ポイントは3つ。
もちろん最大のポイントは、自民、公明で3分の2をとったことだ。参議院がボトルネックでなくなった。
第二に、維新の議席数が、わずかに民主党を下回ったことだ。第二極となれば、かなり違った展開になっただろう。
第三のポイントは、投票率が戦後最低だったことだ。
民主は否定されたが、自民も維新も肯定されなかったのだ。
これぞ政治の終わりの象徴であり、次の参議院選挙への一番のレッスンとなる。
3分の2をとった自公政権は、安倍新総理が、暴走あるいは急失速しない限り、4年解散はしないだろう。
3分の2を使いまくることはなく、必要なことを行い、来年夏の参議院選挙をにらむ、ということになるだろう。しかも、参議院を無理に取りにいく必要はなく、2007年、民主に追い風が吹いたときの議席から、回復させればいい、ということになる。普通にやれば、自然に議席は増える。
しかし、ここを民主党は失敗した。2009年の政権交代後、総理も各議員も暴走し、その次の参議院選挙で惨敗してしまったのが、最大の誤算だった。
自民党は、政権維持に関しては経験があるから、そんなことにはならないだろうが、リスクは、安倍さんが一気に大きなことをやろうすることだが、3分の2をとったということは、周囲が安定を求めるから、そのリスクもあまりなくなったのではないか。
問題は2つ。
まず、維新がどう出てくるか。維新は、終盤失速したように見えたが、比例の票数で見ると、明らかに第二党であり、しかも、支持は関東にも九州にも広がっており、まだ次を狙う可能性が残された。
橋下氏は、喧嘩に関しては百戦錬磨であるから、自民党政権が、憲法改正などで維新を取り込もうとすると、軒先を貸して母屋を取られるというか、何かの機会を捉えて、内側から波乱を演出する可能性がある。
そういうことの出来ない、ナルシズムだけで満足する石原氏と橋下氏の違いは、首班指名で、石原にするか、安倍にするかの意見の相違にすでに顕在化している。自民党の側からすれば、維新の動きは静観して、巻き込まれないようにするのが得策だが、維新からすると、それでは失速してしまうので、次の選挙で連立などを狙うために、何かを仕掛けてくるだろう。
ここは、維新の陽動作戦と自民の我慢比べという展開になるだろう。
一方、民主党こそ、我慢が重要で、ここはどうしようもないから、淡々と健全な野党として、少しでも次の参議院選挙で議席を維持することに努めるしかない。ここで、分裂すれば、本当に終わってしまうだろう。したがって、代表戦は、国民の関心はまったくないだろうが、極めて重要で、国民的関心がないことをむしろ好機と捉えて、組織の建て直し、組織としてきちんとした政党になる組織固めに専念するべきでろうし、そうすれば、次のチャンスがあるかもしれない。
安倍政権の最大のリスクは、やはり金融政策と経済ということになろう。
現在の株式市場のお祭りは、出遅れ解消のレベルを超えておらず、円安も、この程度なら適度な調整だが、これ以上の動きは危険だ。
景気はどうやっても有権者が実感するほどよくなることはないから(世界経済が回復傾向なのは、安倍政権に恵みだが)、政権が変わってもちっとも良くならないじゃないか、という批判を受けて、もう一度金融政策を過激化させたときに、名目金利が上昇して、国債の下落から、銀行危機、海外への資金逃避、財政行き詰まり、というシナリオが最大のリスクシナリオだろう。
3月の日銀総裁交代までが山場で、ここを無難に乗り切れば、そして、交代も無難な人事となれば、安倍政権の4年継続が見えてくるが、そこまでが重要だ。