農林水産省によると、9月7~13日に全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は、5キロ当たり税込み2971円となった。前週から32円下がり、5週連続の下落。3000円を割ったのは約2年ぶりである。
「令和の米騒動」でスーパーからコメが消え、価格高騰が社会問題になったのはつい最近のことだ。それが今では一転して「米余り」が鮮明になっている。

退任する鈴木憲和農水大臣と高市首相 同大臣Xより
「米不足」から一転して在庫の山
背景には供給増と在庫の積み上がりがある。2026年産米の生産量は当初見通しから上振れし、新米の流通も本格化した。一方、前年産米は大量に在庫として残っている。
鹿児島では2026年産の新米が5キロ2700~2900円程度で販売される一方、2025年産の古米が3200円程度で売られる逆転現象まで起きた。前年に高値で仕入れた古米を値下げすれば、卸や集荷業者に損失が発生するためだ。
消費者には朗報、農家には「半値」の衝撃
消費者にとって米価下落は歓迎すべきニュースだ。物価高の中、主食の価格が下がる恩恵は大きい。
しかし農家には厳しい。2026年産米についてJAが農家に前払いする概算金は、地域によって前年から3~5割程度下落している。銘柄によってはほぼ半値となった。
肥料や燃料、農機、人件費まで半額になったわけではない。販売価格だけが急落すれば、営農を継続できない農家が増える恐れもある。
余った米を政府が21万トン買う矛盾
さらに奇妙なのが政府の備蓄米政策である。
政府は2025年の米価高騰時に備蓄米を放出したが、その穴を埋めるため2025年産米21万トンを買い戻す方針だ。しかし買い戻し期限は5年以内であり、米余りの今年すぐ買う必要はない。
昨年は「米が足りない」と放出し、今年は「米が余った」と買い戻す。しかも高値で買い戻せば、その負担は最終的に納税者に回る。
「農水省プット」が市場を壊さないか
もっと問題なのは、政府介入を期待して業者が在庫を抱え続ける可能性である。
高値で仕入れた古米を安売りすれば損失が出る。しかし「待っていれば農水省が買ってくれる」と考えれば、値下げせず持ち続ける方が合理的になる。これでは「農水省プット」と呼ばれても仕方がない。
本来、米が余れば価格が下がり、在庫が整理され、翌年の生産も調整される。それが市場の価格メカニズムだ。
米不足なら放出し、米余りなら買い上げる。そのたびに価格を政府が支えれば、いつまでたっても需給調整は働かない。
わずか2年で「米不足」から「米余り」へ。この極端な振れ幅こそ、日本のコメ政策の迷走を象徴している。







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