庭園、そして蔵の様子がとても美しく、映画やテレビのロケで多く使われています。

「犬神家の一族」や近年では菅田将暉さん主演の映画「ミステリと言う勿れ」でも狩集(かりあつまり)家の邸宅として使用されています。映画の舞台は広島ですが、狩集家のロケはここで行われました。ミステリという勿れは私の大好きな物語で、単行本も全巻持っています。

148 人の思いさまよい流れ着いて〜粟島・漂流郵便局|ミヤコカエデ(Miyako Kaede)
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同作の聖地巡礼で、香川県の粟島にある漂流郵便局も訪ねています。

邸宅では随所にひな人形が飾られていて、私たちを出迎えてくれました。野崎家の人々がここに住んでいたころも、こうやって人形で和の雰囲気を引き立ててきたのでしょうか。

中座敷に飾られるひな人形。その向こうは何間続きかわからないほど先まで和室が続いています。それだけ多くの人がここに集まる機会があったのでしょう。

庭園を回って、住居の裏に回ります。裏手はすぐ山になっているので、高い石垣が作られています。2026年4月現在はこの辺りが見学不可になっているようです。ミステリと言う勿れでも重要なシーンで登場します。

石垣の中に山をくりぬいた場所がありました。ここがお風呂だったようです。この時代、資産家の家であっても本屋内に風呂はなく、いったん外に出なければいけなかったようです。

隣接する炊事場には当時使われていた炊事用品が展示されていました。野崎家が使っていたものか、寄贈されたものかの判別がつかなかったのですが、ワッフル焼き器なんてものがあるあたり、生活レベルの高さを窺い知れます。そもそもこの時代、一般家庭でワッフルなんて見たことも食べたこともなかったでしょうからね。

敷地の東に並ぶ蔵。かつては米や製塩の道具、書類などが置かれていました。これだけの蔵が並ぶのも壮観です。映画・ミステリと言う勿れでは四つの蔵が軸となって物語が展開していきます。これだけ立派な蔵が並ぶ場所はほかになく、ここがロケ地に選ばれたのも頷けます。

蔵の一部は製塩博物館になっています。江戸時代の製塩の道具や、かつてここで取れた塩などが展示されています。野崎家はこの一帯を新田開発して塩田での塩づくりを行い、日本国内の塩の安定共有に貢献してきました。昭和46年に塩田での製塩は行わなくなりましたが、野崎家は今でもナイガイ塩業株式会社として、玉野市の工場で製塩を行い続けています。

整(ととのう)君のコートだ!

ミステリと言う勿れの聖地巡礼も兼ねた野崎家旧宅の邸宅散歩。この地に塩田を拓き地域を活性化させ財を成した野崎家の暮らしの様子や当時の塩づくりの様子を知りつつ、大好きな映画の世界にも浸ることができました。

ミステリと言う勿れファンの方、ジーンズストリートを訪ねようとしている方、古民家に興味のある方。是非一度は訪ねてみてほしいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年4月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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