クレディ・スイスが発表した世界の資産動向レポート(グローバル・ウェルス・レポート)、興味深いです。
2013年に世界の富は前年比4.9%増の241兆ドル(2京3618兆円)と、最高記録を塗り替えました。伸び率のうち72%を占めるのは……アメリカです。Fedによる量的緩和(QE)と低金利政策のおかげでダウ平均をはじめ株式相場が史上最高値を更新するように、昇竜の勢いそのものでした。住宅市場の回復も、資産を押し上げたこと間違いなしです。いかんせんカリフォルニア州やらフロリダ州、ネバダ州ラスベガスなど20%以上の価格上昇なんてザラでしたからね。
国別での前年比の伸びをみると
1位 米国
2位 中国
3位 ドイツ
4位 フランス
5位 イタリア
が並びます。
日本はといいますと……。
残念ながら、アベノミクス効果で円安へ傾いたために大幅減少し最下位だったんですね。ドル建てでなければ、話はもっと変わってきたことでしょう。
世界の富が前年比で4.9%増だからって、驚いてはいけません。ITバブル崩壊の後遺症がくすぶる10年前との比較では、68%もの大幅増を遂げていました。
2013年での成人1人当たりの資産は、平均5万1600ドル(505万6800円)でこちらも過去最高です。実感が湧くと湧かないに関わらず、世界の富は確実に上向きなんですね。
5年先の世界の富は、どうなるのでしょうか?クレディ・スイスは、2018年にかけ40%増の334兆ドル(3京2730兆円)を予想しています。エマージング国がけん引するといい、特に中国はエマージング国のなかで伸び率のうち50%を占める見通しです。
話を2013年に戻して。
いわゆる億万長者(100万ドル、ざっくり1億円)の割合を国別でみてみましょう。
アメリカが断然トップで42%。2位はその他で12%ながら、日本は3位に表彰台ランクを堅持して8%です。気になるお隣さんの中国は8位で4%でした。
では、資産5000万ドル(49億円)以上のウルトラ億万長者の国別シェアはといいますと。
アメリカはぶっちぎりで、向かうところ敵なし。2位に中国が顔をのぞかせ、3位はドイツ、4位はスイス、5位は英国と3位以下は欧州が独占していました。アメリカの資産動向だけをみると、2011年に産声をあげ格差撲滅運動ともてはやされた「ウォール街を占拠せよ!(OWS)」が見事に消えたのが不思議なくらいです。アメリカの背骨に走る独立精神と実力成果主義の表れなのか、明確な解決策を提示できない駄々っ子集団とみられたからか、すっかり鳴りを潜めましたよね。
日本はというと、6位でした。億万長者が多い割りに、米中と比較して貧富の格差が断然少ないということなんでしょう。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年10月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。