最近、アルバイトが集まらずに都内では給与がぐんぐん上がっているということを聞きます。大阪梅田でも牛丼チェーン店などの飲食店で950円程度まで上昇していますし、東京では1000円を超えているという話も聞きます。リクルートジョブズの発表によると、首都圏・東海・関西の平均時給は1,002円になったと発表しており、アルバイトの時給はぐんぐん上がっています(参照:2017年4月度アルバイト・パート募集時平均時給調査)。
その割にはあまり景気が良くなったという感覚を持っている人は少ないように思います。そこで平成28年賃金構造基本統計調査の資料を使って、グラフを作成してみました。そうするとあることがわかりました。それは男性正社員の給与は10年ほど上がっておらず、これからも給与が上がる可能性は低そうだということです。
男女別正社員・非正規社員の給与推移
さて、給与の推移についてをまとめてみたグラフが下記になります。平成17年を100とし、そこから平成28年までの賃金を比較しています。
これを見るとハッキリとわかる点が二つあります。一つが男性正社員と男女正社員の平均給与はさほど上がっていないということです。男性正社員の平成17年給与が348.1千円、男女正社員が318.5千円となっていて、平成28年は男性正社員が349.0千円、男女正社員が321.7千円となっています。
もう一つが女性の正社員、非正規社員、そして男性の非正規社員については給与が上がっているということです。各雇用形態別給与は下記の通り上がっています。
- 女性正社員…(平成17年)239.2千円⇒(平成28年)262.0千円
- 男女非正規…(平成17年)191.4千円⇒(平成28年)211.8千円
- 男性非正規…(平成17年)221.3千円⇒(平成28年)235.4千円
- 女性非正規…(平成17年)168.4千円⇒(平成28年)188.6千円
男性正社員はここ10年ほど給与は上がっていませんが、女性と非正規社員の方々は給与が上がっているという状況です。まさに男性正社員一人負け状態、となっていることがわかりました。
給与が上がらないなら、個別最適を目指そう
おそらくですが、この流れを見ると男性正社員は今後も給与が上がることはないでしょう。経済規模が大きくなって、雇用者報酬が増えていけば、その取り分は非正規社員と女性に分け与えられてくかと思います。
ただしこれは全体の枠組みでの話であって、個人の給与に関してはまったく別問題です。個人の給与については出世や転職で上がる可能性は高いでしょう。特に転職や独立・起業をすれば大きく給与を伸ばせる可能性があります。アゴラの編集長である新田さんも、新聞社時代よりも収入を増やすことに成功しています(ビジネス感覚を培えば元記者でも会社員時代より稼げる ?)。
もちろんこれは男性正社員だけではなく、女性でも非正規社員でも当てはまる話です。もっとみなさんが個別最適のために行動をすることで、より収入を上げることができるのではないでしょうか。高度経済成長期にはただ働いていれば収入は増えたかもしれませんが、現代はそうは行きません。
全体が上がらないのであれば、個別最適で給与を上げていくことが個々人の取るべき道ではないでしょうか。