引きこもりを科学する

「外国人労働者を入れる前に、引きこもりを働かせればいいのに」

この手の話、最近やたら見かけませんか。国内に146万人も遊んでいる人がいるんだから、まずそっちを働かせろ、という理屈。気持ちはわかるが旧ソ連じゃあるまいしそもそも憲法違反だよw

結論から書きます。無理です。数の上でも、年齢の上でも、そもそも論理の上でも成立しない。

なぜ無理なのか、先に4つ

① そもそも数が足りない。日本で働く外国人労働者は257万1,037人(2025年10月末)。ひきこもり146万人が明日から全員working になっても、6割弱にしか届かない。話にならない。しかも2040年には1000万人以上足りなくなる。

② 6割超が60代。内閣府調査の40〜69歳ひきこもり群、年齢別に見ると65〜69歳が44.5%、60〜64歳が20.0%。もう定年過ぎてますww

③ 9割は「働いたことがない人」じゃない。40〜69歳群の90.3%に就業経験あり。状態になった最大の理由は「退職」で44.5%。労働市場に入れなかった人たちではなく、入って、出た人たち。

④ そして最大の問題。「引きこもりは働いていない」は調査結果ではなく定義です。内閣府の定義は、現在就業している人をあらかじめ外して作られている。働いた瞬間、統計上のひきこもりではなくなる。つまり「引きこもりを働かせる」という主張は、定義の上を滑っているだけ。

おまけに15〜39歳群の29.9%はすでに求職活動中。この人たちの一部は完全失業者185万人としてとっくに数えられている。二重カウントです。

というわけで今回は、この結論に至るまでの統計を全部ひっくり返してみました。内閣府(現・こども家庭庁)の調査報告書、総務省の労働力調査と人口推計、そして海外の査読論文。全部原典に当たっています。

途中でもうひとつの問いにも答えます。そもそも日本に引きこもりは何人いるのか。146万人という数字、実はめちゃくちゃ控えめな数え方をした結果です。

先に言っておくと、この分野でいちばん強く数字を動かしているのは実態じゃない。「測り方」です。

1. 146万人の中身を開けてみる

出典は内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」。2022年11月に実施、2023年3月公表。いまはこども家庭庁に移管されています。

対象 該当者数 出現率
15〜39歳 144人 2.05%(±0.47%)
40〜69歳 155人 2.97%
うち40〜64歳 86人 2.02%(±0.65%)
10〜14歳(外出頻度の低いこども群) 63人 4.14%

まず驚いてほしいのはここ。146万人という推計、実数にして144人と86人の回答から出ています。標本誤差もそこそこあるどころかかなりある。統計学上、最低でも1000人以上は調査してくれないと誤差が信頼できる範囲にならない。

で、中身がイメージとぜんぜん違う。

図1:146万人の大半は、趣味やコンビニには出かける人。「自室からほとんど出ない」層は0.1%前後しかいない。

146万人の大半は、趣味やコンビニには出かける人たちです。「自室からほとんど出ない」層は0.1%前後しかいない。あなたが「引きこもり」という言葉から想像している姿と、統計が指している対象は、かなりズレてます。

誰が除外されているのか

この調査、明示的な除外規定があります。報告書の定義部分を読むと、以下の人はひきこもり群から外れる。

  1. 理由に「病気」を挙げ、統合失調症または身体的病気の病名を書いた人
  2. 妊娠・出産育児・介護を理由にした人、または専業主婦・主夫、家事手伝い、家事育児介護に時間を使っている人で、かつ家族以外との会話がある人
  3. 現在働いている人

3番目、大事なので二度書きます。「引きこもりは働いていない」は調査結果じゃなくて定義。発見ではなく前提です。

そして1番目が意味すること。146万人は、精神疾患が明確な人を一部あらかじめ引き算した後の数です。だからこの数字から「引きこもりの何割が精神疾患か」を読むと、実際より低く出る。

2. 女性が少なく見えるのは、実態か、定義か

男女比を見てみましょう。

男性 女性 (回答者全体)
15〜39歳 53.5% 45.1% 男42.8 / 女55.9
40〜69歳 59.4% 40.6% 男45.6 / 女54.0

回答者全体では女性のほうが多いのに、ひきこもり群では男性が多い。ほら「引きこもりは男に多い」という通説どおりじゃないか、と言いたくなる。

でも思い出してください。除外規定の2番。専業主婦・主夫、家事手伝い、家事育児介護をしている人は、定義上あらかじめ落とされています。

それでも残った群のうち、家事育児介護に関わる回答をした人は、15〜39歳で48人(33.3%)、40〜69歳で51人(32.9%)、40〜64歳に限れば39人(45.3%)。除外の網をくぐり抜けた人だけでこの割合です。

定義を変えると男女比が動く

これが推測じゃないことは、別の調査と突き合わせるとわかります。

秋田大学のRoseline K.F. Yongらが2020年に『日本公衆衛生雑誌』(67巻4号237-246頁)に出した研究。秋田県八峰町の15〜64歳2,459人が対象、有効回答率54.5%。

この研究、専業主婦を定義から外していません。結果、出現率6.7%(164人)、男女比は男性53.7%/女性46.2%。ほぼ拮抗。うち45.7%が10年以上その状態。

同じ国、ほぼ同じ時期。違うのは定義だけ。それで男女比が動く。

対照的なのが第三者による把握調査。三重県が令和3年度に県内全ての民生委員・児童委員に聞いた調査(回収率92.4%)では、把握された1,270人のうち男性70.9%、女性20.9%でした。

図2:民生委員が把握すると男性7割、本人が答えると男性5割、専業主婦を除外しない定義ならほぼ拮抗。

女性の引きこもりは、本人が申告すれば現れて、他人が数えると消える。いまのところデータから言えるのはこれです。

なおYongらの研究では、多変量調整の結果、男性は「無職」「外出頻度の低さ」が、女性は「専業主婦であること」「社会的支援がないこと」がひきこもりと関連していた。精神症状の重さや希死念慮が有意に強かったのは男性だけで、女性では差なし。「精神障害だから」の一言では説明できません。

3. で、実際は何人いるのか

146万人が「専業主婦を外し、就業者を外し、一部の精神疾患を外し、15〜64歳に限定した」後の数だとわかった。じゃあ除外を戻したらどうなるのか。

以下はわたしの試算であって、政府の公表値ではありません。人口は総務省「人口推計」2025年10月1日現在の確定値を使っています。
① 公式カバー範囲(15〜64歳)

15〜39歳人口3,141万人 × 2.05% = 約64万人
40〜64歳人口4,212万人 × 2.02% = 約85万人
小計 約150万人

政府推計の146万人とほぼ一致。調査時点と現在の人口差を考えれば妥当な範囲です。

② 10〜14歳

10〜14歳人口513万人 × 4.14% = 約21万人

ただしこの群は定義が違う。義務教育年齢では「社会的自立」を基準にできないので、外出頻度と期間だけで定義されている。同列に足すのは乱暴だという批判は成り立ちます。

③ 65歳以上 ── ここが最大の空白

内閣府調査は40〜69歳が対象なので、65〜69歳のデータは存在します。報告書から逆算してみましょう。

広義のひきこもり群155人のうち65〜69歳が44.5% → 約69人
有効回収5,214人のうち65〜69歳が18.2% → 約949人
出現率 = 69 ÷ 949 = 約7.3%

40〜64歳の2.02%に対して3倍以上。人口718万人を掛けると約52万人

ただしこの数字には強い留保が必要です。この年齢層は退職後。「普段は家にいるが趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニには出かける」って、ごく普通の年金生活者にも当てはまってしまう。7.3%は社会的撤退という意味でのひきこもりを大幅に過大に拾っている可能性が高い。というか、たぶん拾ってる。

そして70歳以上はそもそも調査されていない。日本の65歳以上人口は3,622万人。この巨大な集団についてデータが存在しません。

④ 定義除外分 ── 数えられない

専業主婦・家事手伝いとして除外された人、統合失調症や身体疾患で除外された人。この人数は報告書からわかりません。秋田の研究が6.7%を出していることを考えれば小さくないはずですが、定義そのものが違うので単純に倍率は当てられない。

この項目は方向だけ言えます。加算方向であって、減算方向ではない。

試算まとめ
区分 推計 確度
15〜64歳 約150万人 政府推計と一致
10〜14歳 約21万人 定義が異なる
65〜69歳 約52万人 過大の疑いが濃い
70歳以上 不明 未調査
定義除外分 不明 加算方向

控えめに見て約170万人。65〜69歳を含めれば約220万人。上限はわからない。

つまり「146万人」は、日本で最も控えめな数え方をした場合の下限に近い数字です。

失業統計と矛盾しないのか

こういう試算をすると「じゃあ失業者統計はどうなってるんだ」と言われるので、労働力調査(2026年5月分・原数値)と突き合わせます。

15〜64歳人口 7,338万人
うち労働力人口 6,087万人(就業者5,921万人、完全失業者166万人)
うち非労働力人口 1,246万人

まず、ひきこもり群の一部はすでに完全失業者として数えられている可能性がある。完全失業者の定義は「仕事がなく、調査週間中に求職活動をしていて、すぐ就業できる人」です。

15〜39歳群の29.9%が「無職(仕事を探している)」 → 64万人 × 29.9% ≒ 19万人
40〜69歳群の12.3%が同じく求職中 → 85万人 × 12.3% ≒ 10万人
合計 約30万人

完全失業者185万人(15〜64歳では166万人)のうち、最大で2割弱がひきこもり群と重なる計算。求職活動の頻度によっては非労働力人口に分類されるので実際の重複はもっと小さいでしょうが、ゼロではない。

残る約120万人は非労働力人口の側。15〜64歳の非労働力人口1,246万人に対して約9.6%です。残り9割は学生、専業主婦・主夫、介護者、傷病者。

矛盾なし。むしろこの照合から重要な事実が出てきます。

「働いていない生産年齢の人」を動員可能な余力とみなすなら、ひきこもりはそのうちの1割弱にすぎない。そしてその1割弱のうち3割近くはすでに求職中で、失業統計に現れている。

「引きこもりを働かせれば外国人はいらない」という主張は、対象を取り違えたうえに、すでに数えられている人を二重に数えている。

4. 海外と比べる ── 比較を壊すのは国境じゃない

引きこもりは日本固有の現象なのか。これ、2025年に決定的な材料が出ました。

Zhang Wらが『Psychiatry and Clinical Neurosciences』79巻138-146頁に出したシステマティックレビュー・メタ分析。19研究、参加者58,229人を統合しています。

統合された出現率は8.0%(95%信頼区間4.9〜12.9%)。そしてこの論文の核心はここ。

図3:東アジアと西洋で有意差なし。一方、尺度と標本抽出法の違いで出現率は4倍以上動く。
  • 出現率は東アジアと西洋のあいだで有意差なし
  • 男女、コロナ前後、サンプルサイズ、精神疾患の有無でも有意差なし
  • 一方、HQ-25という尺度を使った研究では21.7%、他の質問紙では5.0%(p<0.01)
  • 非確率標本では12.5%、確率標本では3.1%(p<0.01)

つまりこういうこと。国が違っても数字は変わらないが、測り方が違うと4倍変わる。

地域差より測定法の差のほうが大きい。この記事の主題そのものです。

国別に見ると

スペイン。Ángeles Malagón-Amorらが2020年に『Frontiers in Psychiatry』11巻138に出した研究は、バルセロナのHospital del Marで在宅治療プログラムを始めた190例を分析。注目すべきは190例中86%が家族と同居していたこと。幼少期の家庭内虐待20.7%、ひとり親家庭37.8%。

「日本は家制度が強いから成人が実家に居続けられる」とよく言われますが、スペインでも家族同居型の社会的撤退は成立しています。文化論だけでは足りない。

4か国比較。Alan R. Teoらが2015年に『International Journal of Social Psychiatry』61巻1号64-72頁に出した研究は、インド・日本・韓国・米国から参加者を募り、4か国すべてでひきこもり該当者を確認(計36人)。うち28人(78%)が自分の社会的撤退について治療を望んでいた。ただしこれは有病率調査ではなく募集ベースの研究なので、そこは注意。

韓国。韓国保健社会研究院によれば、2024年基準で19〜34歳人口1,040万人のうち5.2%、約54万人が孤立・引きこもり青年。ソウルだけなら2025年基準で9.1%、約25万人。同院の2021年調査では19〜39歳の3.1%、約34万人だったので、短期間で激増しています(これらは日本語報道経由の数値で、原典未確認)。

ちなみに韓国政府がこの問題を公式に政策として扱ったのは2023年が初めて。日本より20年以上遅い。

5. 高齢化でどうなるのか ── 追跡統計は存在しない

ここが一番歯切れが悪い。引きこもりの当事者が高齢化した先を追跡した公的統計は、日本に存在しません。ゼロです。

ただし現在の断面から見えることはある。

「親と同居する未婚の子」というイメージは、実像とズレる

8050問題という言葉から想像する姿と、データはかなり食い違います。

15〜39歳群 40〜69歳群
未婚 81.9% 27.1%
配偶者あり 16.7% 53.5%
単身世帯 8.3% 25.8%
二世代同居 70.1% 40.6%
三世代同居 14.6% 1.9%

40〜69歳群の過半数に配偶者があり、4分の1は単身。同居相手も配偶者52.3%、子25.2%が中心で、父6.5%・母16.8%を大きく上回る。

一方、15〜39歳群は母68.1%・父52.1%・きょうだい44.4%と同居していて、生計を主に支えるのは父43.1%、母22.2%、本人はわずか7.6%。若年層は親に依存し、中高年層は配偶者や自分の年金で成り立っている。同じ「ひきこもり」の名で呼ばれる二つの集団は、経済的にまったく別の構造にあります。

ついでに言うと40〜69歳群の主な収入源は年金が56.8%、就労21.9%、生活保護7.7%。回答者全体では就労78.1%、年金16.9%なので、まるで別の分布です。

統計の空白には、構造的な理由がある

なぜ「親が亡くなった後」のデータがないのか。KHJ全国ひきこもり家族会連合会が平成30年度の厚生労働省社会福祉推進事業として実施した調査報告書を読むと、理由が見えてきます。

この調査は全国約5,100か所の地域包括支援センターから6分の1にあたる844か所を層化抽出し、263か所から有効回答(回収率31.2%)。うち83.7%にあたる220か所が、無職の子と同居する高齢者への支援経験を持っていた。寄せられた220事例のうち153例が狭義のひきこもり状態。

ここで決定的なのは、地域包括支援センターが高齢者のための窓口だということ。親の介護をきっかけに子の存在が発見される。だから親が亡くなると、その家庭に関わる制度上の理由が消える。

報告書の事例には、母が亡くなり高齢の父と2人になった40代男性について、支援側が「心配だが父からの相談がなく訪問理由がないため関わりが止まっている」と記録したものがあります。自由記述には「50代のひきこもりを支援する機関がない」「40歳以上への支援制度が確立されておらず包括支援センターに一任される」という声が並ぶ。

発見の入口が「親の介護」である以上、親の死は支援の終点になる。記録する主体がいないから、記録が残らない。

なお同報告書は、平成30年度に「親が亡くなった家庭で同居していた子どもが誰にも連絡を取ることができないまま生活し、遺体遺棄に問われる事件も相次いで報道された」と背景に記しています。

孤立死統計は、単身になった後しか見ない

内閣府は2025年の孤立死(一人暮らしで死後8日以上経過して発見された人)を約2万2,222人と推計しています。全国の警察が扱った遺体20万4,562人のうち、一人暮らしの自宅死は7万6,941人。死後1年以上経過していた人が208人(報道ベース、内閣府原典は未確認)。

ただしこの統計は「一人暮らし」限定。親と同居しているあいだは捕捉されず、親が死んで単身になった瞬間から対象になる。しかもひきこもりかどうかは識別されない。

つまり日本の統計は、同居している間は福祉が見て、単身になったら警察が数えるという構造。その断絶のあいだに何が起きているかを見ている制度が、存在しません。

6. 「成功例」を探した結果

海外で引きこもりを減らすことに成功した政策や介入プログラムはあるのか。調べる前は「フィンランドあたりに何かあるだろ」と思っていました。

結果、予想外でした。

効果が検証された成功例は、事実上存在しません。

前出のZhangら(2025)のメタ分析は、結論部分で「標準化された診断ツールの使用の重要性」と並んで「介入方法に関するさらなる研究の必要性」を明示している。19研究・58,000人超を統合した最新のレビューが、介入の有効性については未解決だと言っているわけです。

日本で実施されたランダム化比較試験(RCT)もあります。UMIN臨床試験登録(UMIN000037289)に登録された、ひきこもり当事者の家族を対象とする3日間の介入プログラムのパイロットRCT。結果が厳しい。

  • 通常対応群15人、プログラム群14人
  • 目標サンプルサイズ80人に対し、リクルート率36.3%
  • コロナ禍により試験は中断
  • プログラム群では当事者の攻撃的行動が有意に悪化(深刻な家庭内暴力の報告はなし)
  • 実際の行動変化を報告したのはプログラム群2人(16.7%)、通常対応群1人(7.7%)
  • 結論は「試験中断のため、プログラムの有効性について一般的な結論を導くことはできなかった」

これが現時点で、この分野で得られている最も厳密な部類の証拠です。

「成功例がない」という発見

引きこもり支援の記事って、だいたい「北欧では」「韓国では」と海外の先進事例を紹介して終わりますよね。でも査読された効果検証にあたっていくと、紹介されている取り組みのほとんどは効果を測定していない。

韓国は2023年に総合対策を打ち出し、青年未来センターを設置しました。が、報道によれば担当者1人が最大147人を管理する過負荷状態。制度は始まったばかりで、成果を評価する段階にすら達していない。

これ、支援者の怠慢じゃないんです。引きこもりの当事者は、定義上、研究者にも支援者にも会わない人たち。会えない人を対象にランダム化比較試験を組むのは、方法論的にめちゃくちゃ難しい。そもそも146万人という推計自体が、間接的な質問紙から絞り出された数字でした。

なので、この分野に「エビデンスに基づく成功例」を期待するのは、現時点では無理があります。誠実に書くならこうなる。

引きこもりを減らすことに成功したと実証された政策は、国内外を通じて確認できない。有望とされる取り組みは複数あるが、その多くは効果測定を伴っていない。

まとめ ── 測り方が実態を作っている

ここまで見てきたことを並べると、1本の線が通ります。

  • 146万人は、専業主婦と就業者と一部の精神疾患を除外した後の数
  • 除外を戻して10〜14歳と65〜69歳を足すと、控えめに見て170万人、幅を取れば220万人。70歳以上は未調査で上限不明
  • そのうち約30万人はすでに完全失業者として数えられている可能性がある
  • 専業主婦を除外しない定義で測ると、男女比はほぼ拮抗する(秋田・6.7%)
  • 民生委員が数えると男性7割、本人が答えると男性5割
  • 世界19研究のメタ分析では、東西の地域差は有意でなく、測定法の差が4倍の開きを生む
  • 高齢化の先を追跡した統計は存在しない。理由は制度の入口が「親の介護」だから
  • 効果が実証された介入は、国内外に見当たらない

引きこもりをめぐる数字は、実態を写した鏡じゃない。誰が、どんな定義で、どの窓口から数えたかの記録です。

それを踏まえずに「146万人の引きこもりを働かせれば外国人はいらない」なんて議論を組み立てると、対象を丸ごと取り違える。実際この146万人、40〜69歳群は6割超が60代で、9割が就業経験を持ち、状態になった最大の理由は「退職」(44.5%)。労働市場に入れなかった人ではなく、入って、出た人たちです。

数字を疑うのは、当事者を疑うことじゃない。むしろ逆。

雑な数字は、雑な政策を正当化するからです。

出典

原典を直接確認したもの

  1. こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」第3部 調査結果の概要Ⅱ(令和5年3月内閣府にて公表、令和5年4月こども家庭庁へ移管)
  2. 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2026年5月分」
  3. 総務省統計局「人口推計」2026年3月報(2025年10月1日現在・令和2年国勢調査を基準とする確定値)
  4. Yong RKF, Fujita K, Chau PYK, Sasaki H (2020) 日本公衆衛生雑誌 67(4):237-246. doi:10.11236/jph.67.4_237
  5. Koyama A, Miyake Y, Kawakami N, et al. (2010) Psychiatry Research 176(1):69-74. PMID 20074814
  6. Umeda M, Kawakami N (2012) Psychiatry and Clinical Neurosciences 66(2):121-129. PMID 22300293
  7. Teo AR, Fetters MD, Stufflebam K, et al. (2015) International Journal of Social Psychiatry 61(1):64-72. PMID 24869848
  8. Malagón-Amor Á, Martín-López LM, Córcoles D, et al. (2020) Frontiers in Psychiatry 11:138. PMID 32194459
  9. Zhang W, Chen MY, Feng Y, et al. (2025) Psychiatry and Clinical Neurosciences 79:138-146. doi:10.1111/pcn.13768. PMID 40016086
  10. KHJ全国ひきこもり家族会連合会「長期高年齢化する社会的孤立者(ひきこもり者)への対応と予防のための『ひきこもり地域支援体制を促進する家族支援』の在り方に関する研究」報告書(平成30年度厚生労働省社会福祉推進事業、平成31年3月)
  11. 三重県ひきこもり支援情報サイト(令和3年度 民生委員・児童委員アンケート調査)
  12. 3日間家族介入プログラムのパイロットRCT(UMIN000037289)※抄録を確認

報道・二次資料にとどまるもの

    • 外国人労働者数 257万1,037人(2025年10月末時点、厚生労働省2026年1月30日公表)── 複数の二次資料が一致、厚労省原典PDFは未確認
    • 孤立死推計 2万2,222人(2025年)── 報道ベース、内閣府原典未特定
    • 韓国の孤立・引きこもり青年 54万人・5.2%(韓国保健社会研究院、2024年基準)── 日本語報道経由、原典未確認
    • 「約146万人」という推計値 ── 複数の行政資料・報道が内閣府公表として一致するが、内閣府の原典発表資料は未特定

編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年8月2の記事より転載させていただきました。

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