「独身男性の寿命は既婚男性より15歳も短い」という統計は本当?

「独身男性は67歳で死ぬ」「結婚している男性より15年も寿命が短い」。ネット上では、そんな衝撃的な数字を目にすることがあります。もし本当なら、65歳から年金を受け取り始めても、未婚男性の半数はほとんど受給できないことになります。

数字は正しいが、未婚者は若い世代に多い

この計算自体は間違っていません。2020年の厚生労働省「人口動態統計」をもとに、15歳以上の男性について死亡年齢の中央値を配偶関係別に計算すると、未婚男性は67.2歳、有配偶男性は81.6歳。差は14.4歳です。

しかしこれは「現在の未婚男性の平均寿命が15歳も短い」という意味ではありません。最大の問題は、未婚男性と既婚男性では年齢構成がまったく違うことです。

現在の高齢者が若かった時代、日本は現在よりはるかに結婚する人の多い「皆婚社会」で、1970年には50歳時点の未婚率はわずか1.7%でした。しかし未婚率は若い世代ほど未婚率は高くなり、今は50歳時点の未婚率は28.3%に達します。

高齢者の圧倒的多数が既婚者なので、既婚者の死亡年齢は未婚者より高くなります。高齢で死ぬ人は既婚者が圧倒的に多く、若くて死ぬ人の3割は未婚なので、未婚者の寿命の中央値を取ると既婚者より短いのです。

きちんと補正すると「15年差」ではない

そこで人口学では、年齢構成や結婚・離婚・死別といった状態の変化を考慮する「多相生命表」という方法が使われます。国立社会保障・人口問題研究所の研究によると、2021年の男性について、多相生命表から求めた未婚者の平均死亡年齢は75.8歳、有配偶者は82.0歳でした。差は約6.2年です。

ただし「15年差は誇張だから、結婚と寿命には何の関係もない」と考えるのも正しくありません。多相生命表でも、男性では未婚者より有配偶者の平均死亡年齢が高くなっています。

結婚生活には、食事や生活リズムが安定しやすい、体調の変化を配偶者が発見する、病院に行くよう促される、社会的孤立を防ぎやすい、といった健康上のメリットが考えられます。

男性は退職後も社会との接点をもつ必要

とりわけ男性は、退職すると会社以外の人間関係が急速に減りやすい傾向があります。配偶者の存在が社会との接点として機能しているケースも少なくありません。

したがって統計から読み取るべきなのは、「結婚すれば寿命が15年延びる」という話ではありません。重要なのは、未婚男性は健康管理や社会的孤立に注意する必要があり、結婚が自動的に提供している生活管理や人間関係を、独身であれば意識的につくる必要があるということです。

15年という差は、年齢構成の違いによって大きく見えている面がありますが、未婚男性の死亡リスクが相対的に高いことは事実なのです。

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