OpenAIの成長が減速:大株主ソフトバンクGの株価も大幅安

生成AIブームを牽引してきたOpenAIの成長に、変調の兆しが見えてきた。急成長を前提に巨額の資金を投じてきたソフトバンクグループ(SBG)にも、その影響が波及している。

8月19日の東京株式市場でSBG株は前日比603円(10.34%)安の5227円と大幅に下落した。日経平均も3%を超えて下落する全面安の一日だったが、SBGの下げは市場平均を大きく上回った。

 

OpenAIの売上成長率が18%に低下

きっかけの一つとなったのが、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたOpenAIの4~6月期業績だ。売上高は67億ドルで、1~3月期の57億ドルから18%増加した。普通の企業なら十分な成長率だが、世界最大級のAI企業として急拡大を続けることを前提に評価されてきたOpenAIとしては物足りない数字だ。

さらに問題なのは赤字である。営業損失は1~3月期の93億ドルから4~6月期には123億ドルへ拡大した。売上高以上の営業赤字を出している計算になる。WSJによれば、この結果は一部の投資家を失望させたという。

競合するAnthropicが法人向け、とりわけAIコーディング市場で急成長していることもOpenAIへの警戒材料になっている。ChatGPTが生成AI市場を独走していた時代から、競争の局面が明らかに変わりつつある。

ソフトバンクGはOpenAIに「全賭け」

この問題が日本市場で注目されるのは、SBGがOpenAIへの投資を急拡大しているためだ。SBGは2026年2月、OpenAIに追加で300億ドルを投資すると発表した。投資完了後の累計投資額は646億ドル、持ち分は約13%になる見込みである。投資時のOpenAIのプレマネー評価額は7300億ドルだった。

昨年度のSBGはOpenAI株の評価益によって5兆円を超える過去最高の純利益を計上した。それだけにOpenAIの企業価値が上昇すればSBGの資産価値も膨らむが、逆に成長期待が後退すれば、その影響も大きくなる。

しかもSBGは投資資金を自己資金だけで賄っているわけではない。OpenAI株を担保とする100億ドルの融資契約を結び、2026年の投資資金を賄うため400億ドルのブリッジローンも確保している。OpenAIは単なる投資先ではなく、SBGの財務そのものを左右する存在になりつつある。

1兆円の個人向け社債も市場が警戒

19日のSBG株急落には、もう一つの材料があった。SBGが1兆円規模の個人向け社債を発行するとの報道である。国内企業の個人向け社債として過去最大規模になるとみられ、AI関連投資などの資金需要の大きさを改めて印象づけた。

市場ではOpenAIの成長鈍化報道と、この巨額資金調達が重なった。SBGの株価ニュースでも、OpenAIの低調な売上成長と1兆円規模の社債発行の双方が下落材料として指摘されている。

孫正義氏はAIバブル論を繰り返し否定し、AIへの投資はまだ始まったばかりだと強調している。しかし市場が見始めているのは、AIが重要かどうかではない。巨額の投資に見合うだけのキャッシュフローをいつ生み出せるのかという問題だ。

「AIは成長する」と「投資がもうかる」は別問題

もちろんOpenAIの成長が止まったわけではない。同社は投資家に対し、7~9月期には成長が再加速していると説明している。またエヌビディアはOpenAIが利用するオハイオ州の巨大データセンターについて、最大1050億ドルの保証を提供する計画を打ち出している。AIインフラへの投資意欲そのものは依然として強い。

だが、ここには重要な区別がある。AI市場が今後も拡大することと、現在の巨額な企業評価額でOpenAIに投資することが高いリターンを生むことは同じではない。

OpenAIの売上成長率が鈍化する一方で赤字と設備投資が膨らめば、必要となる資金はさらに増える。その資金を供給するSBGもまた、借り入れや社債発行への依存を強めることになる。

生成AIブームはいよいよ「夢の大きさ」を競う段階から、「その夢はいくら稼ぐのか」を問われる段階に入った。OpenAIの成長率とSBGの株価は、その転換点を映す重要な指標になりそうだ。

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