実質的な国有化からの脱却と再生を目指す東京電力ホールディングスの再建が、いよいよ大きな山場を迎える。
東電が進めている抜本的な再編を伴う資本提携について、交渉先がソフトバンクや国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)、そして外資系ファンド3陣営の計5陣営に絞り込まれたことが19日に明らかになった。

ソフトバンク・JIP vs 巨大外資ファンド
今年3月末まで行われた提携提案の募集には数十社が応募したが、資本提携の軸として残ったのは5陣営だ。国内からは、通信事業を基盤にAI分野などへの展開を加速させるソフトバンクと、東芝の非公開化などでも存在感を示した国内ファンド「JIP」。
対する外資系ファンドは、米KKR、米ブラックストーン、そしてブラックロック傘下のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)という、世界有数の投資会社が顔を揃えた。
東電の小早川智明社長はかねてより通信、電機、不動産など異業種からの出資も想定しており、今回選ばれた5陣営が今後、他の事業会社などとコンソーシアム(企業連合)を形成する可能性もある。
1兆円超の出資と「非公開化」「事業分離」のシナリオ
5陣営からの提案には、これまでの東電のあり方を根本から覆すような内容が含まれているもようだ。出資額が1兆円を超える巨額提案や、東電の株式非公開化を前提とした再編案が検討されている。
さらに注目されるのは、小売り・送配電・再生可能エネルギーなどの成長事業と、重荷となっている福島第一原子力発電所の事故対応を分離して再編するという提案だ。
東電の膨大なインフラ網は、AIや通信、不動産分野との高いシナジーが見込めるため、成長部門をどう生かすかとともに、負の遺産である廃炉部門をどうするかが鍵となる。
立ちはだかる「8兆円超」の廃炉費用
今年4月、東電は新潟県の柏崎刈羽原発で14年ぶりに営業運転を再開させた。収益改善に向けた一歩を踏み出したものの、福島原発事故の賠償や廃炉費用として、毎年5000億円規模の資金を確保し続けなければならない厳しい現実がある。
廃炉費用だけでも政府試算の8兆円を上回る見通しであり、総額22兆円を超える莫大な事故処理費用をどう捻出・確保していくかは、提携先にとっても最大の課題となる。
最後の鍵を握る「政府の意向」と「黄金株」
今年1月に経済産業省の認定を受けた新再建計画のもとで動き出した今回の資本提携だが、最終的な枠組みの決定には筆頭株主である政府の意向が色濃く反映される見通しだ。
特に外資ファンドが出資・参画する場合、エネルギーインフラという安全保障上の観点から、政府が重要事項に拒否権を行使できる黄金株を発行することも選択肢として浮上している。
廃炉部門は国有化も選択肢
しかし福島第一原発事故のとき反原発キャンペーンを張り、自然エネルギー財団で数兆円の賦課金をぶんどって東電を食い物にしたソフトバンクが買収するのは、利用者には納得できない。今はAIに社運を賭けているので、資金に余裕もない。
資金力では外資がまさるが、廃炉という負の遺産を収益で埋めるには大手術が必要だ。特に原子力は、国の支援なしでは維持できない。「戦略17分野」に税金をばらまくより、原子力部門を国有化することも選択肢ではないか。







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