資産形成とは、勤労期間中に、老後の豊かな生活のための原資を計画的に積み立て、積み立てた資産を長期の視点で運用することである。
資産形成における投資目的は、初期には、主として資産価値の増殖に置かれ、時間が経過して退職年齢が近づくにつれて、そこに資産価値を保全する要素が加わり、老後生活が開始される段階では、主として資産価値の保全になる。こうした投資目的の変化は、資産配分の遷移に具体化されるわけで、例えば、株式への配分比率は、資産形成の初期には高く、資産取り崩しの始まるときには極めて低くなるはずである。

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さて、いかにして、段階的に資産配分を変化させるのか。この問題に対する一般的な対処方針については不明だが、例えば、最初は株式100%とし、40年の間に毎年2.5%低下させて、最後は株式0%とするような計画的、あるいは機械的な方法が考えられているのではないか。しかし、仮に、投資判断として、適時適宜に資産配分を変更するとしたら、それは、程度の差こそあれ、投機的要素を含むものとなり、よくも悪くも投資の成果に大きな影響を与えるであろう。
では、投資運用業は、顧客に替わって、資産配分の変更を行うべきであろうか。実は、ライフサイクルファンドなどと呼ばれる投資信託があって、例えば、40歳の人が65歳まで資産形成するという前提で、資産配分を変更していくわけだが、投資環境に応じて変更するのではなく、おそらくは、一定の機械的方法で変更するだけのことであろう。また、逆に、投資判断として資産配分を行えば、いかに投資の専門家が行うことだとしても、投機的要素の混入は不可避になるに違いない。
投資においては、資産配分の変更のほかに、資金異動への対応策の問題がある。例えば、家計においては、退職一時金の受け取り、不動産等の売却、遺産相続、保険金の受け取りなどの様々な理由のもとで、大きな金額の収入があり得るが、それを投資に振り向けるときには、長期積立の手法が使えないのだから、資金異動の影響には特別な注意が必要となる。とはいっても、現実には、投資の対象と時期を決めるのは難しいことで、実際には、預金に資金が滞留しやすいわけだ。
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森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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