日本は何故若年層の失業率が低いのか?:人件費がアメリカの半分という現実

日本の学卒は希望すればほぼすべての人が少なくとも一度は社員として採用される機会を持っています。「3年3割」という退職の実態はありますが、会社の雰囲気や職種が自分の思ったものと違っていたのが主因で退職した人たちも割と高い水準で再就職の道は開かれている状況です。

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欧米や中国では若年層、特に新卒の失業率が高く、中国では新卒の半分近くが就職できないともされる中で日本だけなぜこれほど就職状況が良いのでしょうか?このテーマについて少し考えてみたいと思います。

この質問をAIに聞けば日本の新入社員採用制度やメンバーシップ制度が有効だと回答が来るかと思います。それはその通りなのですが、ではなぜ日本はそれでうまく行っているのに他国はそれを真似ないのか、と思いませんか?

海外で仕事をしている限り、必ずしもそれだけが答えではないという気がするのです。それは被雇用者が会社に期待するものは何か、という期待度が大きく相違しているからだとみています。

私が北米で経験値として知る限り、被雇用者のモチベーションは採用時の給与、及び将来のその会社における自分の成長性=昇給の可能性であります。採用条件に対する要求は貪欲と言うか、そこまで求めるか、と言いたくなる人もいるぐらい会社と被雇用者の関係はドライであり、3年もして「会社が思ったほど評価してくれない」「昇給がショボい」「会社の将来性に期待できない」となればさっさと辞めて次のチャンスを求めます。私から見れば欧米の人は会社を踏み台にするだけであり、雇う側も法律で定められた条件は提示しますが、応分の期待度も高く、ノルマも厳しく設定されます。よって社員が辞めると言っても「しょうがないな」ぐらいで引き留めもしません。

では日本はなぜ世界でもまれに見る高水準の雇用状況を生み出しているのでしょうか?

若者の人気就職先に公務員は常に上位に位置します。その理由は安定とワークライフバランスの追求です。また仕事もアグレッシブな民間企業ほどではなく、ノルマや遅くまでの残業要求も一部の役所や教員を除きあまりありません。その代わりそれらの人々は高水準の給与は諦めています。

高給を求めれば当然、ライフの部分で諦めなくてはいけないこともあり、このあたりは両取りしたいけれど取捨選択せざるを得ません。たとえば私はこれからの就職先は建設会社が引き続き極めて有望だと思っています。なぜなら新築のみならず、建て替え需要やインフラの維持は無限に続くからです。しかも給与水準は産業界では最高レベルかもしれません。しかし、土建屋は土曜日は仕事、早出残業は当たり前、勤務先は現場が変わる度に異動で家族はバラバラに住む人だらけであります。逆に言えば3Kに近ければ近いほど給与は高いとも言えるのですが、施工管理技士なんてしっかり学校に行かないとなれないのです。

とすれば多くの一般の学卒は夢と希望に胸を膨らませても就職先は妥協の産物と言うことも往々にしてあるでしょう。そして給与は思ったほど高くなく、そこから様々な天引きと保険料やら税金を引かれたら「やばい、生活できないかも」と言う水準です。アメリカあたりでは初任給に対する期待度は1200万円で実態は900万円前後とされます。それに対して日本の新卒の実態は350万円から500万円程度でしょう。つまりアメリカのほぼ半分なのです。

これがポイントだと思います。日本の若年層や雇用全体の失業率が低いのは人件費がアメリカの半分であり、これでも日本人は文句も言わず、サービス残業も含め、まじめに勤めるのです。給与が半分水準なら企業から見れば欧米と比較して2倍の人材を確保できることになります。これが日本の就職事情の原点ではないでしょうか?

もう一つ、言うならば神道の国であり、ワークシェアリングが思想の根本に根付いているとも言えます。誰かが総取りではなく、分かち合う気持ちがある、これが日本の勤勉さの原点であります。

一部の企業ではジョブ型にして競争力を高めようとする動きもここにきて再び加速しそうな気配がありますが、日本の就職に至るまでの教育事情や物事の考え方を含め、急激な変化はまだまだ期待できないような気がします。ただ、強いリーダーシップと組織を引っ張り上げるチカラがないと海外の企業に負けることも事実で、国内の雇用水準はよいけれど国際競争力に欠けてしまうなどなかなか難しいかじ取りとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月6日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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