権威ある経済学者の間違った図を擁護する権威主義の経済学者たち

東京大学の山口慎太郎教授の著書『子育て支援の経済学』(2021年、日本評論社)に掲載されたグラフの誤りが、X上で一般ユーザーによって指摘され、訂正版が公開された(アゴラで既報)。

ところが、この一件は単なる誤記の話で終わらなかった。指摘を受けて教授本人が迅速に対応した一方で、「素人がプロに文句をつけるな」という趣旨の権威主義的な姿勢が目立った。

最初の図は山口慎太郎氏がすぐ訂正

最初に指摘したのは経済学者ではなく、X上の一般ユーザーだった。書籍を読み込んだ上でOECDの原データを自ら取得し、グラフを書き直した結果、「統計的に有意な相関なし」と結論づけ、山口氏もミスを認めた。

ところがX上で目立ったのは、誤りそのものより「誰が指摘したのか」をめぐる反応だった。慶應義塾大学ビジネス・スクール教授の太田康広氏はこう投稿した。

この投稿は「素人がプロに文句をつけるな」という態度の典型として引用され、批判を集めた。書籍のグラフは査読付き論文そのものではない一般書の導入図であり、データは公開されているOECD統計だ。

他にも「素人の意見は捨て置いてよい」といった擁護の空気を指摘する投稿が相次いだ。あるユーザーは「プロの話のマクラに素人が文句をつけるな」と書いた。

査読論文を書いたこともない学者が「国際的トップジャーナル」に載る大先生が間違えるはずがないという投稿を書いた。

今回の件のきっかけは、本田由紀東大教授の投稿をめぐる炎上と、オープンレター問題が連なっており、山口教授もその文脈で名前が挙がっていた。権威ある学者の著作や発言が、ネット上の検証にさらされやすい状況が続いていた。

AI時代には、専門家と素人の境界もなくなる。まして専門家の明白な誤りを素人が指摘しているのに素人をバカにする(専門家ともいえない)経済学者は、査読論文の数だけを基準に学者をランキングする風潮の生んだ恥ずかしい状況である。

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