「最近、おばあちゃんが昼間によく居眠りしている」
「昼ご飯を食べた後、テレビを見ながらずっとウトウトしている……」
こうした姿を見て「年を取って疲れやすくなったのかな」と見過ごしていませんか? 実は高齢者の日中の強い眠気は、単なる加齢によるものではなく、体や脳からの危険信号かもしれません。

なぜ昼間の眠気が「危険信号」なのか?
高齢になると、睡眠の周期が変化して「早寝早起き」になったり、夜中に目が覚めやすくなったりするのは自然なことです。しかし、日中の活動すべき時間帯に強い眠気に襲われたり、居眠りを繰り返したりする場合は、以下のような疾患や要因が隠れていることがあります。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)
肥満傾向の人に多いイメージがありますが、高齢になると喉の筋肉が緩むため、痩せている方でも発症しやすくなります。夜間に何度も呼吸が止まることで脳が酸欠状態になり、睡眠の質が著しく低下します。その結果、いくら寝ても疲れが取れず、昼間に激しい眠気が襲うのです。
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認知症の初期症状(特にレビー小体型認知症)
認知症の初期には、脳の覚醒を維持する機能が低下することがあります。特に「レビー小体型認知症」では、頭がはっきりしている時間と、急に強い眠気に襲われてボーッとする時間が交互に現れる「認知の変動」が代表的な症状として知られています。
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脳血管障害(脳梗塞など)のサイン
脳梗塞の初期や、自覚症状のない小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)が多発している場合、脳への血流が低下して日中に強い眠気やだるさを感じることがあります。「最近、急にボーッとする時間が増えた」という場合は特に注意が必要です。
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薬の副作用(ポリファーマシー)
高齢になると、持病のために多くの薬(血圧の薬、睡眠薬、痛み止め、抗アレルギー薬など)を重ねて服用しがちです。加齢によって肝臓や腎臓の機能が落ちると、薬の成分が体内に残りやすくなり、日中の強い眠気を引き起こす原因になります。
放置することによる「3つの二次リスク」
日中の眠気を「静かに寝てくれているから」と放置してしまうと、さらに深刻な事態を招く恐れがあります。
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転倒・骨折のリスク
ウトウトして意識がはっきりしない状態で立ち上がろうとすると、バランスを崩して転倒しやすくなります。高齢者の転倒は、大腿骨などの大きな骨折に繋がりやすく、それがきっかけで寝たきりになってしまうケースが少なくありません。
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認知機能低下の加速
日中に居眠りばかりしていると、活動量が減り、脳への刺激が極端に少なくなります。これが認知症の発症や、既存の認知機能低下を急速に進行させる引き金になります。
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生活リズムの崩壊(昼夜逆転)
昼間に深く眠ってしまうことで、肝心の夜間に眠れなくなり、夜間の徘徊や介護者の睡眠不足といった「昼夜逆転」のトラブルに発展しやすくなります。
家族が気づくためのチェックリスト
単なる「ちょっとした居眠り」か「危険信号」かを見分けるために、日頃の様子を観察してみましょう。以下の項目に当てはまる場合は、一度専門医への相談をおすすめします。
【危険信号を見分けるチェックリスト】
[ ] 会話中や食事中など、意外なタイミングで突然ウトウトし始める
[ ] 1時間以上の深い居眠りを、日に何度も繰り返している
[ ] 夜間、激しいいびきをかいていたり、呼吸が止まっていたりする
[ ] 朝起きたときに「頭が痛い」「すっきりしない」と訴える
[ ] 眠気だけでなく、最近急に物忘れが増えたり、歩き方が不安定になったりした
異変を感じたら、まずはかかりつけ医へ
高齢者の昼間の眠気は、本人自身が「よく眠れていないこと」に無自覚なケースがほとんどです。周囲が「年のせいだから」と片付けず、異変を感じたらまずはかかりつけ医に相談してみましょう。
必要に応じて、睡眠外来やもの忘れ外来、脳神経外科などを紹介してもらうことが、重大な病気の早期発見や、これからの生き生きとした生活を守る大切な第一歩になります。







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