雲州平田・木綿街道を60分で味わう。古き良き街並みと出会う小さな旅

旅の予定はいつ変わるかわからないものです。

島根県に旅に出かける5日前、TVで「せっかくグルメ」を見ていました。バナナマン・日村さんが向かった先は島根県出雲市。その道中、市の東部、平田地区の木綿街道に立ち寄っている姿が映りました。わたしは古い街道を歩くのが何よりも好物です。その街並みの美しさに心惹かれ、予定を変更、立ち寄ることにしたのです。

松江しんじ湖温泉駅から島根県唯一の私鉄、一畑電車に乗って雲州平田駅で下車します。一畑電車の中では乗降客の多い主要駅のひとつです。宍道湖の西岸にある平田地区はもとは平田市という独立した自治体でしたが、2005年に出雲市と合併しています。

日中、一畑電車は1時間に1本の運行です。旅程の都合上、1時間しか滞在することができないので効率的に回らないといけません。

平田船川。

右手が街道沿いの家屋。道路がなく直接川に面しています。
かつては川に面した階に船小屋と小さな桟橋、掛出(かけだし)があり、ここから木綿を積んで輸送を行いました。

木綿街道は駅から歩いて10分強の場所にあります。江戸時代、木綿は衣料の材料として利用されていましたが、平田地区は特にその生産が盛んでした。木綿街道は宍道湖に注ぐ平田船川沿いに並び、湖を経由して大坂などの大消費地に向けて木綿を運んでいました。

L字の小路に400メートルほど町並みが残る木綿街道。

風情ある昔ながらの家屋が残ります。西日本を中心に古民家をリノベーションしたホテル事業を展開するNIPPONIAが運営するホテルも街道沿いにあり、かつて木綿の取引でにぎわいを見せていた街道の様子を存分に楽しむことができます。

街道を歩いているとちょっとした楽しみにも出会えます。こちらでは木綿のもととなる綿の種や出雲弁おみくじを売る無人販売所。

なんとなーく理解できるけど、ひらがなで書かれると難解な出雲弁。

100円で出雲の神様のお告げをゲットしました。

その隣にはこちらも無人の絵はがき屋さん。地元の作家が描いた木綿街道の街並みの絵はがきを数多く販売していました。わたしも1枚購入。席に座って手紙を書くこともできるようです。

絵はがき店の中に独特の姿の人形が飾られていました。おちょこや箸置き、小皿などで作られるこの人形は「平田一式飾り」と呼ばれており、生活用品を、その姿を変形させずに組み立てて地元の神話や物語に登場する人や物の姿を表現しています。

持田醤油店は醤油ソフトクリームが名物。

木綿街道に並ぶ多くの店でそれぞれ趣向を凝らした平田一式飾りが作られ、店先に並べられていました。

木綿街道の西、宇美神社にやってきました。縁切りの神様「事解男命(コトサカノオノミコト)」を祀ります。人との別れだけではなく、自らの悪い気持ちなどを断ち切る決意の場でもあります。切りたい縁を木片に書いて縁切り箱に入れて願いましょう。また、ここでは縁結びの神社も併設されているので、別れたあと新たな出会いを願いことができる場所にもなっています。

縁きりの願をかけたあと、木綿街道を戻ります。街道の古民家の中で醸造もしている地ビール店にふらっと立ち寄り。やっぱり旅の楽しみはお酒っすよねぇ。出雲だいこくビールは木綿街道の古民家の中で醸造まで行っています。

ただ今回、私に与えられた時間は1時間しかなかっので、缶ビールを選びました。「出雲だいこくエール」ペールエールはフルーティーな味わいで飲みやすい。何杯でも飲めてしまいますね!

かつて木綿の生産と取引で栄えた平田地区の木綿街道。クラフトビールの醸造所や旅館など新たな姿に変化しつつ、街並みはかつての面影を残すバランスを保つ努力をされているなと感じました。1時間ではちょっと駆け足となり残念。次はゆっくりと歩いてもう少し深くこの町の歴史や街の造りを知りたいと思いました。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年6月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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