9月11日は、2001年のアメリカにおける9・11テロ事件から25周年の節目にあたる。この四半世紀で、世界は大きく変わった。

アメリカ同時多発テロ事件 Wikipediaより
「9・11テロ事件から25年:世界はどのように変わったか」という題名の雑文を書いて、『The Letter』という配信サービスに流してみた。
アメリカ国内社会の分断は進み、かつては想像できなかったトランプ大統領のような人物が強権を振るう政治文化が生まれた。その背景に、過去25年間で疲弊したアメリカ社会の現実がある。
アメリカは、アフガニスタンで2,324人、イラクで4,599人の軍人を失った。
アメリカが2001年以降の対テロ戦争に費やした費用は、8兆ドル以上に達するといわれる。
In the 25 years since 9/11, the U.S. has spent $8 trillion dollars fighting wars in the name of counterterrorism. https://t.co/4RmILEmlp8 pic.twitter.com/W3Xrmm15QU
— The Costs of War Project (@CostsOfWar) September 9, 2026
これに加えて、対テロ戦争の主戦場であるアフガニスタンやイラクには、復興・開発支援の資金も大量に注ぎ込んだ。
パランティア・テクノロジーズなど、AIを駆使する新しい軍事産業企業が対テロ戦争を通じて成長したが、全般的なアメリカの経済力の優位は相対的に低下した。世界経済におけるアメリカのGDPのシェアは、名目GDPでは2001年の31.0%から2026年の25.6%へ、購買力平価GDPでは20.1%から14.5%へ低下した。
米国の同盟諸国が形成する自由主義陣営の勢いの低下も顕著だ。冷戦終焉後の1990年代の世界では、「自由民主主義の勝利」が現実感をもって語られていた。21世紀に入ったとき、世界の民主主義国の数は増え続けていると信じられていた。しかし、対テロ戦争の期間に、民主主義の広がりは止まり、むしろ後退し始めた。
アメリカ以外のアフガニスタン派兵国の軍人の死亡者数は約1,160人、イラクでは318人である。またアメリカの同盟諸国は、財政的にも多額の資金をアフガニスタンやイラクに投入した。そもそも対テロ戦争の期間に、アメリカの同盟諸国の経済的影響力も低下した。ちなみに、G7諸国が世界経済に占めるシェアは、2001年には名目GDPで64.3%、購買力平価GDPで44.1%だった。2026年には、それぞれ43.8%、28.0%へと大きく低下している。名目GDPで20.5ポイント、購買力平価GDPで16.1ポイントの低下である。
日本はどうだろうか。日本は対テロ戦争の軍事作戦には従事しておらず、自衛隊員の殉職者もいない。しかしそれにしてもアメリカのアフガニスタン侵攻後は、インド洋でアメリカ軍に石油を提供し、アメリカのイラク侵攻後はイラクに自衛隊を派遣した。米軍と自衛隊の統合は進み、今日では米軍が使用しているパランティア・テクノロジーズのAIを駆使したシステムを、防衛費の大幅増加を通じて、長期大規模契約で導入しようとしている。
ちなみに過去25年の日本の経済力を、世界経済におけるシェアで見てみると、次のようになる。まず名目GDPでは、13.0%から3.5%に下がった。9.6ポイントの低下である。購買力平価GDPでは、6.6%から3.3%に下がった。3.4ポイントの低下である。日本の国力の低下が、9・11テロ事件によって引き起こされたものだとは言えないが、いずれにせよ対テロ戦争の時代の自由主義陣営の勢力の減退を象徴しているのが日本だ。
21世紀に入ってから、日本は外界への関心それ自体を低下させているようにも見える。テロ戦争の時代を経て、アジア諸国やイスラム圏諸国との関係の向上を図ったと言えるような経緯はない。むしろかえってアメリカあるいはその同盟諸国との連携あるいは依存の度合いを高めているように見える。外交的にも停滞感がある。
対テロ戦争は終わっていない。むしろ拡散している面もある。果たして日本の疲弊もやはりこのまま同じように進んでいくのだろうか。
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