インフレと株式市場

小幡 績

言うまでもないことだが、安倍氏のインフレ政策表明にショックを受けて、株式市場の数字は大きくなっている。

これは当然で、インフレを資産価格に織り込めば、年率3%を20年分織り込めば、複利なら倍以上にもなりかねない。したがって、名目では株式市場は上昇するが、それは経済にプラスのはずはなく、実質的に経済が縮小することを意味している。


実物資産への逃避が起きているだけで、ここで、鞘抜きをするヘッジファンドは儲かるが、長期保有の日本資産だけを持っている資産家にはマイナスだし、実体経済にはもちろん大きなマイナスだ。

さらに言えば、インフレでなくとも、株式市場と実体経済の動きが乖離しており、実体経済が良くなれば、株価は上昇するが、株価が上昇しても、実体経済がマクロ的に成長する、プラスとは限らない。

それは、DCF法でも、分子(収益)が目減りしても、分母(割引率)が低下すれば、株価は上がるが、資産家は儲かるが、実体経済はマイナス成長となる。

それだけのことだ。