金銭授受疑惑や地震直後の政治資金パーティーをめぐる問題など、混乱が続く福岡県議会。そうした中、海外出張から帰国した蔵内勇夫議長の「ネパールは天国だった」との発言が波紋を広げている。
蔵内氏は8月5日、海外出張から戻り県議会に登庁。記者団から滞在先について尋ねられると、ネパールを訪れていたことを明らかにし、「ネパールは天国だった」などと話した。
蔵内氏は日本獣医師会と世界獣医師会の会長を務めており、今回の出張ではカトマンズで開かれた国際会議で講演したほか、日本獣医師会とネパール側との間で「ワンヘルス」に関する覚書を締結したという。
「天国」との表現についてはその後、エベレスト連峰を抱えるネパールが「天国に一番近い国」と言われていることに触れ、現地の人々の「心の豊かさ」を感じたとの趣旨だったと説明。「大地震から復興の途上にあるが、みんなで力を合わせて国をつくろうという姿を見ることができ、まさしく天国の国だなと思った」と語った。
しかし、発言のタイミングはあまりにも間が悪かった。

海外出張から帰国した蔵内勇夫議長
金銭授受疑惑、震災直後のパーティー
福岡県議会では、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑が浮上している。吉松源昭県議と江藤秀之県議は、議長や副議長への就任をめぐり、自民党県議団幹部に合わせて2840万円を支払ったと証言している。県議会は一転して、日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会を設置し、疑惑を調査する方針を決めた。
さらに、自民党福岡県議団の松尾統章会長は7月28日、熊本を震源とする地震発生直後に北九州市で政治資金ビアパーティーを開催。「大きな決断だった」「正直やってよかった」と発言したことが批判を浴び、会長職を辞任した。
こうした問題が相次ぐ中で議会トップから飛び出したのが、「ネパールは天国だった」という言葉だった。
3年間で海外視察23回、約2億6500万円
さらに8月6日、福岡県議会をめぐる新たな数字が明らかになった。
県議会は、現職県議の任期が始まった2023年4月以降に議会経費で実施した海外視察の費用を初めて公表した。3年間の海外視察は23件に上り、総額は約2億6500万円だった。
23件のうち13件は経費が1000万円を超え、最も高額だったのはスイスやフランスを5泊8日で訪問した欧州調査視察団で、総額約3000万円だった。議長や副議長が参加した視察では、宿泊費が国の基準額を超えたケースもあり、公表された23件のうち16件で基準超過が確認された。フランスで歴代議長が1泊16万9000円のホテルに宿泊した例もあった。
蔵内氏は海外視察をめぐる過去の会見で、「海外旅行は続けます」と口にした後、「海外旅行じゃなくて海外活動です」と訂正していた。今回初めて明らかになった巨額の経費を受け、海外視察の必要性や費用対効果について改めて説明が求められそうだ。
服部誠太郎知事は県議会の海外視察についても、県が設置する第三者委員会で調査する方針を示している。また、8月7日には、保存されている過去5年分の海外視察費についても公表すべきだとの考えを示した。
「天国」から戻った県議会には問題山積
もちろん、蔵内氏のネパール訪問自体は獣医師会の活動として行われたものであり、「天国」という言葉も現地の人々や復興への姿勢を評価する文脈で使われた。したがって、「熊本の被災者が苦しんでいるのに、自分だけネパール旅行を楽しんで天国だったと言った」という単純な話ではない。
一方、福岡県議会では金銭授受疑惑、震災直後の政治資金パーティー、高額な海外視察と、税金の使い方や議会運営をめぐる問題が次々と浮上している。
その最中に「ネパールは天国だった」と語った蔵内氏。ネパールから帰国した議長を待っていた福岡県議会の現実は、天国とはほど遠い状況となっている。







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