NPO法人が補助金不正、東京都が3779万円を返還請求したけど… https://t.co/oykgP9Zm9B
東京都は24日、NPO法人「再チャレンジ東京」(新宿区)が、自殺対策事業に関する補助金を不正に受給していたと発表した。
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) August 24, 2026
都の自殺対策補助金をめぐる不正受給が発表されました。
金額は交付決定の取消しが約4893万円、うち交付済みが約3779万円。回収の見込みはないとされています。
手口は、実際には払っていない講師や審査員への謝礼を架空計上して領収書を偽造したこと、実施していない対面相談を「実施した」と報告したことです。報道では偽造は5社33人分に及ぶとされています。
発覚のきっかけは、都職員による現地確認でした。相談員に直接聞いたところ、報告された実績とかけ離れていたということです。

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まず押さえておきたいのは、この法人がすでに破産手続を終えている、という点です。
つまり返還を請求する相手方の法人格が、もう存在しません。都は警視庁に相談していると報じられています。
ここで一つ、確認したい点があります。「相談」と「告発」は違う、ということです。
刑事訴訟法239条2項は、公務員がその職務によって犯罪があると思料するときは告発をしなければならない、と定めています。義務規定です。
領収書の偽造は有印私文書偽造・同行使にあたりうる行為で、それを使って補助金を受け取っていれば詐欺罪の構成要件に触れます。
都自身が調査で偽造を確認し、理事長も不正を認めていると報じられている以上、「相談」の段階で止まる理由は乏しいのではないでしょうか。
法人は消えても、人は消えません。
法人格がなくなったことで消滅するのは法人に対する返還請求権であって、不正を実行した個人の刑事責任ではありません。詐欺も私文書偽造も、自然人が問われる犯罪です。
ここを曖昧にしたまま「回収不能でした」で終えると、事実上、法人を畳めば逃げ切れるという前例になってしまいます。
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そして、ここからが制度の話です。
株式会社であれば、役員が悪意または重過失で職務を行い第三者に損害を与えた場合の責任について、会社法に明文の規定があります。一般社団法人にも同様の規定があります。
NPO法(特定非営利活動促進法)には、この役員の第三者責任にあたる規定が置かれていません。理事の義務は委任の一般規定に委ねられており、都が個人を追及しようとすれば民法上の不法行為として立証していくことになります。
小さな法人が動きやすいように、という立法時の判断は理解できます。ただ、その軽さが、公金を数千万円単位で扱う場面ではそのまま穴になります。
法人格を持ち替えれば過去が切れる。この構造をどう塞ぐかは、NPO法制そのものの論点です。
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もう一点、見過ごせない記述があります。
2017年度以前もこの法人に補助金を交付していたけれど、文書が残っていないため交付額がわからない、という部分です。
不正の期間がどこまで遡るのか、都自身が検証できない状態にある、ということです。公金の交付記録が5年程度で消えていく運用でよいのか。少なくとも刑事の時効期間を超える保存年限が必要でしょう。
不正受給の全容が「わからない」で終わるのは、調査の限界ではなく、記録管理の設計の問題です。
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最後に、この分野特有の難しさに触れておきます。
自殺対策は、成果が数字で測りにくい領域です。「相談に来た人が思いとどまった」ことを実績として証明するのは、本質的に難しい。
しかも、事業の受益者は声を上げにくい立場にあります。そして周囲には、この分野の取り組みを厳しく問い質すことへの、ある種のためらいが働きます。
その空気が、チェックを甘くします。
割を食うのは、現場で真面目に活動を続けている団体です。今回の件で自殺対策の補助金全体が疑いの目で見られるようになれば、損失は3779万円では済みません。
だからこそ、丁寧な検証と、きちんとした刑事手続が必要ではないでしょうか。今後の都の対応に注視するとともに、NPO法についての検討をしていきたいと思います。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年8月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。







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