東京・港区の麻布十番納涼まつりで、「割烹こめを」が販売した1杯2000円の冷やしカニラーメンによる集団食中毒が発生しました。港区には約250人から体調不良の相談が寄せられ、123人が食中毒患者と認定されています。1歳の子どもも被害に遭いました。清家愛区長によれば、港区でもこれほど大規模な食中毒は初めてだといいます。
原因はサルモネラ属菌で、患者だけでなく従業員の便からも検出されました。店は9月3日から7日間の営業停止処分を受けています。
「知らなかった」では済まされない
当初、「そもそも屋台で冷やしラーメンを売ってよかったのか」との疑問も出ました。しかし港区によると、店舗内で調理し「弁当」と同じ扱いで店前のテントで販売する届け出がなされており、出店そのものは違反ではありませんでした。むしろ問題は、その内側にありました。
食品事業者には2020年から、冷蔵庫の温度や調理器具の洗浄など、日々の衛生管理を記録することが原則義務付けられています。ところが「割烹こめを」では、祭りの時だけではなく通常営業の段階から記録していませんでした。
みなと保健所長も、普通の店舗なら判明した時点ですぐ指導対象となる「なかなかあり得ない」状態だと指摘しています。
しかも、こめお氏は記録が必要だという認識はあったと説明しています。対応事項が増え、「優先順位が下がってしまった」というのです。
これは「知らなかった」より深刻です。飲食店にとって衛生管理は、売上や新メニュー、SNS発信と競争する「業務の一つ」ではありません。営業するための大前提です。
客を教材にして衛生管理を学ぶのか
さらに保健所の店内ふき取り調査では、今回の原因菌とは別に黄色ブドウ球菌も見つかりました。保健所長は、清掃不足やトイレ後の不十分な手洗いなどによって検出され得ると説明しています。
こめお氏は「冷やしカニラーメンがお祭りの屋台に適していなかった」と振り返っていますが、問題を商品選択だけに縮小するのは無理があります。日々の衛生記録すらなかった以上、問われるべきは店舗全体の衛生管理体制です。
事故後、店側は衛生講習の受講や専門業者による消毒、検便などの改善策を打ち出しました。当然必要なことですが、123人もの客が体調を崩してから「衛生について学び直す」という順番には違和感があります。
客は料理人を育てるための教材ではありません。
再起を語る前に被害者に向き合うべき
こめお氏は閉店も視野に入れる一方、「僕から料理を取ったら何も残らない」として、いつか再び客の前に立ちたい、今回の経験を他の飲食店にも伝えたいとの考えを示しています。
しかし、今語るべきなのは自分の再起や成長ではないでしょう。
まず説明すべきなのは、なぜ法律上必要だと知っていた衛生管理を後回しにしたのか。そして123人もの被害者にどう謝罪し、補償していくのかです。
問題は衛生知識より「認識のズレ」
もちろん、こめお氏の発言からはリスク認知や責任認識の大きなズレが見えます。
衛生管理が必要だと知りながら「優先順位が下がった」と考え、123人もの被害が出た後も「学び」や「再起」を前面に出す。飲食店で最優先されるべきなのは、店主の成長ではなく客の安全です。
問われているのは衛生知識の不足だけではありません。なぜ自分の判断がここまでズレていたのかを、本人が理解できているのか。そこが最大の問題かもしれません。

ANN NEWS より










コメント
確かにずれてる 成長の物語ではなく衛生管理の問題
へたすると、多くの死傷者が、出るレベルの問題