沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、同志社国際高校2年の武石知華さん(17)ら2人が死亡した事故を受け、同校が今年度の2年生を対象とする沖縄研修旅行を中止する方向で調整していることが産経新聞の関係者への取材で分かった。
【参照リンク】<独自>同志社国際高が沖縄研修旅行中止へ 長年の伝統も、辺野古事故を踏まえ 産経新聞
中止自体は当然だろう。しかし、これで一件落着では困る。問題は「沖縄へ行ったこと」ではない。なぜ学校教育の名の下で高校生を政治的対立の現場まで連れて行き、安全確認が不十分なまま船に乗せたのか。その意思決定こそ検証されるべきだ。
事故2日後に「研修を継続したい」
さらに理解しがたいのが、先日解任が発表された西田喜久夫校長の事故直後の対応だ。
西田氏は事故からわずか2日後、沖縄県庁で玉城デニー知事と面会し、「今後も同様に訪問させていただき、研修を継続していきたい」と語っていた。

玉城デニー知事と同志社国際・西田喜久夫校長
生徒が学校行事で死亡した直後である。本来なら、まず研修を白紙に戻し、事故原因と研修内容そのものを検証するのが学校責任者の仕事ではないか。
それが事故から5カ月以上たって校長を解任し、ようやく沖縄研修も中止する。この順番には強い違和感が残る。
「平和学習」なら何をしてもいいのか
問題は研修の中身にもある。
辺野古コースでは、基地建設をめぐって対立する「現場」を見ることが研修の一部となり、過去にはヘリ基地反対協議会による座り込みへの参加を促す内容もあった。文科省も、異なる見解を十分に扱っていなかったとして、教育の政治的中立性に問題があると指摘している。
平和について学ぶこと自体は重要だ。だが「平和学習」という大義名分があれば、政治的中立性も安全管理も二の次になっていいはずがない。
平和を教える前に子供を守れ
しかも安全管理には重大な不備があった。学校側はボート乗船について十分な事前下見をせず、事故当日は引率教員も船に乗っていなかった。天候や海況を踏まえた中止基準、代替プログラムなどについても問題が指摘されている。
これは思想以前の問題だ。どれほど立派な「平和」という理念を掲げても、目の前の高校生の安全を守れなければ教育として本末転倒である。
校長解任と旅行中止で幕を引いてはならない
事故を起こした船と反基地運動の関係、学校と関係団体がどのように研修内容を決めていたのかについても、事実に基づいた検証が必要だ。
ただし、特定の政党や政治勢力に事故の法的責任があると直ちに断定することはできない。問うべきなのは、誰が研修を企画し、誰が承認し、安全性や教育的妥当性を誰がチェックしていたのかという学校と法人のガバナンスである。
同志社は校長を解任し、理事長も辞任する意向を示した。さらに沖縄研修も中止する。しかし、人を替え、今年度の研修旅行をやめれば済む話ではない。沖縄に行くことが悪いのではない。問題は、大人たちの政治的な思い入れが強いテーマを扱う際に、教育の中立性と子供の安全を最優先できていたのかということだ。
「平和」を教える前に、まず目の前の子供を守る。同志社が最初に学び直すべき教訓は、そこではないか。









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