「42か月分の割増退職金じゃ辞めたくない。せめてその2倍は欲しい」って言ってる人って労働者なの?と思ったときに読む話

城 繁幸

なかなか強烈な記事が話題となっていたので取り上げたいと思います。一応言っておきますけど今回はかなり濃ゆい話になります。

【参考リンク】“188億円黒字”なのに4000人リストラ…「今辞めるわけにはいかない」55歳女性が拒む“理由” OKIで労組が団体交渉

“188億円黒字”なのに4000人リストラ…「今辞めるわけにはいかない」55歳女性が拒む“理由” OKIで労組が団体交渉 | 弁護士JPニュース
「55歳で辞めても、退職金の割増は42か月分。その倍くらいなら考えるかもしれないが、定年が70歳に延びるかもしれないのに、今辞めるわけにはいかない」――。沖電気工業グループで早期退職の対象とされた女性社員は、胸の内をこう明かしたという。同社...

「今辞めるわけにはいかない」と言ってる人はいったい何と戦っているのか。

そういう人達にはこの先どんな未来が待っているのか。

これからキャリアを築いていく世代はもちろんのこと、制度を見直す側の企業にとっても示唆に富む内容になるはずです。

「42か月分の割増退職金じゃ辞めたくない。せめてその2倍は欲しい」と言う人たちは果たして労働者なのか

大前提として、雇用契約というのは本来は労働の対価として給与を支払うだけの話であり、スーパーで大根買うのと何ら変わりません。

状況によって契約を解消することは普通にあり得るし、むしろいつでも手軽に契約解除できる方が経済は新陳代謝して成長もします。

その真逆をやって、90年代から定年を55歳→60歳→65歳→70歳(努力義務)と引き上げさせ経済を締めあげてきたのが日本であり、失われ田30年の大きな要因なわけですね。

なんて書くといつも「じゃあクビにされた労働者の生活はどうなるんだ!」って青筋立てて怒る人がいるんですが、本来は失業者の面倒を見るのは政府の仕事なんです。

要は終身雇用というのは、政府本来の役目を民間企業に丸投げしているようなものなんですね。

それで終身雇用が守られたら(まあそのコストにしたって労働者自身が賃上げを我慢することで負担しているんですけど)良かったねでおしまい。

終身雇用が守られなかったら「その会社の経営者はけしからん!」と企業に労働者をけしかけるか、「そんなダメ会社に入った人間が悪い、自己責任」で済ますと。

ほら、就活という入り口段階でマトモな企業に就職できなかった就職氷河期世代が、まさにその典型でしょ?

左翼からは「非正規雇用として使い捨てにする企業が悪い!一緒に内部留保要求デモやりましょう!」と誘われ。

上の世代からは「努力してマトモな会社に入れなかったんだから自己責任」と切り捨てられて今に至るわけで。

そういう観点から見ると、冒頭記事はもうタイトルからしてプンプン臭ってきますね。

「黒字なのにリストラ」って、まるで企業に人生丸抱えする義務があるみたいなノリです。

しかも「今辞めるわけにはいかない」って、いったい何と戦ってるんですかね(苦笑)

戦うんなら現実と戦えと。いつまでもグダグダやってる自分をまずなんとかしろよと。

でもやっぱり最大のポイントは以下の部分でしょう。

「55歳で辞めても、退職金の割増は42か月分。その倍くらいなら考えるかもしれないが、定年が70歳に延びるかもしれないのに、今辞めるわけにはいかない」

あのさあ、42か月分割り増しされるんならもうそれで充分でしょ(苦笑)
「その倍くらいなら考えるかも」って、たまたま卒業時に景気が良くて大企業に入れただけの人間がいったい何様なんですかね。

こんなのが社内にごろごろしてたら、そりゃ会社も黒字リストラしたくなりますよ。若い社員に示しがつかないですから。

余談ですけど、解雇ハードルを下げる労働市場の流動化が議論になるたび、必死に反対してくるのって大体この手の大手の窓際中高年社員ですね。

たとえば半年分の割増賃金で金銭解雇できるなんてルールが出来たら、普通に何の金銭的補償も無く解雇されることもある中小零細企業の正社員にとってはむしろ朗報でしょう。

でも「42か月分ではダメ!84か月分なら考えてもいい!」とか言ってる大手の窓際正社員からすると、自身の既得権が侵害されることになります。

だから彼らは、社員をクビにするのに一々金を払いたくない中小企業経営者や、仕事の減る労働弁護士と組んで、解雇の法制化に反対しているわけです。

そう、世の中小企業で働く従業員の皆さん、そして非正規雇用労働者の皆さんの敵は、実は大手の窓際正社員なんですね。

とまあけちょんけちょんに言ったので、最後にこの手のリストラ対象となった窓際正社員へのアドバイスも。

結論から言うと、そこまでのメンタリティに育ってしまった以上は、もう辞めないで最後までしがみついた方がいいです。

なぜなら、あなたを雇いたい会社なんて世界のどこにも存在しないから。

会社と対等の関係になるべく主体的に努力するでもなく、すべて他責で片づけるような人の居場所なんてどこにもありません。

ただし、残ったとしてもその先にはイバラの道が待っているはず。

なんたってもうインフレですから、会社は賃上げせずに据え置くことであなたの実質賃金は下がり続けるでしょう。

ジョブ型賃金制度も導入すれば、担当業務の陳腐化を理由に基本給も下げられますし。

そして、残業や転勤といった“汚れ仕事”は優先的に降ってくるようになります。

人を増やす代わりに残業で対応し、余っている人間を不人気な事業所に移すことで全体の雇用を守る。残業も転勤も終身雇用を維持するための必要悪、貴重なツールなんですね。

組織のために誰かが引き受けないといけないコストです。

転職という武器を放棄した人間に押し付けられるのは当然でしょう。

最近は「評判の悪い転勤制度を見直す会社が増えている」という記事も目にします。でもあれは辞められると困る若手や優秀層が対象なんです。

しがみつく覚悟を固めた皆さんは、そういった未来ある方々のためにも頑張って汚れ仕事をいっぱいこなしてくださいね。

【参考リンク】転勤制度、続けますか?…「共働き増え家庭負担重い」「新たなスキル習得につながる」

転勤制度、続けますか?…「共働き増え家庭負担重い」「新たなスキル習得につながる」
【読売新聞】 転勤制度を維持するかどうかについて、各企業の対応が分かれています。テレワークの活用などで転勤の規模を縮小させる動きがある一方で、高額の手当を支給して継続している企業もあります。働き方の多様化が進む中、転勤はどうなるでし

要は、会社にしがみつかせてもらう代わりに、インフレで目減りする給与明細を眺めつつ、きつい仕事に歯を食いしばって耐えなさいという話ですね。世の中にただ飯はありません。

インフレで生活苦しくなったら、土日にタイミーでも突っ込んで仕事で使い残したHPを換金しましょう。せいぜい体壊さないよう頑張ってください。

以上が、筆者から「しがみつくことを選択した中高年」への真摯なアドバイスとなります。

もちろん、未来あるビジネスパーソンはそういった面々を反面教師とし、間違っても同じポジションにいかないようしっかりキャリアデザインすることをおススメします。

以降、
何でこういう人たちはこんなになっちゃったのか
ああいう風にならないために人と組織それぞれが意識すべきこととは

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Q:「障がい者採用とキャリアについて」
→A:「ジョブ型で手が空くようになったら、3つの選択肢があります」

Q:「クレカ窃盗で逮捕された某大学の人ってこれから就職はどうなります?」
→A:「意外と懐が深いのは中小企業です」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2026年9月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。

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