黒坂岳央です。
これまで色々な人と関わってきた。独立してからも記事を書いたり、動画を出しているので、自分はおそらく平均以上に色んな人とコミュニケーションを取ってきたと思う。
その経験から、個人の肌感覚多めの人間関係論ではあるが、「期待値が高すぎる人は地雷である確率が極めて高く、関わらない方がいい」と主張したい。
後述するがそういう人は治療もできない。若い頃からそういうタイプは年を取ってますますその傾向が強まる。
もちろん、自分は白黒思考で「期待する人=悪い人」と表面的な話をしたいわけではない。
人間の期待値には2種類ある。一つは「相手の成長への投資」。もう一つは「自分の思い通りに動くことへの要求」だ。
前者は会社で新人を育成する文脈でよくある健全なものだが、後者は自分の思い通り動かない相手に不機嫌になり、被害者ぶって相手を責めるというモンスターである。
今回取り上げるのは後者だ。

Supaluk Wiangsukphaiboon/iStock
治療不可能な理由
相手への期待値が高すぎて、人が寄り付かないタイプは基本的に治ることは望めない。だが一見、不思議に感じるかもしれない。人間は自分の思い込みや自我を社会生活を送る上で是正を迫られ、年を取るほど柔軟になっていうものである。だがこういう人は一生治らない。なぜか?
結論から言うと、徹底してあらゆるフィードバックを否定する精神構造になっているからだ。期待値が高い人は、相手への期待外れに失望するたびに「相手が悪い」と処理する回路を持っている。だから自分の期待値設定こそ、実は間違っているという学習が、原理的に一切起きない。
若い頃は周囲が指摘することもある。だがこうしたタイプは「だって」「でも」「普通は」で相手の指摘に否定から入る。自分の感覚を世界の法則として一般化することを当たり前だと思って疑わない。それこそ「普通は分かってくれるでしょ」という高すぎる期待値がここでも発揮されてしまう。
その結果、人生経験が蓄積されるほど「自分の被害者歴」だけが増えていき、自己認識は更新されないのだ。
健全な期待値
一方で「相手に期待する」ことのすべてがだめではない。
対比として触れておくと、かつて自分も上司から「期待するからこそ厳しく指導するぞ」と言われたことがある。実際に非常に厳しく、「お前、その言い方は良くない。こういう言い方に変えろ」とか「電卓を使うな。Excelの関数でやれ」という具合に、毎日、細かい電話の応答や仕事のやり方に指摘を受けて改善を求められた。
だが、自分はその期待値が嫌だとは思わなかった。結果として仕事で大きく成長できたし、その上司は自分への愛情も感じた。
「一日も早く一人前にする」という上司の期待は「自分が楽をしたいから」ではなく「企業の人材投資の成功」を願ってのものであり、同時に「お前はもうすぐ30歳なのだから早く独り立ちしろ」という親心のようなものもあった。今では本当に彼に感謝している。
子供の教育への期待値
筆者は今、親の立場になって今度は後世を育成する側になった。子供たちはしつけや挨拶、勉強は非常に厳しく教育している。日頃はまるで友達のように軽口を叩いて遊ぶこともあるが、勉強やしつけとなるとモードを変えて真剣に指導する。
「あなたは絶対に伸びる。出来る。大丈夫。パパと一緒に頑張ろう」このように毎日、子供に言いながら勉強を見ているが、子供たちにも響いたのかやらされ感ではなく、自主的に努力してくれている。
こちらが何もいわず、目覚まし時計を6時半にセットし、自ら机に向かって勉強を始めるようになった。「パパが応援してくれるからもっと成績を上げたい」と言い出した。これはピグマリオン効果と言われる、「親の期待値が高いと子どもの成績も伸びる」という現象だと思う。
地雷型は自分の思い通りにならないことに腹を立て、相手を責め、自分は変わらない。対比的にこのような教育的文脈における期待値は健全だと思うのだ。
地雷を見抜くシグナル
こういう地雷は具体的にどう見抜けばいいのだろうか。個人的に精度が高いシグナルを取り上げたい。
1つ目は「普通は~」が口癖であることだ。「普通は連絡するよね」「普通はこのくらいするよね」この言葉が頻繁に出る人は警戒した方がいい。「普通」を世界の普遍の真理のように唱える人は、それが適わない時に猛烈な怒りと不機嫌を出してくる。
2つ目は「してあげた」が出ることだ。「助けてやったのに」「面倒見てやったのに」「こんなに尽くしたのに」善意ではなく投資として人間関係を捉えている。投資したリターンを回収できないと怒る。関係を損得勘定で動かそうとするタイプだ。
3つ目は愚痴不満が多いタイプだ。「前の会社が悪かった」「元恋人がひどかった」「友達に裏切られた」このように愚痴不満が多く、取り合わなければ「器が小さい」と怒り出すタイプだ。もちろん、個別のケースでは相手が本当に悪いこともある。だが不満がまず出るタイプは避けたほうがいい。
4つ目は察することを強要するタイプだ。「言わなくても分かるでしょ」「気づいてほしかった」「なんで分からないの?」。本人はコミュ力が高いと思っているが、実際にはコミュニケーション能力が高い人ほど逆の発想をする。
「100%ありのまま伝わらないのが普通、1%でも伝達力を上げる努力や創意工夫は話し手側がするもの」と考える。察することを要求する人は、相手にテレパシー能力や実親のような包容力を求めている。
◇
このタイプへの対処は可能な限り関わらないことに尽きる。やんわりと指摘しても「だって」「でも」で返ってきて、「普通は分かってくれる」と逆襲される。相手との関係が深まるほど疲弊する。
職場など回避できない場合は、感情的な会話を最小化し、事務的な関係に留めることが現実的な対処になる。
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