富裕層ほど東京に住むと損をする理由

黒坂岳央です。

東京の豪華マンションに住むことが勝ち組の証だと思っている人がいる。だがそれは多くの場合、惰性と見栄だ。筆者はむしろ「ある程度、蓄財ができたら東京を離れた方が合理的」だと考えている。ざっくり対象は資産1〜2億円くらいの層だ。

逆に蓄財時期は東京で仕事を頑張るのが合理的であり、また資産100億、200億となれば金に糸目をつけない生活になるのでスコープ外となる。本稿はあくまで「富裕層入口」に立った人への提言である。

※この記事が対象とする読者を最初に明確にしておく。就職や進学という目的のために上京し、その目的を果たした人間の話だ。東京生まれ東京育ちの人間には当てはまらない。また、仕事が東京のネットワークや現場に依存している人も対象外だ。論じるのは「場所に縛られない働き方をしている、あるいはFIREを達成した人間」に限る。

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東京を「卒業する」という発想

地方から上京することには明確な意味がある。大学進学、仕事の機会、人脈の密度、情報へのアクセス。筆者自身、大卒後は米国会計という専門知識を活かした仕事を探していたため東京にしか就職先がなかった。

だがFIREを達成したり、場所に縛られない事業を持った時点で、東京に住み続ける経済的理由は消える。それでも居続けるのは「東京でステップアップする」という前提に乗った人生設計の惰性だ。

ある程度、東京の地の利を吸いきった後は、柔軟に発想を切り替えるべきだ。「持ったお金で東京でさらに勝つ」ではなく、「東京を卒業し、より自由度の高い生活を地方で実現する」。これが経済的自由の正しい使い方と筆者は考えている。

東京は2LDK、地方では豪邸に住める

ここでいう「地方」とは田んぼと牛がいる場所ではない。大阪、名古屋、広島、福岡といった政令指定都市を指す。外食・医療・交通インフラの水準において東京と実用上ほぼ同等の都市だ。

港区の築浅2LDKは現在2〜3億円台が相場だ。70平米前後、東京タワーが見える眺望はあるかもしれないが、壁の向こうはすぐ隣人だ。同じ金額を地方に投じると結果がまったく異なる。

先日、筆者が若くしてビジネスで成功した豪邸におじゃましたところ、図書館のような書斎、広大な敷地にゴルフ場のような庭があった。また、別の邸宅では中庭に滝が流れていた。庭には高いヤシの木のようなものが植えられていた。おそらく海外から取り寄せたのだろう。

さらに別の邸宅は外部からの侵入が事実上不可能に思えるセキュリティを備えた要塞のような造りで、敷地にはロールスロイスが停まっていた。これが東京の億ションと同程度の価格帯で実現している。

筆者は豪邸に住んでいるわけではないが、地方在住のメリットを享受している。家にはもともと防音窓が設置されていたが、わずかな騒音も遮断したくて追加の防音工事を施した。窓を閉めると外界の音は完全にシャットアウトされ、完全な静寂が手に入った。高出力のサブウーファーでどれだけ音を出しても、近所迷惑にはならない。

東京に住んでいた頃、静かな図書館や有料自習室を借りて仕事や勉強をしていたが、今は自宅より快適な知的空間が外には存在しないので家が一番仕事が捗る。

こうした住環境は東京ではコストの問題ではなく、物理的な事情でそれが難しい。

「地方には娯楽がない」への反論

コンサートやイベントへのアクセスを東京の優位点として挙げる人がいる。だが筆者自身は40代になって、受動的な娯楽への欲求が明らかに落ちた。生活の重心は居住環境の質、思考の時間、家族との時間に移っている。これは筆者個人の話だが、同世代で似た感覚を持つ人は少なくないはずだ。

自分は月1ペースでテレビ、出版など東京にある会社の仕事で行く。その頻度で十分だ。用事がある時だけ東京へ行き、それ以外は地方で過ごす。これが場所に縛られない人間の合理的な生活設計だと考えている。

資産1〜2億円の層が最も割を食う構造がある。東京ではその資産で「ちょっと広くて駅近なマンション」しか買えない。地方では別次元の居住環境が手に入る。

東京に来た理由が「機会を得るため」だったなら、その機会を活かして資産と自由を手にした時点で、東京の役割は終わっている。場所に縛られない働き方ができるなら、東京を卒業するタイミングは今かもしれない。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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