九州大 岡﨑晴輝教授の「女子枠」投稿が炎上したのは「女子枠」を擁護したからではない

大学入試で拡大する「女子枠」をめぐり、九州大学大学院法学研究院の岡﨑晴輝教授のXへの投稿が議論を呼んでいる。

岡﨑教授は「『女子枠はおかしい』と憤っている男子高校生・浪人生が少なくないようです」としたうえで、「そうした憤りを抱くのであれば、他の差別にも目を向けてください」と投稿。人種差別や女性差別、学歴差別などを挙げ、「広い視野を獲得してください」と呼びかけた。

九州大学HPより

「他の差別を見るべき」は答えになっているのか

Xでは「女子枠が公平なのかという問いへの答えになっていない」「話題をそらしている」といった批判が相次いだ。

女性からも「公平に戦えない前提にされることが迷惑だ」といった反対意見が出ている。女子枠によって、「女性は同じ条件では男性に勝てない」という印象をかえって強めるのではないかという懸念だ。

重要なのは、岡﨑教授が単に「女子枠」を擁護したから炎上したわけではないという点だ。女子枠への違和感を、受験生の視野の狭さの問題として処理しようとしたように受け取られたことが、大きな反発につながったと思われるのだ。

急拡大する大学の「女子枠」

女子枠は、女性比率の低い理工系学部で女性学生を増やすため、女性だけが応募できる募集枠を設ける制度だ。

2026年度入試では国公立大学38校が理工系女子を対象とする選抜を実施するなど、制度は急速に広がっている。国立大学の女子枠募集人員も736人に達している。

支持する側は、理工系の極端な男女比を是正し、多様な人材を確保するには一定の措置が必要だと主張している。

多様性と個人の公平は別問題

しかし、大学全体として女性を増やすことと、個々の受験生を性別によって異なる条件で選抜することは別の問題だ。

社会全体の男女格差に責任のない男子受験生からすれば、自分が応募できない枠が性別を理由に設けられれば「逆差別」と感じるのも不思議ではない。

また女子枠が広がれば、一般入試で合格した女性まで「女子枠ではないか」と見られる可能性もある。女性を支援する制度が、逆に女性の能力への偏見を生み出すという矛盾も抱える。

「広い視野」を求める前に大学が説明すべきこと

大学が女子枠を導入するのであれば、「女性を増やしたい」という目的だけでなく、なぜ性別を条件とした選抜が必要なのかを受験生が納得する形で説明する必要がある。

女子枠によって教育や研究にどのような効果が生まれるのか、一般枠を減らしてまで続ける合理性があるのかも検証し周知する必要があるだろう。

多様性は重要だが、それによって個人単位の公平性の問題をうやむやにしてはならない。

今回の騒動が突きつけたのは、「女子枠」への賛否だけではない。集団としての男女比を改善するために、個人としての公平な競争をどこまで歪めてよいのか。岡﨑教授をはじめとする大学側には、反対する受験生に「広い視野」を求める前に、この問いに正面から答えることが求められる。

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