スウェーデンの王立科学アカデミーは、2026年のノーベル化学賞を硤合憲三(そあい けんそう)・東京理科大名誉教授に授与すると発表した。

硤合憲三氏 会見より
硤合氏は広島大学附属高校出身で、ノーベル賞受賞者は西日本の国公立高校出身者に著しく偏っているという私の説をますます裏付けた。昨年、坂口志文さんがノーベル生理学・医学賞をとったが、滋賀県立長浜北高校出身で、化学賞をとった北川進さんは京都市立塔南高校出身だった。
出身大学では、東京大学、京都大学のほか、北海道大学、東北大学、東京大学、埼玉大学、山梨大学、名古屋大学、神戸大学、徳島大学、長崎大学と、国立大学の独占は今回も崩れなかった。
出身高校を見ると、私立高校は同志社高校の江崎玲於奈、灘高校の野依良治だけで、山中伸弥が国立の大阪教育大学附属天王寺校、今回の硤合憲三が広島大学附属高校で、あとはすべて公立高校出身者である。
しかも、箱根の山より東は、北海道の苫小牧東高校の鈴木章、埼玉の川越高校の梶田隆章、日比谷高校の利根川進、横須賀高校の小柴昌俊、湘南高校の根岸英一の5人だけで、人口の二等分線である中央構造線より東でも山梨の韮崎高校の大村智だけで、あとは広い意味での西日本出身である。
中部地方は、大村のほか、浜松西高校の天野浩、富山中部高校の田中耕一、福井県の藤島高校の南部陽一郎、飛騨高山高校の白川英樹、それに名古屋の向陽高校の益川敏英、明和高校の小林誠がいて、東日本と合わせて12人。残りは関ヶ原より西である。京都が公立では3人、大阪が4人、あとは滋賀県の長浜高校、山口高校、宇部高校、愛媛の三島高校、大洲高校、松山東高校。それに福岡高校、長崎の諫早高校、鹿児島の甲南高校である。
西日本の公立高校からノーベル賞受賞者が多い理由
私立は受験に直接役立つことばかりしているとか、西日本のほうが研究者の社会的地位が高いというようなことが原因といわれる。
昨年刊行した『日本の名門高校―あの伝統校から注目の新勢力まで』(ワニブックス)でそのようなことをあちこちで書いているのだが、今年は最新の状況を書き、その内容を編集して、婦人公論電子版で2年にわたって連載してもらえることになった。

最近の掲載記事を5本ほどリンクで挙げておきたい。
金城学院高校


東海高校

岡崎高校

広島大学附属高校の歴史と多彩な卒業生
広島大学附属高校については、婦人公論電子版の連載はまだだが、単行本から概要を載せておく。

広島大学附属高校 Wikipediaより
国立の広島大学には2つの附属高校がある。広島大学附属高校と同福山高校で、いずれも中高一貫校だ。
まず、広島大学附属高校は、広島高等師範学校附属中学校の後身で、東京の筑波大学附属高校(旧・東京教育大学附属高校)と同じ位置づけということになる。
校風は非常に自由だといわれる。佐々江賢一郎(駐米大使)、永野重雄(新日鉄会長、日本商工会議所会頭)、桜田武(日清紡績会長、日経連会長)、山口信夫(日本商工会議所会頭)、阿川弘之(作家)、長沼健(日本サッカー協会会長)、頼近美津子(アナウンサー)など、多彩な卒業生を誇る。
近年、児玉幸治と熊野英昭という2人の通商産業省(現・経済産業省)事務次官を出した。湯崎英彦(広島県)と河野俊嗣(宮崎県)という2人の県知事を輩出しているのも珍しい。
広島大学附属福山高校の成り立ちと進学実績
一方、広島大学附属福山高校は、広島女子高等師範学校と広島青年師範学校の附属中・高校の系統である。女子高等師範といえば、東京(お茶の水女子大学)と奈良(奈良女子大学)が有名だが、戦後すぐに広島に第3の女子高等師範ができて、そこに附属中学も設けられた。また、戦時中に青年師範学校が福山にできて、その附属中学もあった。
この2つの系統が一緒になって、昭和26年(1951年)に広島大学教育学部附属福山中学校、翌年に同高等学校が開校した。広島大学附属高校を「本校」と呼ぶのに対して、広島大学附属福山高校は「広大福山」「福山附属」「広福」などと呼ばれる。
校風は自由で、チャイムが存在しないなど自主性を重んじ、人間性・創造性・社会性を教育理念とする。ほかにライバル校がないこともあって、姉妹校ともいえる広島大学附属高校より高い実績を上げている。県内でも広島市の広島学院高校、修道高校を凌駕する存在だ。
吉村博人(警察庁長官)、木曽功(ユネスコ大使)、塩見孝也(赤軍派議長)、小林克也(ラジオDJ)、小野文惠(アナウンサー)などが卒業生だ。
進学実績は、1960~70年代には「本校」が県内で第1位で、30名程度の東京大学合格者を出していたこともある。2026年度大学入試では東京大学に14名、京都大学に14名。
硤合憲三氏が東大進学を1年待った理由
硤合憲三氏の年は東京大学入試中止の年だが、よその大学には行かずに、1浪して1970年に東京大学理科一類に進んだ。この年は36名が東京大学に進学している。私の1年先輩だ。
今年はとくに成績がよかったが、一説によれば、附属中学がかつては抽選を加味した選考になっていたのに対し、学力だけで入学できることになったので、レベルがアップしているからだという人もいる。
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