どんなに泣こうが喚こうが、自衛隊の兵力削減は不可避

例によって文谷さんの仮借ない記事です。

ヤフコメとかであれこれ言う人たちがいますが、少子高齢化の現実を見ろよといいたい。更に申せばGDP比2パーセントという軍拡も近いうちに不可能になります。

あれもそもそも安倍晋三が何の根拠もなくぶち上げた数字です。金の使い方は予算を増やしてから考えればいい、予算は国債すればいいといういい加減かつ無責任な話です。

ところが清和会が自民最大派閥だったので岸田内閣も無視はできなかった。

隊員募集強化でも「自衛隊24万人体制」はもう維持できない、隊員不足の真の原因は少子化、陸自は10万人削減すべき理由

隊員募集強化でも「自衛隊24万人体制」はもう維持できない、隊員不足の真の原因は少子化、陸自は10万人削減すべき理由
深刻な人手不足に直面する自衛隊。防衛省は広報や待遇改善で若者の入隊を図るものの、人口減少によりその効果は疑問視されています。本当に必要な対策は隊員削減なのか?現状維持は社会や組織にどんな悪影響を及ぼすのか、問題の本質に迫ります。(このリード...

2026年現在でも自衛官定員24万人のうち10%以上が欠員となっている。そして、23年の採用実績は予定数の51%、24年でも65%にとどまる。つまり欠員の補充どころか現在数22万人の維持も難しい状態にある。

本当に必要な対策は規模縮小である。日本人口に見合う規模である13万人まで自衛隊を縮小する。具体的には、中国との対峙に必要ない陸上自衛隊を今の14万人から4万人に減らすしかない。

なぜ、防衛省の募集強化は誤っているのか。第1に、実現の見込みがないからである。

防衛省は自衛官不足を「募集がうまくいかないため」としている。若者に魅力が伝わらない。待遇が悪い。隊舎が古い。だから人が集まらないとの理屈だ。だが、それは原因を取り違えている。募集難の最大の理由は人口減少だからだ。入隊適齢期の若者の数そのものが急減している。だから採用できないのである。

これは入隊適齢である18歳人口の縮小からも明らかだ。1992年には205万人もいた。それが2000年に151万人、05年には137万人に減った。そして10年には122万人、20年に117万人、26年は109万人である。25年の出生数からすれば43年は71万人となる。かつての3分の1だ。

この状況では現在の22万人体制も維持できない。まず、志願者数は年を経るごとに少なくなる。そのうえで、退職者数も急増する。隊員層が最も厚い第2次ベビーブーム世代が、27年から定年に達するためだ。71年生まれは27年に56歳となる。ほとんどの隊員はその誕生日に定年退職となる。

それを募集強化で補うのは無理でしかない。最近になって採用年齢を32歳まで広げたが効果は限定的だ。大抵の場合、30歳を超えれば職歴や生活がある。それを捨てて兵隊になる者は、ほとんどいない。

しかも、募集の焦点である兵隊は年季契約なのでまったく魅力はない。2士から士長、昔の軍隊の階級で言えば二等兵・二水から兵長・水長は終身雇用ではない。最初は3年、以降は2年ごとの契約更新なので就職先に求められる安定性を欠いている。

人口減少社会では労働力は重要資源となる。若く健康な人材は貴重だ。その若手を自衛隊が囲い込むとどうなるか。今後、18歳と22歳の新卒者は年間100万人を切る。うち男性も50万人はいない。そこから1万人を抜き出したらどうなるか。

もちろん、自衛隊の隊員不足は本物である。すでに実働で力は削がれている。そのため訓練や各種業務は回らなくなっている。

ただ、それは他分野も同じだ。企業や官庁、大学や学校、病院もまた機能維持に汲々としている。

自衛隊だけを優先する理由はない。実際のところ日本周辺の状況は安定している。予算増のために政府や防衛省が進める不安商法、「安全保障の環境はますます厳しくなっている」を真に受けてはいけない。中国を見ても北朝鮮を見ても、日本に戦争を仕掛ける兆しは見えない。

現状は安全保障よりも国民経済や社会保障を優先しなければならない。予算面だけではなく、人的資源の配分でもそうしなければならない。

しかも、自衛隊は採用した若年労働力をムダ遣いしている。世間では貴重資源となった若者を草むしりやペンキ塗り、基地対抗の体育競技、さらに行進や号令、軍歌の訓練で浪費している。

国家としてみると大損である。それからすれば平時において自衛隊は人を絞る。戦時への備えも予備役制度で対応するのが本筋である。この点でも募集強化は不適当となっている。それからすれば選択すべきではない。

第3に、自衛官の質的低下を引き起こす。この点で募集強化は問題解決の方法としては不適当である。一見する限りは自衛隊を強くする政策にしか見えないだろう。人が足りない部隊に人を入れる。定員割れを埋める。訓練や整備の負担を軽くする内容だからだ。

しかし、実際はむしろ逆となる。数合わせを優先するので新隊員の水準は一挙に下がるからだ。学力、体力、気力のいずれも切り下がる。言いにくいが、本来の期待水準である新制高校卒業の水準も期待できない。

では、どうすればよいのか。答えは、人員縮小である。人口に合わせて自衛隊の定員を減らすしかない。具体的には定数24万人、実数22万人を13万人まで減らすことである。

13万人なら今後の人口で支えられる。24万人体制、実数22万人が不足なく維持できたのは05年ころまでだ。16歳から65歳までの生産年齢人口が8500万人もいた時代である。その生産年齢人口は25年で7100万人となった。そして50年には5200万人と6割まで減る。それからすれば22万人の6割で13万人しか支えられない。

この13万人は防衛省も認めている。2026年2月の「人的基盤強化をめぐる課題」では、45年に維持できるのは13万人としている。期せずして筆者の見立てどおりとなった。25年に『軍事研究』誌で最初に示した数字と符合しているためである。

問題は、どうやって13万人まで減らすかだ。最良なのは、陸自を10万人ほど減らすことだ。規模縮小と予備役主体の構成で平時は4万5000人にする。そうすれば陸海空それぞれ約4万5000人ずつで13万人とバランスよくまとまる。

実際にそうするしかない。仮想敵国である中国との対峙を考えれば海・空自は減らせない。そこで役に立つのは軍艦や戦闘機だからだ。それからすれば、対中軍事力とならない陸自を減らすしかない。

これに関しては僕は別な意見があります。陸自の大幅削減は必要です。

陸上自衛隊HPより

そもそも陸幕に危機意識がない。世界最大の音楽隊を縮小するわけでもなく、課業中に専業でOB利権のチャンバラごっこである銃剣道をやっている隊員が少なからずいるが、彼らは全く国防の役に立たない。にもかかわらず荒井陸幕長は会見でぼくの質問に答えて、どんなに充足率が減ってもこれを止めないと断言しました。

つまり陸自には国防をやる気がなく、利権を温存し組織防衛だけを考えている組織ということです。本年度沖縄の第15旅団を師団に格上げしましたが、既存の部隊を手じまいしたわけでない。あちこちから隊員を抽出して、部隊の骨粗鬆症を深刻化させただけです。ここれは近年の南西方面やサイバー部隊などの新しい部隊も同じです。こんなことで戦争に勝てるわけがない。

しかも新たに導入するドローンも周波数帯をいじっていないのでホッピングが出来ないので敵の妨害電波にてきめんによわく、実戦では使い物にならない。

一方で空海自衛隊でも規模の維持は無理です。海自の船乗りは集まらない。空自のパイロットや整備も同じです。また今後GDP2パーセントを維持できないので空自の高価なおもちゃを維持できない。

例えばF-35は所定の能力をいまだ獲得していなし、トラブルが多い。しかも維持整備費用はレガシー機の3倍もする。費用対効果が悪すぎる。また対艦ミサイルJSMもいまだに運用ができていない。F-15Jの近代化もボーイングの能力不足もあって遅々として進まず、費用だけが高騰している。

F-2は費用対効果がF-15より低いうえにリンク16搭載機はごく一部であり、多くは戦域に入れない戦力外。であればこれらを数を減らし整理して、グリペンのように新型で低コストで、少ない整備員で運用できる機体を導入すべきです。また初等中等連中期はT6に集約して練習機関連の人員を削減すべきです。

海自の艦隊維持も難しい。鳴り物入りだったもがみ級のクルー制導入も失敗しました。更に手当が難しい潜水艦22隻体制の維持なんて無理です。であれば陸自から隊員を移管するにしても艦隊の縮小は否めない。

航空隊も同じです。

例えば陸自は10万まで減らすとして1万人を海自に移行させる。あと2万人ほどは、予備自衛官前提で調達担当部署に異動させる。

また自衛隊の定年を一定階級に達しないものは40歳定年とする。代わりに予備役前提で防衛省職員として再雇用して各種学校の職員や、広報、リクルートといった職種で採用する。これは任期制自衛官にも適用する。例えばその後の職種によって1〜2年程度のリスキリングに充ててもいい。

これは幹部クラスも2年ごとの移動はやめる。そうすれば効率的に組織が運営できるはずです。また中途退職者の予防にもつながるでしょう。

つまり現役10万+事務という形です。この方式ならば10万をさらに減らしてもいいかもしれません。
そうすれば若年定年の不利が無くなります。また野心があれば40歳で別な業界に飛び込出もいいし、その際は退職金を割り増してもいい。

自削減は与党の政策であり、野党も総論賛成だった。それにもかかわらず骨抜きとなってしまった。

95年の定数削減は削減詐欺である。陸上自衛官の定員を18万人から16万人としたが、当時の陸上自衛官数は15万8000人前後であった。

05年の削減に至っては逆に焼け太りとなった。定員を15万5000人としたものの、それは予備役を減らしただけである。現役自衛官の定員枠はむしろ3000人の増加となった。

それはなぜか。陸自の政治抵抗に遭ったためだ。以前から陸自は、「海空重視論」への対策として政治力の涵養を進めていた。出身者を政界に送り込む。隊員の投票行動で政治に圧力を加える具合である。陸自は日本防衛の合理化よりも、組織防衛に熱心だったといってよい。

その政治力は当時よりも大きくなっている。国防族は、ほぼ陸自と防衛産業の代理人となった。人口減と税収減となる北海道の自治体を味方につけることにも成功した。

小選挙区の影響もある。選挙区で隊員票の影響力が大きくなったからだ。しかも陸自は投票行動をコントロールしている。中選挙区時代だが、指導により投票率99.3%を出したことがある。

陸自の政治力に防衛省もその抵抗を覆す力はない。政権も防衛合理化にはまったく興味を示していない。その中で当局が打ち出せる施策は募集強化しかない。

それを決めた防衛官僚も机上の空論と承知している。問題は解決しない。社会にも防衛にも悪影響しか与えない。まずは予算のムダ遣いとみている。

それでも問題は先送りにできる。まず、人員不足問題には「対処した」という形で先送りにする。在職中の決断も避けられる。決定的な事態が起きるまでは10年程度はある。50歳以上の実務家層からすれば退職までは逃げ切れる。

お説の通りで削減は極めて政治的な問題です。部隊や駐屯地の廃止となれば地方自治体も抵抗するでしょう。ですが自衛隊は地方自治体を養うためにあるのではなく、国防のための組織です。

いずれにしても頑張って現状維持を続けていけば立ち枯れするだけです。政治にやる気があれば抵抗勢力の人間はどんどん閑職に追いやって粛清すること必要です。

財務省も部隊削減を飲まないと予算を通さないというフレームを作るべきです。

隊員を減らすということは人件費の削減になるということです。ご案内のようにGDP比2パーセントなんて維持は無理です。であれば人件費を減らしてその予算で省力化、効率化を図るべきです。

今後は金利が上がって「政策に金がかかる」という当たり前のことが再認識されるでしょう。例えば現在のようにガソリン補助とかのばらまきを野放図にやっていれば国債費が増えて国家予算の国債費の割合が膨張して予算が組めなくなるかもしれない。それでもばらまきを止めなければ、円安とインフレが止まらずに政権は崩壊するでしょう。その地獄を一度見て、IMFの管理下でもならないと「粛軍」はできないのかもしれません。

私事ですが本日元機甲科の将官の方に電話をかけたら、1年ほど前にお亡くなりになったと知ってびっくりです。彼は重工の顧問もやって10式や16式の開発にかかわってきた方で、ぼくは天敵なはずですが色々と情報交換をしていただきました。また中部の防衛大OB会での講演にも呼んでいただきました。こういう組織に対して厳しいことをいう人間を疎まずに、交流する懐の広い方が最近は減ったような気がします。ご冥福をお祈りします。

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防衛破綻 – 清谷 信一


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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    清谷氏の記事には、まず賛同すべき点がある。
    少子高齢化によって自衛官の確保が難しくなっている現実、従来の定員を前提に「足りないから募集を強化する」と唱え続けるだけでは組織が空洞化するという指摘は重い。

    しかし、この記事の根幹をなす前提には重大な誤りが多くある。

    第一に、「日本周辺の状況は安定している」「中国も北朝鮮も日本に戦争を仕掛ける兆しは見えない」とし、防衛省の危機認識を「不安商法」と切り捨てる点は、楽観に過ぎる。
    国家防衛戦略は、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」、北朝鮮を「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と明記している。
    ロシアもウクライナ侵略後、極東での軍事活動を活発化させている。
    現在の平和は「脅威がないから」ではなく、日米同盟と自衛隊による抑止が機能しているからこそ保たれている結果かもしれない。
    抑止とは使わないための保険であり、事故が起きていないから保険を解約するという話にはならない。
    中核を大幅に弱体化させれば、かえって侵略を誘発しかねない。
    氏の主張は、この因果関係を取り違えている。

    第二に、「戦争を仕掛ける兆しが見えない」という測り方そのものが単純すぎる。
    脅威は「能力×意図」の掛け算で見るべきであり、意図は短期間で激変しうる。
    ウクライナ侵攻前夜のロシアを思い出せばいい。
    中国がミサイル、艦艇、航空戦力、サイバー、宇宙能力を高めているなら、それ自体が日本の安全保障上の重大な条件変化である。
    尖閣周辺の常態化した威圧やグレーゾーン事態を視野に入れれば、「兆しがない」という前提は成り立たない。

    第三に、「人口に見合う13万人」という比例論には疑問がある。
    軍事力の必要量は人口比ではなく、脅威環境、地理、同盟関係、技術、任務によって決まる。
    人口が少なくとも強力な軍を持つ国はいくらでもある。
    防衛省が示す「45年に13万人」という数字も、人口減少率から逆算した機械的試算であり、防衛需要に基づく最適兵力とは別物だ。
    人口制約が本物であることと、必要な防衛力を人口比で割り出せることは、まったく別問題である。

    第四に、「対中は海空のみ」「陸自は中国との対峙に必要ない」という割り切りも視野が狭い。
    現代の南西諸島防衛では、地対艦・地対空ミサイル部隊の展開による領域拒否(A2/AD)こそが要であり、陸上戦力は対中抑止の核心的な一翼を担う。
    加えて沿岸監視、機動展開、補給、住民避難、島嶼警備、災害派遣も陸自の任務だ。
    4万人規模まで削れば、これらの遂行能力を大きく損なう恐れがある。
    第15旅団の師団格上げも、最前線強化に向けた戦略的な「選択と集中」と評価すべきだろう。

    そして最大の問題は、代替戦略の不在である。
    「減らせ」とは言えても、どの海域を諦め、どの任務を同盟に依存し、何を無人化で代替するのかが示されていない。
    「減らせ」は政策ではなく、代替案まで含めて初めて防衛改革となる。

    人口減少への危機感は正しい。
    問われるべきは規模の縮小そのものではなく、徹底した省力化、無人アセットの本格導入、専門職の民間委託、日米の統合運用性向上を通じた、脅威に見合う持続可能な防衛力の設計である。
    国内の現実を直視しつつ、周辺の脅威からも目を背けない――その双方向の現実主義こそ、今求められている。